その31: 山のフキ
花木の季節が終わりつつあり、これからは
見る楽しみから、食の楽しみへと移ります。
眩いばかりの新緑に覆われた山々は
山菜と言う恵みをもたらしてくれます。
わらび・ぜんまい・ふき・山葵等々
考えるだけでわくわくしてきます。
山菜のなかで一番の好みはふきです。
独特の香りと風味は何とも言い難い
食感でこの時期どうしても食したい
山菜です。家の周囲の至るところに
自生しています。少々細めの茎ですが、
平地の路地ものより、身が締まり、
香り・味とも最上級の部類に入ります。
この時期成長も早く毎日でも食べられる
ほどの分布状態で飽きが来ません。
家の周囲のふきもさることながら
更に極上は沢沿いに自生するフキです。
澄んだ沢の水に育まれた沢のフキは
数は余り多くは取れませんがその味と
香りはフキの王様と言えます。
この沢のフキを取りに山にはいるのも
この時期の楽しみの一つでもあります。
採ったふきをゆで上げ、アクを取り除き
じっくり煮込みます。
この煮込み具合を確認している時間の
経過も気持ちをゆったりさせてくれる
から不思議です。出来上がったもの
を肴に縁側越しの山々を眺めながら
のお酒は何ものにも替え難い至福の時です。
時間がゆっくりと過ぎて行くのを実感する瞬間でもあります。
鶯の競演が山間いに益々冴え渡っています。