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防衛大学校物語 イベント

 

防衛大学校物語 指導からの続きです



記憶に残っている印象的な歴代シバかれネタを延々と続けても新鮮みが無いので(?)今後は順番に防衛大学校のイベントに関して書いていこうかと思います。

一応大学生なので夏休みがまとまってありますが、さすがに一般大学のように2ヶ月間もありません確かに学業は6月いっぱいくらいで終わるのですが、7月はほぼ丸々訓練で、残りの1ヶ月の8月は公式的な休みというスケジュール。ただお盆が終わった後くらいから校友会の合宿があるので、実質大体3週間くらいというような具合です。なお合宿の長さは校友会毎によって違います。

1学年の場合、7月からの訓練期間は結構面白いですというのは、1学年はまだ陸海空どこにも所属していないので、各自衛隊の部隊見学がメインになります。例えば護衛艦に乗ったり、航空基地を見学したり、戦車・・・は1学年の時に乗せてもらえませんでしたが、匍匐前進や野戦訓練などのいわゆる自衛隊っぽい訓練をしたりします全てが初めての体験で刺激的
https://www.mod.go.jp/nda/information/files/files/1498099202phpZNkydI/290623-001.pdf

基本的には陸海空それぞれなるべく人が来て欲しいですから「陸は良いよ」「海に来たらこういう利点がある」「やっぱり空はもてるよね」などなど、アピールがあります。1学年はお客様感覚であり、部隊で嫌な思いをすることはまずありません。各基地などへの移動は大体貸し切りバスで、1学年だけで移動しますから遠足気分になります

そして何より隊舎の方も上級生が訓練でポツポツ居なくなります例えば2学年以上の海上要員は護衛艦に数週間乗って海上での実地訓練になりますその他の陸や空の人達も、実際に部隊に行って現場を知るために泊まりがけで居なくなります。全員居なくなるのはなかなか無いですが、だいぶ手薄になるのでミーティングは無く、ちょっと気が緩む1学年のパラダイス的な感じにもなるのです

色々な訓練があるのですが、1学年の夏の訓練のメインイベントは「遠泳」です8kmを完泳するというのが目標で、それが終了するといよいよ待ちに待った夏休みに突入するという流れです

 

 

遠泳に関して凄いと思うのは、何より防衛大学校に入ったらどんなカナヅチでも一ヶ月練習したら完泳できること別に戸○ヨットスクールのようなスパルタなしごきがあるわけでもなく、全員ちゃんとした指導の下に泳げるようになるのです

8km泳いだとか言うと世間一般的には「すごいね」とか言われますが、ぶっちゃけ楽勝ですいや、本当に他のイベントに比べると、一番楽でしたし、むしろ楽しかったですねもし「防大に入ったら遠泳しないといけないのか・・・」ということで悩んでいる受験生が居たとしたら、それは完全に杞憂です。基本的には皆泳げるようになります

かくいう私は、元々カナヅチではなかったものの、せいぜいクロールで50m泳げる程度でしたそれが正しい平泳ぎをマスターして、プールで200mくらい泳げるようになると、あとは言ってしまえば惰性で泳げますもう8kmだろうと15kmだろうと(※海上自衛隊幹部候補生学校では15km)、時間さえかければ体力の続く限り泳げます

練習は大部分をプールで行います。プールは海水と違って浮力が無いので、プールで泳ぐ方が大変ですですからプールで1km泳ぐ方が大変です

夏期定期訓練期間中、空き時間があればプールで遠泳の練習を1〜2時間行うようなスケジュールになっています泳いだ後はとてつもなくカロリーを消費するので、朝食の余った食パンと「午後の紅茶」のロイヤルミルクティーをホットでいただくのが何より至福なひととき更に「午睡」という昼寝の時間まで公式的に与えてくれるので、至れり尽くせりです

 

 

本番が近くなると、いよいよ海に入って少しずつ距離を泳ぐ練習をします長時間泳ぐと夏とはいえ海水に体温を奪われるので、体中に日焼け止めとワセリンを塗ります。ワセリンは平泳ぎをずっとやることで脇が擦れてしまうのを防ぐ役割もあります。

ただ海は海で大変なのは、まずやっぱり何かあっても足を付いて休めないこと例え泳ぎに自信があったとしても、突然足をつってしまうこともありますその日の体調もあるでしょうまた太平洋の穏やかな海とは言え、息継ぎのタイミング波がやってきて海水を飲んでしまい、思わぬところで呼吸のリズムが乱れ、パニックになって溺れてしまう・・・というパターンも想定されます

というわけで、万一のために「バディ」制が採用されていますつまり二人一組になって、相方の無事を確認し合いながら、助け合いながら完泳を目指すわけですただ中隊毎の集団で固まって、お互いの手や足がぶつからない(時々ぶつかる)程度の間隔を保ちながら泳ぐので、もし何か緊急事態があったとしても、ぶっちゃけバディじゃなくても前後左右の誰かが異変に気付きます

また競争ではなく、全員で一緒のゴールを目指すので、早い遅いはありません。指導官のボート(伝馬船)が一艘付随して、上からも危険を監視して、安全に配慮がされています海流などを見ながら泳ぐべき方向やペースを指示誘導しつつ、叱咤激励と食事も与えてくれるのです。

↓こんな感じです


はて、泳ぎながら食事?と思われるかも知れませんが、遠泳は4〜5時間程かけて行われるものです。練習で1km、2km泳いだだけでもお腹が空くのに、5時間泳いでカロリーを消費しないわけはありません。確かにずっと動いているので空腹は感じ辛いですが、海水に奪われて体温も消耗しますし。というわけで食事は必須

ではどうするか?泳ぎながらするのですボートから指導官が乾パンを海に撒き餌し、それを片手で水をかきながらもう片方の手で拾って器用に食べる。海水ですから基本浮くので、特に難しくはありません。また海水で口の中がしょっぱいですから、氷砂糖も惜しげも無く振る舞われます。うーん、太っ腹ですね

 

 

遠泳中の食事は良いとして、喉の渇きはどうでしょうか?波の関係で不慮に海水を飲んでしまうというアクシデントもありますが、喉はそこまで渇きません。夏ですが海の中なので暑くないですし、5時間くらいなら別に大丈夫という感じですかね。

一応ウィダーインゼリーや他のパックに入った飲料などを携行して(帽子や海パンに挟んで)いくことも出来るので、それをチューチュー吸いながら泳ぐこともできます当然海を汚すなんてもってのほかなので、ゴミは持ち帰りです

ただ持ち帰れないものもあります。それは尿意申し訳ないですが、おしっこは海中に放ちます。汚染水は海洋放出しなければなりません

「え、集団で固まって泳ぐんでしょ?」ということですが・・・まあ前の奴がおしっこしたなんてわかりませんから・・・(いや、そういう問題じゃなくて)。大丈夫、海は広くて大きいので拡散しますし、顔は同時に海水で洗っているようなものですから・・・(いや、そういう問題じゃなくて)。

こればっかりは考えないようにするしかないです海水温は低いので、ぶっちゃけ2、3度は放尿することになります紳士であればちょっと早めに泳いで後続と多少距離を空けるとかありますが、変な動きがあれば「あいつやったな」と思われるので、自然に振る舞うのが大事です。そう、どうせわからないので、相手に嫌な思いをさせないことの方が重要です(※個人的な見解です)。

現実的にはそんなことは全然気になりません。というのは、もっと気にしないといけない強大な敵が海にはいるからです。それは海洋生物「クラゲ」です

 

 

クラゲは遠泳最大の難敵です。絶対居ますし、絶対刺されますこれは受け入れる他ありません

大きく分けて登場するクラゲには「白クラゲ」と「赤クラゲ」が居ます。白クラゲは極々一般的な白いクラゲ。水をかいた際に手に当たったりすると「むにっ」「ぬるっ」とします。もうこれが本当に嫌。

一匹二匹が浮遊しているのならば構いません。可愛いものです。回避も可能です。しかし得てして集団で存在します。もう本当に視界が真っ白になるくらいの量の集団に遭遇することがあります年によって、またルートによって異なるとは思いますが、私の場合は結構な頻度で集団に遭遇しました練習で最初に遭遇した際はパニックになりましたが、すぐ慣れました

この場合、覚えておきたい攻略法として(使う機会があるかわかりませんが)クラゲに優しく接して通過するのが一番ですというのは、まずクラゲは足で刺しますから、クラゲの本体に触る分には問題ありませんそして基本、我々の方がクラゲよりも上の海面を泳いでいますが、クラゲは標準の状態では足を下にしているので、クラゲがひっくり返らない限りは刺される心配がありません

ですからクラゲの表面をなぞるようにそーっとそーっと泳げば何ら問題がありませんお腹のあたりを「ぬめぬめっ」とクラゲが通過していく感覚を「うひーっ」と思いながら我慢さえすれば良いのです

ただ、集団の先頭の人(全くの先頭は泳ぎの上手な人が配置されますが、基本的には苦手な人が前に来るような配置になっている)が水をかいた際に当たったり、「うわーっ」と慌てて水をかいて「流れ」が起こると、クラゲがひっくり返ってしまいますですから、後続の人は刺される率が自然と高くなってしまいますこれはもう運を天に任せる他ないですね

なお、私の小隊に一人「女傑」が居て、彼女は今では女性最高位の剣道7段を保有しているということなのですが、当時から豪快でした遠泳の際に手袋をはめてクラゲを掴み、右へ左へと投げながら泳いでいたのですが、「こらー○○クラゲを投げるなー」とボート上の指導官から注意されていました

 

 

「白クラゲ」は雑魚なので良いのですが、一方シャレにならないのが「赤クラゲ」。こちらは大ボス的な存在で、一匹見かけただけでちょっとパニックになる程です正式名称はそのまま「アカクラゲ」ですが、文字通り赤いです。そして足が長く、その分触られたらダメージが大きいですミミズ腫れが出来ます

私は赤クラゲに何度も遭遇したものの、幸い一度も刺されたことはありませんが、刺された人の背中に真っ赤な線が入っているのを見てゾッとしましたこれは怖い攻略法なんてありません。見かけたらただ回避あるのみですから見かけたら後続に「赤注意」などと教えてあげるのが同期の絆です

↓こんなヤツです
https://grapee.jp/839111

というわけで、今でも水族館とかでクラゲを見るのが嫌「癒やされる〜」とかいう人がいますけど、とんでもない自力で泳げずただ海に浮かんで海流に流されるだけのクラゲもいるのですが、一体何のために生まれ、そして漂っているのか・・・

アカクラゲに刺されると、最悪途中棄権というケースもあり、本当に厄介な地雷です他にも足をつってしまったりして途中棄権する人も数人居ますが、基本はほとんどが完泳します

泳いでいる最中はとにかく「無心」。しゃべる相手もいませんから、頭の中を好きな音楽をグルグル回したりしています自分の世界に没頭できるので、案外ヒマではありません

無事8km完泳して浜辺に帰って来ると、暖かい拍手と温かい「飴湯」が振る舞われて身体を温めます全般的にしょっぱい口の中に飴湯の甘みが優しく拡がりますなお泳ぎ終わったあとは、海パンが股間に食い込んだような感じになって股が痛かった記憶がありますまあ何時間も足で水をかいていると、途中で位置を直したりもしますけれど、どうしても食い込みます(私だけ?)。

完泳したら、やっと防衛大学校に入って一つ成し遂げた感はありますね8km泳いだという武勇伝を持って、無事夏休みに故郷に錦を飾れます繰り返しますが、本当はそんなに大したことはないんですけどね他に地元の友人に語れる自身の成長は、掃除や裁縫、アイロン掛けが上手くなったとか、それくらいしかないので・・・

 

 

防衛大学校物語 訓練

 

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