M-112
加 藤 良 一 2012年12月8日
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プログラムは各団の演奏のあいだに三つの合同演奏、それに加えて地元福島の安積黎明高校と葵高校の合同で女声合唱の特別演奏が盛り込まれていました。
<合同演奏>
《前日の練習風景》
浅井敬壹氏
清水敬一氏 須賀敬一氏
さて、今回の大会ではどのような曲が歌われたでしょうか。今回会津に集った団体が全国の縮図になっているとは思えませんが、一応大学から老舗合唱団まで揃っていました。そんなことも前提として曲目を見てみましょう。
晴れの国男声合唱団「コラレーヤ」 |
多田武彦 「雨」から 武蔵野の雨、雨の日に見る、雨 |
男声合唱団コールM |
信長貴富 「見よ、かの蒼空に」から 煙、少年、終曲 |
トンペイ・メモリアルズ12 |
多田武彦 「尾崎喜八の詩から」から 冬野、かけす |
男声合唱団「音音」 |
メンデルスゾーン 死せる者は幸いなり、賢い者は輝き |
会津混声合唱団 |
多田武彦 「柳河風俗詩」から 柳河、かきつばた、梅雨の晴れ間 |
北海道大学合唱団 |
鈴木輝昭 満天の感情 |
男声合唱団「トリンクリート」 |
佐藤 眞 「土の歌」から 天地の祈り、地上の祈り |
スターウィンド |
黒人霊歌 Ride the Chariot 小林亜星曲、猪間道明編 ガッチャマンの歌 菅野よう子曲、朝川朋之編 花は咲く |
合唱団京都エコー |
清水 脩 智恵子抄巻末のうた六首 |
矢吹ヶ原グリークラブ |
多田武彦 「柳河風俗詩」から 柳河、かきつばた、梅雨の晴れ間 |
どさんコラリアーズ |
千原英喜 「どちりなきりしたん」から W、X |
Qua-MEN |
多田武彦 「縁深い故郷の村で」から 壽に |
南沼原男声合唱団 |
木下牧子「いつからか野に立つて」から 虹 |
Belle
Equipe |
ロッシーニ曲、Runswick編 セビリアの理髪師序曲 |
男声合唱団いわきメンネルコール |
清水 脩曲、福永陽一郎編 そうらん節、最上川舟唄 |
会津高校OB合唱団 |
石河 清 いのち ワーグナー「タンホイザー」から 巡礼の合唱 |
大阪メールクワィアー |
田三郎 「この地上」から 虎、白い馬 |
相馬男声合唱団 |
シューベルト
「Deutsche Messe」から Heilig |
コール・ジョンダー米沢男声合唱団 |
松下 耕 「秋の瞳」から はらへたまつてゆくかなしみ、うつくしいもの |
いそべとし記念男声合唱団 |
磯部 俶曲、須賀敬一編 「噴水のある風景」から 林の中、松の花 |
あんさんぶる逍遙男声会 |
田三郎曲、須賀敬一編「典礼聖歌 第二集」から しあわせなかたマリア、 |
北海道男声合唱団 |
浜頭瑛嗣編 「北海道賛歌メドレー」 雪の降る街を、宗谷岬、知床旅情、恋の街札幌 |
アンサンブル悠M |
中山晋平曲、信長貴富編 「ノスタルジア」から 砂山 |
四ツ橋筋中年合唱隊(Y.M.A.C.) |
黒人霊歌 ジェリコの戦い、時には母の無い子のように、聖者が町にやってくる |
いらか会合唱団 |
新実徳英 「決意」から 決意 |
演奏された曲の中からいくつか紹介しておきます。
トンペイ・メモリアルズ12の多田武彦「尾崎喜八の詩から」は、詩情溢れる表現で洗練された実力を感じさせる演奏でとても印象に残りました。この団は東京で活動する東北大OBのイベント合唱団で、毎年数字が一つずつ増えていきます。来年はメモリアルズ13と名前が変わります。また、同じく多田武彦「柳河風俗詩」を歌った会津混声合唱団の男声部門もしっかりした発声と丹念な音楽創りで共感が得られるものでした。
宮崎から参加したスターウィンドは、若い人が中心のグループだけにポピュラーな曲を爽やかで勢いのある演奏で楽しませてくれました。指揮者が若い安藤真奈美さんだからなおさらなんでしょうか。東京から参加したBelle Equipeの「セビリアの理髪師序曲」はヴォイス・パーカッションも駆使し、スピード感満点の演奏、素晴らしいテクニックも魅力的でした。
地元会津高校OB合唱団には男声合唱プロジェクトYARO会の仲間が二人もいるのであまりほめたくはないのですが、ワーグナー「巡礼の合唱」はなかなか見事な演奏でした。さすが名門、盛大な拍手を受けていました。トリを務めたいらか会合唱団は、今年8月に委嘱初演した、和合亮一詩/新実徳英作曲「男声合唱とピアノのための《決意》」を歌いました。詩人の故郷への切なる想いを音に託し、多くの人たちが歌うことで東日本ひいては日本全体にエールを送りたいという願いが込められています。
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両校の合唱レベルの高さには定評がありますが、ともにその昔は女学校でした。それが時代とともに共学の道を歩み現在に至っています。とにかく合唱王国福島の名に恥じない素晴らしい演奏でした。
安積黎明は、1911年福島県安積郡立安積実科高等女学校として創立→群立安積高等女学校→県立安積高等女学校→県立安積女子高等学校→2001年県立安積黎明高等学校と改称、共学となっています。いっぽうの葵高校は、1893年私立会津女学校として設立→若松市立会津女子技芸学校→県立会津高等女学校→県立会津女子高等学校→2002年県立葵高等学校と改称、同じく共学となりました。
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交流会は会津駅前のワシントンホテル。浅井理事長の乾杯の音頭で開幕しました。会場のあちこちで旧交を温めあうシーンが展開されさながら同窓会の様相を呈していましたが、お互いに仲間を紹介し合うなど男声合唱の輪がどんどん広がっていくのは楽しいものです。
今大会のひとつの特長としてFacebookのお友だち同士がリアルにお会いする絶好の機会となったことは無視できないでしょう。初対面ではあっても毎日写真であいさつしているから、すぐに相手とわかり、何の隔てもなく打ち解けてしまい、アッという間に旧知の仲となってしまいます。Facebookなどのソーシャルネットワークの影響力の大きさにあらためて感心させられました。
いざ、二次会へと同じホテルの最上階のレストランへ昇って行くと、そこにはすでに北海道+仙台組が陣取って呑んでおり、自然に合流。合唱談義に花が咲くにつれ時の経つのも忘れてしまいますが、翌日は(あろうことか)フェスティバルの本番ではありませんか。時間を気にしながら、本番のことも意識の片隅に微かにおきながら会津の夜は更けてゆくのでした。
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関連情報<音楽/合唱 欄>
2012年9月「第23回 関東おとうさんコーラス大会 in にいがた」(M-111)
2011年9月「第22回 関東おとうさんコーラス大会 in いばらき」(M-99)
2010年8月「真夏の男の祭典 第21回関東おとうさんコーラス大会 in かながわ」(M-92)
2009年8月「第20回関東おとうさんコーラス大会 in ちば」(M-86)
2008年8月「第19回関東おとうさんコーラス大会 in ぐんま」(M-78)
2005年8月「第16回おとうさんコーラス大会」(M-62)
2005年8月「夏の秩父」(M-60)
2004年8月「渋滞は忘れたころにやってくる」(M-48)
2003年8月「第14回おとうさんコーラス大会 in 秩父」(M-33)
2002年3月「秩父の山々に響け! 男声合唱」(M-2)
(以下は、音楽/合唱欄の下のほうにあります)
2002年9月3日「関東おとうさんコーラス発祥の地 サッポロビール埼玉工場閉鎖」
2002年8月11日「関東おとうさんコーラス大会 in 小出郷」