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第22回 関東おとうさんコーラス大会 in いばらき




 今年の関東おとうさんコーラス大会はじつに難産でした。というのも、会場である茨城県の日立市シビックセンター音楽ホールが東日本大震災の被害を受け、開催そのものが危ぶまれたからです。開催日は86日、参加申し込み期限は421日でした。しかし、震災後の復旧めどがはっきりしない中、ほんとにやれるのだろうかという心配が先に立っていました。そんなことも手伝ってか、埼玉では期限までにエントリーする団が一つも出て来なかったのです。
 この大会はそもそも参加枠が主催県を除いて各県3団体程度に絞られていることと、遠隔地であること、埼玉では引き続き10月に「彩の国男声コーラスフェスティバル」という独自の催しがあり、こちらはいつも県内20団体ほどが参加していますが、この二つの似たようなイベントが2か月のあいだに重なっていること、などが影響していると思われるのです。


 そうこうするうち6月に入って、会場の使用めどがつきそうだとの連絡があるとともに、あらためて追加募集の案内がありました。そこから水面下でメンバー集めの打診をはじめ、ようやく3団体のエントリーに漕ぎつけたのは6月中旬でした。参加団体は、男声合唱団コール・グランツ12名、男声合唱プロジェクトYARO会のメンバーで構成する男声合唱団 Vive la Compagnie 19名、埼玉県連理事を中心にした男声合唱団ハゲマス会8名の3団体総勢約40名となりました。



 埼玉から茨城の日立市へは意外と交通の便がよくありません。南北に常磐線が走っていますが、東西には単線の水戸線があるくらいで、あとは道路網しかないのです。けっきょく埼玉からは貸し切りバスに相乗りして行き、それに乗れない人は自家用車に分乗しました。東北道を加須インターから入り、北関東道を経て常磐道で日立中央インターへ向かいました。常磐道へ向かうルートが直前に復旧していたので大いに助かりました。おまけに震災の復興支援で、高速料金が無料になったのもうれしい誤算でした。もっとも、この支援策はトラックなどによる復興目的ではない便乗使用が頻発したため831日をもって打ち切りとなってしまいましたが…。われわれの利用は大きくいえば復興支援にちがいないと思っています。日立市シビックセンターでの開催は、平成10年の第9回大会以来2度目です。前回の時は本大会がまだ関東支部に拡大する前の埼玉が中心になって運営していた頃です。


 参加団体は、群馬1、山梨3、新潟2、神奈川1、静岡2、千葉3、栃木2、埼玉3、そして主催県茨城が6(主催県はアドヴァンテージがあります)の計23団体でした。初出場の団体から連続22回の出場記録を更新中という団体までさまざまでした。初出場といいながらアンサンブル・ド・イモ(茨城)は40年前に日立電線合唱団の中に生まれたという老舗でもあります。また22回すべてに出場し記録更新中なのはいわずと知れた我がコール・グランツで、ギネスブックへの登録を検討中です。





 メンバーがもっとも若かったのは、新潟大学医学部合唱団男声「煌星」(きらぼし)で、ふだんは新潟薬科大学との合同で混声合唱を歌っている男声陣ですが、今回のおとうさん(?)コーラス大会のために特別に編成した合唱団というわけです。彼らはまだ学生ですから、おとうさんと言われても困るでしょうが、とりあえず諦めてもらうしかありません。信長高富編曲「故郷」と松下耕編曲「とう坂みる坂」を柔らかな表現としっかりしたハーモニーで演奏しました。
(写真右)







 前々回(第20回)の開催地千葉県からやってきた多古町男声合唱団おろちは、地元開催を機に作られた合唱団です。失礼を顧みずに感想を述べれば、2年間でここまで変わるのかというほどレベルアップしていたのには少々驚きました。2年前はいかにも今集めましたという合唱団だったんです。


 Vive la Compagnie の母体は5団体からなる男声合唱プロジェクトYAROですが、今回は、男声合唱団ドン・キホーテを除く男声合唱団コール・グランツ男声あんさんぶる「ポパイ」男声合唱団イル・カンパニーレ男声合唱団メンネルA.E.C4団体有志が結集しました。曲は、前のジョイントコンサートでも歌った木下牧子作曲の「鴎」でした。





 


 埼玉県合唱連盟理事によるハゲマス会は、井川丹編曲による無伴奏男声合唱版「旅立ちの日に」を演奏しました。この曲はいうまでもなく全国の学校の卒業式で「仰げば尊し」などに代わって盛んに歌われている人気曲。元埼玉県合唱連盟の理事だった坂本浩美さんの作曲によるもので、埼玉県秩父市立影森中学校で教鞭をとっていた1991年にこの曲は作られました。(関連記事



 今回の大会で嬉しかったことのひとつが、大分県の三和酒類鰍ウんの絶大なる協賛があったことです。第二部の懇親会で<いいちこ>をふんだんに提供してくれるとともに、全員にお土産用のむぎ焼酎いいちこ日田全麹のミニボトルボトルが渡されました。これでこそおとうさんコーラス大会です。じつはお母さんコーラス大会では、スポンサーの<キューピー>さんがいつもお土産を出していたんですね。それでおとうさんにも何かお土産がでないかな、という話は前からあったんです。








 来年は、こしひかりや村上牛でお馴染の新潟県村上市で開催予定です。埼玉からはちょっと遠いので泊りにするかどうか思案中ですが、人集めに苦労しないようにしたいものです。関東おとうさんコーラス大会なのに何で新潟なのと思われた方は、こちら()に種明かしがありますのでご覧下さい。



  




関連情報<音楽/合唱 欄>
2010年8月「真夏の男の祭典」(M-92) 第21回関東おとうさんコーラス大会 IN かながわ
2009年8月「20回関東おとうさんコーラス大会 IN ちば」(M-86
2008
8月「19回関東おとうさんコーラス大会 IN ぐんま」(M-78
2005
8月「16回おとうさんコーラス大会」(M-62
2005
7月「夏の秩父」(M-60
2004
8月「渋滞は忘れたころにやってくる」(M-48
2003
8月「14回おとうさんコーラス大会 in 秩父」(M-33
2002
3月「秩父の山々に響け! 男声合唱」(M-2

(以下は、音楽/合唱欄の下のほうにあります)
2002
93日「関東おとうさんコーラス発祥の地 サッポロビール埼玉工場閉鎖
2002
811日「関東おとうさんコーラス大会 in 小出郷」



      

加 藤 良 一    2011年9月12日