初日からの続きです。
次の日。良い感じのホテルで良い感じの朝食を取った後は、ホテル周辺を散歩天気はあいにくで浜辺も風が引き続き強かったですが、清々しい朝を迎えることができました
その日はガイド付きタクシーで、沖縄北部を観光することになっていました。ホテルの玄関まで迎えに来てくれたタクシーに乗り込むと、この高級リゾートホテルとはお別れです
束の間の別世界でした
運転手の方は50代前半くらいの男性。名前は安藤さん(仮名)。物静かな感じの方で、やや車内の空気は重苦しい感じあまりテンション高く話かけられても面倒臭いですし、そういう意味でタクシーとは運転手との距離感がなかなか難しい乗り物です
一応、要所要所ではガイドをしっかり入れてくれます。ただ必要最低限のことを二言三言しか言わない感じ。それに我々が「へー」とか「なるほど」とか相槌を打つと、その後はまたしばらく沈黙が続きます
沈黙に耐えきれなくなった私が「安藤さんはこちらの方ですか?」と尋ねると、ふっと笑って「新潟出身です。沖縄で安藤って言ったら、地元の人には一発で本土の人間だとわかりますよ」とのこと。あくまで私の偏見ですが、本土の人間が沖縄でタクシーの運転手をやっていると聞くと、何か訳ありのような感じがします。高倉健のような世界観に押され、また沈黙が続く車内
そんなこんなでタクシーに揺られ1時間半。まずは最初の目的地である古宇利大橋に到着しました。本島と古宇利島を結ぶ全長約2kmの長い橋で、無料の一般道では日本一の橋だとのこと。沖縄のオーシャンビューに映える巨大な人工構造物。
晴れていたら青い海をモーゼの十戒感覚で気持ちよく進んで行けたのでしょうが、残念ながらその日は曇っていて、ガイドブックの写真などでみる爽快感はやや減それでも丁度「純と愛」で時々出ていた宮古島の池間大橋のような、南国気分は十分に感じられました
橋を渡り切った所に公園があり、我々は一旦そこで休憩その他にも観光客がたくさん訪れており、沖縄に来たら一度は行ってみたいスポットの一つです
この景色をひとしきり堪能すると、タクシーはその後「美ら海水族館」に向かいます「美ら海水族館」は有名なテーマパークの一つで、北の旭山動物園、南の美ら海水族館という感じでしょうか
巨大なジンベイザメが目玉で、それを一望できる幅22.5メートル、高さ8.2メートルの巨大なアクリルパネルの水槽がウリです
実はうちの母は心臓を手術した結果、身体障害者に認定されているので、本来国営である「美ら海水族館」はタダで入館でき、同行者である私もタダで入ることができます
ところが、今回のパッケージツアーにチケットも問答無用で付いてました。なので、実質有料で入る結果に何か損した気分
飛行機も早割で取った方が安かったので、結局母の身体障害者割引は全く有効活用できません
それはともかく、入館するとやはりおびただしい数の人、人、人その日は休日でしたから、老若男女、人種問わず大勢の人がいました。
まずは触って楽しめる水槽で、ヒトデやなまこがお出迎え。生まれて初めてなまこを触りましたが、非常にぶにゅぶにゅしていて気持ちの悪いものでした
お次は見た目も美しい熱帯魚の群れその他にも見た目がユニークな魚、大きな魚、今まで見たこともなかった魚、などなど
それぞれ自然光を取り入れたキレイな水槽の中を優雅に泳いでいます
そんな様に皆水槽の前で釘付けなかなか人の流れは進んでいきません。まあそのお陰でゆっくり見ることもできるわけですが。
少し先に進むと、一つ一つ小さい水槽に小分けにされた形で、やはり色々な種類の魚やイカ、エビ、ウミヘビ・・・その他水に住む生き物たちが「これでもか」というくらい並んでいました。我々は時間も忘れて、異世界の住人の姿を堪能するのでした。(つづく)
その他サメやらエイの水槽に。そこにはサメにまつわる色々な解説、展示がしてあるコーナーがありましたサメの皮などに触れるようになっており、さすが「鮫肌」と言われるだけあって、サメの皮はまるで紙ヤスリのようにザラザラ。こんなのとすれ違った日には、体中に擦り傷が出来て痛そうです
(それ以上に恐怖でしょうが
)
そしてお次はいよいよ「美ら海水族館」のメイン。これまでの展示とは段違いの空間が一気に拡がると、視界には収まりきらない巨大な水槽にジンベイザメの姿が一番大きなジンベイザメは全長8.5mとのことで、その迫力に圧倒される人々の歓声がアチコチで起こっていました
そこには丁度飲食コーナーも設置されており、巨大なジンベイザメを眺めながら一休みできるようになっていますただ当然ながら人気スポットなので常に満席状態。待ち時間がかかるようだったので、我々は諦めました
と言うより、イルカショーの時間が迫っていたので、急がないといけません本当はもっとジンベイザメの雄大さを堪能したかったのですが「まあ、後でまた戻って来ればいいや
(※ただ水族館自体からは一旦出ないといけないので、本当に戻れるかどうかは不明)」と思いながら、さっさと通り過ぎることに
結果的にはもう戻って来ず、ジンベイザメの写真もロクに撮れませんでした1800円って結構高い入館料ですが、メインディッシュを一口しか食べないで終わってしまった感じ
とりあえず真上にジンベイザメを望める場所から一枚だけパチリ
イルカショー開始の時間があと10分に迫っていたので、お土産コーナーも素通りして、我々は会場へと急ぐのでした
美ら海水族館を出て、迷いながらもイルカショー会場までたどり着いた我々何とかギリギリ開演時間に間に合いました
ただ当時はまだ3月初旬で肌寒く、特に海風をモロに受ける会場でしたから、薄着の私は寒さに震えながら見ることに
しかし、そのショーの内容は期待以上の大迫力で大興奮イルカすげー
音楽に合わせて動き、そして大きく飛び跳ね、高速で泳ぎ・・・どうやってあれだけの芸を仕込ませることができたのやら
やっぱりイルカは賢い
しかし、あんな巨体がもし突然飛びかかってきたら、むっちゃ怖いですね
そう考えると飼育員には到底なれません
私も動画を撮ってきたのですが、より上手く撮れているのがYouTubeにアップされていたので、そちらをご確認ください。
いやー、実はイルカショーは特に入場料も徴収されないので、ここまで来たらタダで見ることができますからお奨めです正直、ジンベイザメの大きさよりも、こっちの方が感動しました
ショー自体は20分程度で終わり、お客さんは皆三々五々また各々のエリアに分かれていきました我々はウミガメのゾーンへと向かいます。そこには巨大なプールのような水槽があり、大量のウミガメが大きな身体狭しと泳いでいました
ウミガメを堪能した我々はいい加減お腹も空いてきたので、昼食の時間としますしかしながら、施設の中の食事処は案の定いっぱいで待たされる感じ
なので、ちょっと離れたところにある軽食を取れる喫茶みたいなところで食べることにしました。・・・が、頼んで出てきたピラフは完全なる冷凍ピラフをチンしたもので、超ガッカリな昼食でした
そんなガッカリな昼食を食べた後は、美ら海水族館と同じく海洋博公園の敷地内にある植物園へと向かいますまあこの辺は私よりも母の方が興味があったところで、私は正直あまり印象に残っていません
熱帯植物園なので施設内が暖かかったこと、バナナとか普段見られない熱帯系の植物が見られたことは良かったですが
施設内にはカタツムリのような渦を巻いた塔があり、その上の方から海をパチリ高所恐怖症のクセに高いところがあると上ってみたくなる。テントウムシのような私
十分堪能した我々はタクシーに戻り、次の目的地「名護パイナップルパーク」へと向かいます。その名の通りパイナップル園を中心とした施設なのですが、目玉は全自動で進むカートレールではなく、恐らく地面に埋め込まれたルートを自動制御された車(タイヤ)で進んでいきながら、広いパイナップル園を巡るという正直無駄にハイテクなスポットです
そんなわけで早速カートに乗り込もう・・・と思ったら、まず入り口で得体の知れないマスコットキャラクターと問答無用で記念写真を一枚パチリと撮られます私的にはその時点でちょっと嫌気が差しているのですが、目を閉じてしまったらしく、再度グイッと腕を掴まれ引き戻され、また撮り直されました
笑顔のままのマスコットと、うんざり顔の私の見事な対比
↓園内に延々と流れ続ける脅威のテーマソング
そして無愛想なスタッフに誘導されて、機械的な感じでカートにドナドナと乗せられますそれはまるで出荷されるパイナップルの気分を疑似体験できるかのようでした
パイナップルは私今までずっと木になるものだ、と思っていたのですが、実は畑から生えてくるんですね草の中にポコッとパイナップルの実がなっており、それを収穫するのだそうです。
↓※パイナップルは偽物です
ただ、残念ながら我々が行った時は時期ではなかったので(夏場が旬)、実のついていない単に鬱蒼と生い茂る草の中を、愉快な語り口調の音声ガイダンスを聞きながら延々と進んでいくだけでした一つだけ実際に実がなっていたそうなのですが、私は思いっきり見逃しました
カートの自動操縦ツアーの最後で「こちらを向いてください」と指示があり、振り向くとまたパチリそして15分ほどのカートツアーを終えると「はい、この写真が出来上がっていますよ
」と押し売り
で、普通は大体無視していく人が大半だと思うのですが、お買い上げのmy mother
「なんでこんな写真買うんよー」と私が言うと「だって旅行に来て二人写っている写真が無いから記念に
」とか言います。うーん、まあそう言われれば確かに
そうでもしないと私も今更親子で恥ずかしくて写真撮ってもらいませんからね。しかし1000円は高い
こんな商売然としている写真を買わされるくらいなら、どこかで誰かに撮ってもらえば良かった
で、その後パイナップルの試食。食べ放題ということですが、正直パイナップルをそんなにたくさん食べたいとは思わないので、二切れ程度食べて終わりますしかも残念ながら収穫の時期ではないので、台湾産のパイナップルだとのこと
全くライブ感0
その後パイナップルの豆知識が随所随所に書かれた通りを進むと、土産物屋がズラリ並んでいますパイナップルパークの正体見たり
どうもパイナップル製の土産物を中心に、それ以外の沖縄土産も含めた土産販売が目的の施設であり、グイグイ土産物をプッシュされます
私はやや辟易
それなら入場料取らなきゃ良いのに・・・
そんなわけで、事前に結構期待していた分ガッカリ感満載中国系観光客の皆さんはお金持ちなのでどっさり買い込んでおられましたが、我々は程々に・・・と思ったら、目を離した隙にまた母が結構バシバシ買っています
「だって1万円以上買ったら送料無料らしいよ
」ということですが、そんなに土産買わんといかんのか
送料払った方が安いんじゃないの?
とにかくうちの母は土産のプレッシャーが強いらしく、さっさと買ってしまわないと落ち着かないのだとのこと私が「何度も同じ系統の店を回る場合(今回の場合土産物屋)、一般的に3カ所は見送るべき。そうして4カ所目で過去3店舗の店と比較して安かったり良かったりすれば買えば良いし、無ければ次のところで選ぶべき・・・」という哲学を助言したにもかかわらずガン無視
で、結局まんまと術中にはまり1万円以上買い込んだ母まだ買いたかったみたいですが「はよホテルに戻ろうぜ
」と私はほとほと疲れ果て。非常に酸っぱい思い出のパークとなりました
私がもし政治家になったら「土産禁止法」を作ろうと心に固く誓いました
パイナップルパークから出ると、本日の日程は終了タクシーでホテルへと戻ります
ホテルは那覇市のJALシティ那覇に
名護のパイナップルパークから那覇市のホテルへは高速を使って1時間半くらいの道のり。あとは運転手の安藤さんに全てをお任せして、我々は後部シートでぐったり
母は早々に寝てしまい、私も高速の景色を眺めていると段々と猛烈な睡魔に襲われてきました。普段乗り物に乗ってもあまり寝ない私なのですが、今日はさすがに疲れた・・・
ただ、あまり二人で思いっきり寝てしまうのも悪い感じがするので、私は何とか頑張って起きるよう努力していました
そのうち、どうも安藤さんの背中からは段々と殺気めいたものを感じるようになってきました恐らく道路の混み具合を見て、予定時刻の18時までにホテルに到着できるかどうかが微妙な感じになってきたみたいなのです。おもむろにガムを噛み始め、戦闘モードに切り替えた様子の安藤さん
見るからに運転に荒さが出てきて、高速で車と車の隙間を縫うように蛇行で走り抜けています私は半分寝かかりながらも、ちょっと怖さを感じるようになってきました
おいおい、捕まっても知らんぞ
そのうちオチオチ寝ていられなくなり、ハッキリと目が覚めてしまいました
朝方安藤さんと交わした会話。「沖縄の道路は単車が多くて、しかも彼らは自分だけ事故らないと思いこんでるかのように、車と車の隙間を蛇行して走っている。危なっかしくて仕方ない。最近ようやく県警も本気で取り締まるようになってきて、昔に比べて随分減ったけど・・・」なるほど、お客さんを安全に運ぶ使命のある人の言葉だなあ、と思っていたのですが・・・
本質的には走り屋的な血が疼いてきたのでしょうかおよそハイヤーとは思えないスピードで猛然と突き進んでいきます
やがて那覇市のインターに辿り着くと「○○円になります」と後ろ手でお金を要求されます。高速代はその場で別途お客負担ということなので、私は財布から数千円出して渡すと、そのまま高速代を払い、お釣りをまた後ろ手で無言で渡してきます
で、高速を降りると那覇市は夕方のラッシュ時ということもあって、明らかに道路が渋滞しています安藤さんは車一台分の隙間を見付ける度にウィンカーを挙げてそのスペースに車体をねじ込み、ギリギリの運転を続けています
やがて安藤さんの携帯が鳴ります。恐らく会社かどこかからかかかってきたようなのですが、安藤さんは舌打ちしながらそれを無視。安藤さんを急かします誰?こんな時に電話してくんの
やめてー
ようやく目的地までもう少し、というところで、現地の人しか知らないような裏道に入りますそして対向車が来ると恐らくアウトな非常に狭い路地を通り抜けます。通行人と接触しそうな程、ギリギリのラインを攻めていき、私は内心ヒヤヒヤ
母は引き続きガッツリ寝ています
そしてようやく目的地に到着その時私は電波時計を見てびっくり
マジで18時5秒前に目的地に到着し、その神業ぶりをマジマジと見せつけられました
到着してようやく母も目覚め、荷物を下ろしてもらうと「本日はご利用誠にありがとうございました」と、さも造作もないような感じで深々とお辞儀。我々もお辞儀で返すと安藤さんは颯爽と再度車に乗り込み、携帯電話で折電している様子その姿から一仕事を終えたゴルゴ13のようなプロフェッショナルさを感じられて、思わず「すげー
」と嘆息した私でした。隣で母はあくびをしていました。
その日から2泊のホテルは前回のアリビラとは大きく異なり、ちょっと良いビジネスホテル程度のところまあ贅沢は言っていられません
荷物を置いてホテル内のレストランでプチ贅沢な夕食を済ませると(ちなみにフォアグラは生まれて初めて食べました。値段は数千円とリーズナブルなコース
)、国際通りのまた土産物屋巡りへ
案の定、国際通りの土産物屋の方が先ほどのパイナップルパークよりも安かったりします送料も安いですし。あーあ、言わんこっちゃない
ガッカリする母
で、安いと思うとまた追加で土産をバシバシ買っていきます
姉家で飼っている犬の服まで買っていこうとする母。わざわざこんな旅先で買わなくても・・・ワゴンセールで990円とか書いてあったので、安いと思って店に入り「名前もプリントできます
」と薦められるがままに話を進めていくと、結果3000円になっていました
母は後で「ダマされた
」とか言っていましたが、大体そんなもんでしょう
そんな感じでまた土産土産の連続Tシャツ屋の前に行くと「あんた、こんなTシャツ欲しいって言ってなかった?」とか大声で言って、私にまで買わせようとします
店の人もそれを契機に私に猛プッシュ
もう私はうんざりして「いらん
」「そんなの着たくない
」とバッサバッサと明確に切り捨て
何で身内に売り込まれないといかんのか
途中、国際通りでは全身を銀色に塗りたくったパフォーマーがパントマイムをしており「1000円ほど渡しておこうかね?」と投げ銭しようとしています。まあその気持ちは良いと思うけど、100円くらいで良いよ
どうも貧乏人のクセに旅行でテンションが上がって金銭感覚がマヒしています
で、私の分と併せて200円を出すと、パフォーマーが「一緒に写真でも撮らないか」とジェスチャー。私はこっ恥ずかしかったので、離れたところから一枚だけパチリ
結果、また大量の土産を抱え込んで散財ようやく国際通りを巡り終え、ホテルに戻りました
こうして沖縄の二日目を無事(?)終えることができました
(つづく)