この時期、夜明けの薄暗いうちから
空が明け始めるほんの15分から
20分のわずかの時間に鳴くのが
「ひぐらし」です。さざなみのような
押し寄せる感じで鳴く様は涼しげで
哀愁を帯びた音色に感じます。
だんだん空が明るくなり、「うぐいす」
が鳴き始める4時40分ごろには
つかぬ間の競演をすると主役の座を
「鶯」に譲り、いつの間にか聞こえなく
なります。その鳴声を耳にするには
夕暮れまで待たなければなりません。
なんともはかなさを感じる蝉でも
あります。そう感じるのは
私だけでしょうか。他のセミは限られた
間、一生分のエネルギーを発散させる
かのように懸命に鳴いているようにも
聞こえますが、この「ひぐらし」は
クールで冷めたように鳴く様が
一層の無常感を漂わせております。
夕暮れ時に聴く、「ひぐらし」は
なんとも言えぬ淋しさと心細さを
感じてしまいます。
鳴声だけでなかなか姿を見れないのは
うぐいすと同じで、不思議な因縁を
感じてしまいます。
写真下段の写真は借用したもので、
私が撮ったものではありません。
杉の森にその澄んだ鳴声が響き渡ります。
夏本番を実感する今日この頃です。