皮膚病ミニ講座(1)                                                                   

  接触皮膚炎                   

    単純な刺激による場合とアレルギー性の場合があり
 
ますが、後者が症状的にもつよく重要です。軽い場合
 
には皮膚が赤くなり、多少のブツブツやかゆみがある程
 
度ですが、重症例では無数の大小の水ぶくれをつくり、
 
黄色っぽい分泌液が大量に出て、皮膚のつよい赤み
 
と腫れがみられます。そして猛烈なかゆみやときには
 
痛みもあります。
   
ヘアダイの場合が典型的ですが、湿布薬や多くの外
 
用剤、化粧品、金属、植物、マンゴーなど様々です。原
 因は48時間背中に貼るパッチテストで調べられます。
        

  
金属アレルギー

   金属はそのままの形ではアレルギーを起こすことは
 ありません。 イオンの形になってはじめてアレルギーを
 起こしうるようになります。イオン化した金属アレルゲン
 に長期間の接触などで条件が整うとアレルギーが成立
 します。体質も関係します。
  金属アレルギーの症状の第一は接触部位の皮膚炎
 です。乾いた状態では何も起こりませんが、汗などの
 わずかな水分があると微量の金属イオンが溶け出し、
 反応性をもつようになります。
   また金属アレルギーが掌蹠膿疱症という難治性の
 皮膚疾患の原因になることがあります。特殊な絆創膏
 で背中にアレルゲンを貼って、48時間後に判定をする
 パッチテストで調べられます。

   疣贅(イボ)                     

    ヒト乳頭腫ウイルスによる感染症です。このウイルス
 
には多くの型があることが近年判明し、イボの種類に
 
よってウイルスの型も異なります。イボには尋常性疣贅
  
(手足などの普通のイボ)、青年性扁平疣贅(若い人の
 
顔や手の甲にみられる淡かっ色の扁平なイボ)、尖圭
 
コンジローマ(陰部や肛門周囲のカリフラワー状あるいは
 
鶏のトサカ状の赤みがかったイボ)があります。
   
治療は液体窒素による凍結療法が基本ですが、取れ
 
にくい場合にはスピール膏を貼り軟化させて削ったり、
 
内服薬や外用剤を併用するなどの工夫が必要です。


   伝染性膿痂疹(とびひ)

   大半はブドウ球菌による表在性の皮膚感染症です。
  おもに
夏季に幼少児に多くみられ、水ぶくれが全身の
  あちこちに多発
したあと、すぐに破れてただれをつくる
  のが特徴です。

   これに対して頻度的にはそれほど多くはないのです
  が、溶連
菌によるものがあります。どの季節にも起こ
  り、小児に限らずに
幅広い年齢層にみられます。
  ただれはほとんどなく、痂皮(かさ
ぶた)をつくって、
  1個1個が盛り上がった感じになります。

  治療はいずれも抗生剤が有効ですが、前者では抗
  生剤の効き
にくいMRSAという菌が原因の場合が
  あります。後者は抗生剤を
長めにきちんと内服するこ
  とが大切です。


単純性疱疹(ヘルペス)                 

     単純ヘルペスウイルスによる皮膚の感染症です。
  初感
染は皮膚や粘膜のわずかな傷からウイルスが侵
  入して起こり、多くは無症状ですが、発症すれば重症
  になります。
    初感染後はウイルスは神経の細胞内に潜伏し、疲
  労、発熱、睡眠不足、紫外線、ストレスなどで免疫が
  低下した場合に再発します。症状は口唇や鼻孔周囲、
  眼周囲や陰部と周囲に痛みやかゆみ、次いで小さな
  水疱を生じます。
    治療は抗ウイルス剤の内服・外用でウイルスの増殖
  を抑えれば1週間前後で殆ど治ります。再発が頻繁な
  場合には、免疫力を高める働きの漢方薬もあります。


  帯状疱疹(ヘルペス)

   水痘・帯状疱疹ウイルスによる皮膚の感染症です。
  ほとんどの人は小児期に水痘(水ぼうそう)にかかりま
  すが、これが初感染で治ったあともウイルスは神経節
  の細胞内に潜伏します。その後おもに中高年期に疲
  労、ストレス、加齢などで免疫が低下したときにウイル
  スが再活性化し、帯状疱疹になります。
    症状は痛みが数日から1週間続き、その後躯幹ま
  たは上肢または下肢あるいは頭部・顔面に一側性に
  小さな水疱が群がって多発し、赤みを伴います。
    治療は早期に抗ウイルス剤の内服(重症では点滴)
  を行い、痛みには鎮痛剤、漢方薬、ビタミン剤の内服
  も有効です。


    足と爪の白癬(水虫)                 

    顕微鏡を用いた真菌(カビの菌)検査で白癬菌が確
  認されて足や爪の白癬の診断は下されます。かゆみが
  あって
もなくても、まず皮膚科専門医で検査を受けまし
  ょう。
   足の症状は足の裏側から側面の皮がむけたり、小さ
  な水
疱ができる場合と足の指間部が白くふやけて皮が
  むける場合があります。皮膚が厚くなる場合(角化型)
  もあります。爪の症状は白濁・肥厚で変形して崩れる
  場合もあります。

    
治療は爪白癬を完治させるには内服薬が必要です
  が、足だけの場合は原則的には角化型を除けば外用
  剤(軟膏・クリーム・液・スプレー)により数ヶ月程度で
  治ります。



    AGA(男性型脱毛症)

   男性型脱毛症の治療薬は、プロペシアに加えて、
  ザガーロが可能になりました。この薬の効果は基本的
  には脱毛の抑制で、かなりの人で毛量の増加がみら
  れますが、効果発現までの期間は半年以上必要です。
    効果のメカニズムは男性ホルモンからAGAの原因
  になるDHTがつくられるのを抑えることです。
    副作用は一時的な性機能低下や軽い胃腸障害が
  たまにみられる程度で、肝障害などは稀です。併用薬
  の問題はありません。
    ただしこの薬は割に高価で、しかも保険診療の対象
  外ですが、当院では長く続けていただけるよう、コスト
  ダウンに努めています。1ヶ月分の費用をお知りになり
  たい方は、どうぞご連絡下さい


   皮膚病ミニ講座(2)には蜂(ハチ)アレルギー、ラテッ
  クスアレルギー、皮脂欠乏性湿疹(乾燥性湿疹、乾燥
  肌)、手湿疹
(手あれ)、凍瘡(しもやけ)、伝染性軟属
  腫(水イボ)、鶏眼(ウオノメ)、掌蹠膿疱症(しょ
うせ
  きのうほうしょう)
を掲載しています。

  皮膚病ミニ講座(3)には、薬疹、乾癬、円形脱毛症、
  白斑(しろなまず)、肝斑
(しみ)、水痘(水疱瘡、みず
  ぼうそう)、熱傷(やけど)、脂漏性皮膚炎(湿疹)
を掲
  載しています。

            


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