養育費の強制執行の実行までの流れ

このページは、当事者が話し合いの末、今後、どのようになさるかをお決め頂くため、ご参考用のページとして掲載致します。

養育費の強制執行は、養育費の支払者の勤務先に対して、毎月の給料等、賃金を差し押さえることを前提にしています。

また、状況によっては話し合いにより円満に解決する場合もございますので、必ずしも表題通りの内容にはなりません。その旨ご了承下さい。

主な流れ

1.話し合い 2.離婚協議へ移行 3.離婚協議書公正証書の手続き 4.強制執行の申立書作成及び申立

3.離婚協議書公正証書の手続き

手続きに関しては、公証役場へお問い合わせ頂く必要があります。但し、どのような手続きを踏むか、事前にある程度認識しておくことで、お問い合わせの際、深く手続き方法が理解できると思います。

通常、公証役場へは2回程度、足を運ばなければなりません。まず打ち合わせとして、公正証書の内容を説明します。公証人はその場で公正証書を作成しませんので、次回、公正証書を引き取りに行く日にちを決め、1回目が終わります。2回目またはそれ以降に、公証人が公正証書を読み聞かせて、夫及び妻がその内容に誤りがないことを承認すると、夫・妻・公証人が各自、公正証書に署名押印します。

将来、強制執行をする可能性が、ある程度高いのであれば、公証役場への問い合わせ時に、「強制執行をする可能性があるので、送達してほしい」旨をお伝え下さい(打ち合わせ時以降でも可)。

公証人は、執行認諾約款付きの公正証書(以下、執行証書と表記)を送達するために必要な手続きを行います。債務者側に公正証書謄本を手渡しまたは郵送し、その内容が正確であることを債務者側に確認させることによって、公証人として、事実上、内容の最終確認を行います。そのため、公正証書謄本が相手方に届いたとみなされるまで、強制執行の申立ができません。

執行証書を送達するためには費用がかかりますが、債務者側に郵送する場合には、ある程度の日数もかかります。公正証書を作成した時点で費用(謄本を手渡しではなく郵送の場合は、併せて日数)をかけるか、強制執行の申立を行う直前で費用と日数をかけるかご検討なさって下さい。

用意する物・伝える内容
問い合わせ時

持参物・費用の確認・公証役場へ行く日にちを決めるため、メモ用紙を用意してから問い合わせる

執行認諾約款付きの離婚協議書公正証書を作成することを伝える

この段階で執行証書を相手方に送達するのであれば、その旨を伝える

厚生年金の合意による分割がある場合は、その旨を伝える(合意による分割の内容を公正証書と切り離し、私署証書の認証を受けても可能。認証を受ける書類が必要。手続きは公証役場へお問い合わせ下さい)

打ち合わせ時及び公正証書の引き取り時、夫または妻が公証役場へ行かれない場合、その旨を伝える(持参物が異なるため)

公証役場によっては、この時点で離婚協議書をFAXで送ることを認めている場所もある。伝え漏れが防げて話がスムーズに進みやすい、公証人にとっては時間短縮になる

打ち合わせ時

離婚協議内容を伝える(離婚協議書があれば持参。コピーであれば、そのまま渡してしまう)

夫・妻の双方が公証役場へ行く場合、本人確認書類として、運転免許証またはパスポート。打ち合わせ時のみ一方が公証役場へ行けない場合は、行けない人の本人確認書類のコピー(公正証書引き取り時に現物が必要)

認め印

夫婦の証明として戸籍謄本1通(離婚後の場合は、各自各1通)

不動産等の受け渡しがある場合は、不動産ごとに評価証明書各1通

年金分割を行う場合は、年金手帳各1通

養育費等の入金口座の預金通帳

次回、公証役場へ行く日にちを決め、その他、必要に応じてメモが必要なため、メモ用紙

公正証書
引き取り時

夫及び妻の双方が公証役場へ行く場合、認め印(その他については公証役場へ問い合わせが必要)

費用

公正証書にするための公証人手数料についてはこちら

厚生年金の合意による分割:1万1000円(公正証書の場合)

厚生年金の合意による分割:5500円(認証の場合)

執行証書の謄本送達費用:1400円(送達する場合)

送達証明申請手数料:250円(送達する場合。強制執行の申立書の添付書類として必要)

公証役場へ行く交通費

4.強制執行の申立書作成及び申立

この段階では、執行証書の謄本を債務者へ送達した後の段階です。

養育費等が支払われなくなった時点で、公正証書に執行文を付与する手続き及び強制執行の手続きができます。

執行文の付与申請手数料は1700円です。謄本をもらう場合は、別途手数料がかかります。公正証書を作成した公証役場へ料金・持参物・日程をお問い合わせの上、申請して下さい。

このページでの強制執行の内容は、相手方の給料から、相手方の勤務先企業が天引きして支払いますので、勤務先企業に特別な問題(強制執行の邪魔をする等)がなく、その企業に相手方が勤務している限り(現在の景気で勤務先企業を辞職することは考えにくいですが)、一般的には勤務先企業の担当者と話し合った上で、養育費が送られてきます(原則的には、相手方の勤務先企業へ行き、取り立てることになっています。また、通常、送金手数料は、取立者の負担ですので、差引き後の金額が送金されてきます)。極めて強力で、養育費が計算できる一方で、手間がかかります。

申立書には、各裁判所の管轄及び書式があり、管轄は債務者側の住所地になります。

また、各裁判所は裁量の権限(判断できる権限)を持っていますので、各裁判所の裁量により、申立書の内容に、一部異なる場合が出てきます。

よって、申立書を作成する場合には、裁判所への問い合わせが必須になります。具体的には、申立にかかる費用を、一旦、申立者が立て替え、養育費等と合算して、申し立てられた側(債務者側)に支払わせる「執行費用」といったものがあります。

しかし、必ずしも全費用が認められるわけではありませんので、計上可能な許容範囲を問い合わさなければなりません。また、内容によっては、裁判所側で判断するための日数を要する場合もあります。

申立書作成時の留意点
氏名

公正証書の記載通りに記載する

公正証書の表記と現在の氏名とが異なる場合は、申立書に戸籍謄本を添付し、公正証書及び戸籍謄本の記載通りに新旧の氏名を併記する

住所

公正証書の記載通りに「例:○丁目○番○号,○丁目○番地等」と記載する。「○−○−○」等は不可

住所に建物名がある場合は、住所から続けず、郵便物の宛先のように改行してから記載することも可能。裁判所が分かりやすい記載にする

公正証書の表記と現住所とが異なる場合は、申立書に、公正証書に記載の住所から現住所へ移転している記載のある住民票を添付し、公正証書及び住民票の記載通りに新旧の住所を併記する

住民票に、旧住所からの移転の記載がない(移転の証明ができない)場合は、裁判所に問い合わせる必要があるが、住民票の代わりに戸籍の附票を添付する

基本的には、債権者(申立者)のみ、裁判所からの郵便物の送付先を指定することができ、指定する場合は、その宛先も併記する

債務者の送付先住所は指定できない場合が一般的だが、申立を行っても、申立命令が債務者側に届くまで(または届いたとみなされるまで)強制執行できないため、裁判所に問い合わせて、可能であれば、早く債務者側に届くよう、債務者の送付先住所を指定した方がよい

第三債務者としての勤務先企業へは、通常、本店を宛先として郵送すればよいため、送付先住所は、基本的に不要。もし支店等が債務者へ給与を支払っている場合は、支店を送付先に指定することもできるが、裁判所への問い合わせが必要

住所地の証明として、本店を郵送物の送付先にする場合は、本店の代表者事項証明書が必要。支店を送付先にする場合は、本店所在地の記載がある支店の代表者事項証明書が必要(支店の場合は、登記されている内容によって取得できない可能性がある。郵送による請求の場合は、取得方法について、事前に法務局へ問い合わせが必要。本店を送付先にする場合は、特に問い合わせは不要)。

郵送による代表者事項証明書の請求は、こちらを印刷・記入(見本)・登記印紙1000円分(郵便局で取得可)を貼付、返信用封筒に宛先として返信先を記入・返信分の切手を貼付し、同封後、法務局へ送付して下さい。

費用

申立手数料:申立債権者1名・債務者1名の場合、収入印紙4000円。申立書に貼付

予納郵券代:各裁判所により異なるが、5000円前後。決められた切手の種類及び枚数を提出

第三債務者の資格証明書申請手数料:通常1000円

書類取寄せ及び申立書郵送時にかかる郵送料

執行文付与申請手数料1700円

執行証書の謄本送達費用1400円(公正証書作成時に計上)

送達証明書申請手数料250円(公正証書作成時に計上)

公証役場へ行く交通費(公正証書作成時に計上)

その他かかる費用について、裁判所へ問い合わせが必要

合計:1万3350円+α(1万2000円前後は執行費用に計上可)

申立書を作成したら、申立書の最初のページ右上、申立者氏名の上辺りに収入印紙を貼付します。消印しないで下さい。また、各ページの間に割印をし、最初のページを含む各ページの頭に、捨て印を押印して下さい。

その他、各裁判所により、目録・返信用封筒(必要に応じて、陳述催告の申立書)の提出が求められます。各部数は裁判所ごとに異なります。

以上により、すべて作成できたら、管轄の裁判所へ提出または郵送をなさって下さい。

申立者,債務者,第三債務者へ申立命令が郵送され、各自に郵送されると、申立者へ送達通知書が送られます。それには、債務者及び第三債務者への送達日が記載されています。債務者への送達日から7日経過後から取立が可能になります。

実際に取り立てると、取立届を裁判所へ提出しなければなりません。養育費の場合は、通常、毎月取り立てることになりますので、毎月提出することになります。

申立書を一からご自身で作成なさるのは大変ではないかと思いますので、分かりやすく入力欄をまとめた申立書作成ページをご用意致しました。PC版イメージのページをご覧になって下さい。

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