蕁麻疹(じ ん ま し ん)
◎ 蕁麻疹(じんましん)の分類
(1) 特殊な蕁麻疹[代表的なものは5つ]
○人工蕁麻疹(かゆみがあり、圧迫したり引っかいて
起こる)
○寒冷蕁麻疹(低温や風や飲み物で体が冷えると起
こる)
○日光蕁麻疹(日光に当たると起こるが、当たった後
日陰に入って起こることあり)
○コリン性蕁麻疹(主に運動や入浴後に起こる小粒の
蕁麻疹)
○接触蕁麻疹(アレルゲンが直接接触した部位にだけ
起こる)
(2) (1)を除いたふつうの蕁麻疹
○急性蕁麻疹(発病して6週間以内のもの)
○慢性蕁麻疹(6週間以上持続するもの)
◎ 蕁麻疹の原因と悪化要因
急性蕁麻疹:不明の場合もあるが、食物、薬剤、細
菌・ウイルス感染が多い
慢性蕁麻疹:不明の場合が多いが、食品添加物、薬
剤、細菌感染(ピロリ菌など)・ウイルス
感染のことあり
● 疲れ、睡眠不足、風邪など体調が悪いときに出や
すい。
● 急性、慢性にかかわらずストレスが原因あるいは
悪化要因のことがある。
● 一般に運動、飲酒、入浴は蕁麻疹を悪化させるの
で注意が必要。
◎ 蕁麻疹と食物アレルギー
食物アレルギーの蕁麻疹への関与は小児期、成人
期を通じてあまり変わらずにみられます。アレルゲンと
しては卵、牛乳、小麦、大豆以外に魚介類、ピーナツ、
エビ、ソバなどが多いようです。
通常食物摂取後数分から数時間後に発症しますが、
反応が早いほどアナフィラキシー・ショックを伴うなど、
重症になりやすいので、要注意です。
発症したらただちに皮膚科や内科、小児科を受診
して、抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤、ステロイド剤な
どの内服をすべきですが、重症の蕁麻疹で、呼吸困難
や気分不良などを伴っていたら救急病院の方がいい
場合もあります。
特殊な蕁麻疹もあります。小麦やエビなどを食べた
だけでは異常はないのに、運動を加えることによって
蕁麻疹やアナフィラキシー・ショックを起こす人があり
ます。 また前もってアスピリンを服用していた場合にも
同様のことが起こる人もあります。
※「アトピー」のページに「アトピー性皮膚炎と食物
アレルギー」の記載があります。
◎蕁麻疹の治療
蕁麻疹の治療は急性と慢性で多少異なります。
急性ではときに重症化し、蕁麻疹がひどいだけでなく、
気分不良や呼吸困難、血圧低下、意識レベル低下な
どのアナフィラキシーショックを起こすことがあります。
その際は救急車で近くの救急病院を受診することが
必要です。 血管収縮作用のある昇圧剤 (一般名:
エピネフリン)、即効性の副腎皮質ホルモン剤などの
注射・点滴や酸素吸入などが行われます。
ことに最近では発症後30分以内のエピネフリン筋
注の重要性が指摘され、2003年8月からは、蜂毒に
起因するアナフィラキシーショックに対して、エピペン
(商品名)自己注射が使用できるようになりました。
さらに2005年3月からは食物および薬物、ラテックス
等に起因するアナフィラキシーショックにも適応が拡大
されています。( 「診療案内」のページの下の方のエピ
ペンについての説明文もご覧下さい)
急性でもとくに重症でない場合には、抗ヒスタミン剤
や抗アレルギー剤の内服が基本です。2剤か3剤を併
用することもあります。さらに短期間少量の副腎皮質
ホルモン剤の内服を併用することもあります。
慢性の場合、原則的には副腎皮質ホルモン剤は内
服せず、比較的眠気の少ない抗アレルギー剤を内服
します。1日1回(おもに夜だけ)タイプと朝・夕の2回
タイプがあります。今は種類も多いので、相性のいい
内服薬を選んでもらうとよいでしょう。
また特殊なタイプの蕁麻疹では、抗アレルギー剤だ
けで 十分な効果が得られない場合に、通常はあまり
使わない抗ヒスタミン剤を使用することがあります。