M-114


天井
からが… 

       関東おとうさんコーラス大会 in いずのくに


加 藤 良 一    2013年8月2日







 真夏の年中行事、関東おとうさんコーラス大会、今年は関東支部の中で最も南にある静岡県伊豆の国市で開催されました。埼玉からスタートしたこの大会は、今年で通算24回目となりました。


24回 関東おとうさんコーラス大会 in いずのくに

2013727日(土)1230開演
伊豆の国市長岡総合会館アクシスかつらぎ大ホール

主催:全日本合唱連盟関東支部

後援:静岡県・伊豆の国市
  伊豆の国市教育委員会・朝日新聞社静岡総局

主管:静岡県合唱連盟




 参加は原則各県3団体までですが、主催県は特別にそれ以上でもよいとの申し合わせがあります。今回は、9県から計25団体、とくに主催県の静岡からは9団体が出てきました。

参加数

合唱団名

茨 城

3

あひる会男声合唱団、常磐ひたちメンネルコール、お父さんコーラス「ペペ」

栃 木

1

思い川男声合唱団

群 馬

1

メンネルコールJOY

埼 玉

3

ハゲマス会、Vive la Compagnie、男声あんさんぶる「ポパイ」

千 葉

3

男声合唱団「北総エコー」、多古町合唱団おろち、勇輝合唱団

神奈川

2

横浜並木男声合唱団、洋光台メンネルコール

新 潟

1

村上グリークラブ

山 梨

3

男声合唱団コールベアー、男声合唱団土声会、Peach Boys

静 岡

9

あんさんぶる“逍遥男声会”、男声合唱いず、Gioia魚河岸イケメンズ
伊豆の国混声合唱団男声サプラ伊豆、静岡男声合唱団、坦庵ボーイズ
男声合唱「BOSCO」、ザ・スクランブル、岳南メンネルコール

9

26

 


 各県3団体の制限は大会日程の都合上やむを得ないものとなっています。土曜の午後一杯を使って、演奏会とビアパーティ両方をこなそうというのですから、どうしても30団体以下に抑えなければなりません。ところが、埼玉ではこれが逆に足かせになっているのが現状です。埼玉では引き続き105日(土)に「彩の国男声コーラスフェスティバル2013」を計画しており、こちらは参加制限はとくにありません。というのは、県下の男声合唱団で参加してくるのが大体20数団体だからです。つまり、関東大会から2か月足らずで参加制限のない大会があって、しかも場所も近いとなると、埼玉県勢はどうしても関東大会から足が遠のいてしまうというわけです。このあたりが今後の課題でしょうね。

       

 さて、今回の会場となった伊豆の国市は、
2005年、伊豆長岡町、大仁町、韮山町の三町が合併してできた新しい市です。埼玉からだと3時間以上かかりますが、なんとか日帰りで行ける距離です。東京から新幹線で三島を経由し、SUICAPASMOも使えない伊豆箱根鉄道に乗り換えて伊豆長岡駅で下車します。ホールは駅からほど近い場所です。最も遠い新潟からは5時間以上かかりますので、みなさん大変だったことでしょう。


 演奏順は恒例によりくじ引きで決めました。同じ県や似たような曲が重ならないよう予め決めてしまうという手もありますが、まあ行き当たりばったりで…、それもまた楽しいでしょうか。

 アクシスかつらぎ大ホールは1,000席、出演者と関係者、それに一般のお客さんでそこそこ埋まってしまいました。夏のお祭りですからどの団もタキシードなど着ず、揃いのTシャツや気ままな服装の団が多かったのはいつものことです。埼玉はどうだったかというと、男声あんさんぶる「ポパイ」は自慢のロゴ入りTシャツでしたが、ハゲマス会Vive la Compagnie(ヴィヴ・ラ・コンパニー)はいずれも好き勝手な服装としました。ハゲマはもともと埼玉県連理事の揃いのTシャツがありますが、今回は(ここだけの話ですが)理事以外の参加者のほうが多かったので揃いはやめました。ヴィヴコンは着るとしたら黒いカッターシャツになりますが、これも荷物になるので取りやめとしました。
 また、ハゲマとヴィヴコン共にイベント合唱団なので事前練習もままならず、当日のリハーサルが唯一合わせられる機会になってしまいました。当然、各自責任を持って練習をしてくるのが大前提です。しかし、それなのにハゲマのリハに間に合ったのは15人中たったの6人、果たして本番はどんな音になるんだろうか…、要するに文字通りブッツケホンバンと相成りました。結果は、定番曲ということもあってブッツケだったわけですが、その分お互いがより一層聴きあいながら歌ったので、まあまあの演奏になったかなというところです。お客さんには果たしてどのように届いたでしょうか。


 演奏会は12時半スタートです。司会者(プロ?)が団の紹介をしたりインタビューなどを交えてステージを盛り上げてくれました。演奏時間は(たったの)5分間。演奏された曲のうち多田武彦作品は、「喪服の蝶」 「雨」 「歳月」 「夏雲」 「雨あがり」 「蟇」など、相変わらずの人気です。また、最近よく歌われる竹花秀昭「大漁唄い込み」や相澤直人「ぜんぶ」、さらにはポップスや定番曲などさまざまな曲が演奏されました。やや毛色の変わったものとしては、男声あんさんぶる「ポパイ」の間宮芳生「引き念仏」でした。しっかりした発声でないと歌えない難曲です。


 途中5分間の休憩のあと、残された演奏も4団体となり、地元の男声サプラ伊豆の演奏がまさに始まろうかというとき、天井の中央付近からシューっという音とともに霧のようなものが降ってきました。おやおや変わった演出だなと天井を見上げているうち、次第にそれが勢いを増していったのです。霧ではなく小雨に変わり、しまいにはぼたぼたと客席に落ちるほど大粒の雨に変わってきたのです。

   

 私はやや左手寄りの席だったので初めはほとんど降りかかりませんでしたが、真下にいた人たちは傘を拡げたり、逃げ出したりと場内騒然となってしまいました。

 そうこうするうちにあふれ出した雨(?)が通路の階段を流れ落ちる事態になり、とても演奏を続けられる状態ではありません。ここに至って、やむをえず隣りの懇親会場へ移動して残りの演奏をやることとなりました。しかし、懇親会場にステージはあるものの、学校の舞台のような音響を考慮していないものでした。さらに、目の前にはビールが用意されています。聴いているほうはほとんど上の空…、歌いにくかったでしょうね。会場はビールや食べ物を目の前にしてざわつき気味でした。
 残りの4団体、伊豆の国混声合唱団男声サプラ伊豆あひる会男声合唱団男声合唱いずお父さんコーラスペペの演奏も無事終了。引き続き、梅山関東支部長はじめ役員による鏡割りを皮切りに、お待ちかねの懇親会へと突入しました。

  

    

   

   

      

  

 
 伊豆の国市には、世界文化遺産登録を目指す韮山反射炉があります。今回の大会のプログラム表紙にも紹介されています。反射炉とは、鉄を溶かすための溶解炉で、江戸時代末期、品川台場に設置する大砲を作るために建てられたといいます。実際に大砲を製造した反射炉としては、国内で唯一現存するものです。現在でも、鉄以外の金属の精錬には使われていて、熱を発生させる燃焼室と精錬を行う炉床が別室になっているのが特徴で、燃焼室で発生した熱つまり熱線と燃焼ガスを天井や壁で反射し、炉床に熱を集中させる方式のことです。今では他の方式に取って代わられましたが、銅製錬や再生アルミニウムの融解炉として使われているとのことです。
 反射炉の背景には富士山がそびえ立ち、二つの世界文化遺産が一枚の絵に収まる日が来ることをお祈りします。鉄は打たれてこそ強くなります。静岡県連の皆様、天井から雨の予期せぬハプニングにも冷静に対処されたことに対し心より感謝申し上げます。韮山反射炉の世界文化遺産登録の実現とともに静岡県連のますますのご発展をお祈りいたします。


 加えて、伊豆の国混声合唱団の女声陣のみなさんが、心を込めて作ってくれた犬のブローチが参加者全員にプレゼントされました。ちょっとしたことですが、心遣いがうれしいですね。まぁ、とにかく記憶に残る、後世に永く言い伝えられる名イベント(?)となりました。それにつけても、静岡県連役員の皆様方は大変なご苦労をされたことでしょう。

 そして、忘れてならないのは、大分の本格焼酎 iichiko でお馴染の三和酒類さんから「いいちこ日田全麹」が提供され、出演者全員にお土産のプレゼントがありました。いつも大変お世話になっています。男声合唱愛好者はぜひご愛顧をお願いしておきます(^_-)
 次回は山梨県で開催予定です。

 




関連情報<音楽/合唱 欄>
2012年12月「関東の男声合唱事情」(M-113
2012年
12月「2回 全日本男声合唱フェスティバル in ふくしま トリオ・ザ・ケイイチ」(M-112

2012年9月「23 関東おとうさんコーラス大会 in にいがた」(M-111
2011年9月「22 関東おとうさんコーラス大会 in いばらき」(M-99
2010年8月「真夏の男の祭典 第21回関東おとうさんコーラス大会 in かながわ」(M-92
2009年8月「20回関東おとうさんコーラス大会 in ちば」(M-86
2008年8月「19回関東おとうさんコーラス大会 in ぐんま」(M-78
2005年8月「16回おとうさんコーラス大会」(M-62
20058月「夏の秩父」(M-60
2004年8月「渋滞は忘れたころにやってくる」(M-48
2003年8月「14回おとうさんコーラス大会 in 秩父」(M-33
2002年3月「秩父の山々に響け! 男声合唱」(M-2

(以下は、音楽/合唱欄の下のほうにあります)
200293日「関東おとうさんコーラス発祥の地 サッポロビール埼玉工場閉鎖
2002811日「関東おとうさんコーラス大会 in 小出郷」

 



      

        音楽・合唱コーナーTOPへ       HOME PAGEへ