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童話 -お父さんはピアニスト-
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小林 哲哉

僕のお父さんはピアニスト。
とってもピアノが上手なんだ。
でも、お父さんはゆうめいじゃないから、お金はあんまりかせいでこないみたい。だから、
お母さんが中学校で英語を教えて、わが家をささえているの。
ぼくのなまえはテツオ、今、十才で小学校四年生、しょうらいの夢は、お父さんと同じピアニストだけど、
お母さんはピアニストでは、食べていけないからほかの仕事にしなさいと言われています。
お父さんはクラシックのピアニスト。
むかし、ヨーロッパにりゅうがくしようとしていたけれど、お金とチャンスがなくて
ヨーロッパには行けなかったみたい。
日本で小さなコンサートをひらいたときに、クラシック好きのお母さんと出会って
結婚したんだって。
お母さんはお父さんの好きなピアノの夢だけは追い続けてほしいと思っているみたい。
お父さんがいうには、日本ではどんなにピアノが上手でも、それだけでは食べていけないんだって。
だからお父さんは、ピアノの家庭教師やママさんコーラスのばんそうや、学校での音楽のじゅぎょうなんかの
仕事をしています。そして、たまにはお父さんのソロコンサートをおこなっています。
ふしぎなのはお父さんはゆうめいではないけれど、お父さんのピアノをきくためにずいぶん立派な人たちが
きています。なんでもずいぶん遠いところからもきているそうです。
お父さんは、本物がわかる人にわかってもらえばしあわせだっていっているから、
本物がわかる人たちがきているのかな。
まだ僕は、そこまではわかりません。
お父さんは若いときに、体が弱くて高校を卒業して何年か自然の多いなかで、せいようしていたそうです。
部屋の窓から見える鳥を友だちと思ってピアノをひくことだけが、たった一つの楽しみだったそうです。
それから体がよくなってから、音楽大学に行く勉強をしてごうかくしたそうです。
だからお父さんの夢は、鳥たちと虫たちがいっぱいいる森の中でピアノのコンサートをひらくことだそうです。
自分のピアノの回りに鳥たちがいっぱいあつまるようすをそうぞうしているときが、とても楽しいといっています。
だからヨーロッパに行けなくてもよかったかもしれないといっています。お母さんとも出会えたし、
日本の静かな森でピアノのコンサートをひらくことは、そんなにむずかしいことではないからと言っています。
でも、一番むずかしいのは、鳥たちや虫たちがあつまったら、お父さんは世界一のピアニストだと思います。
はやく、その日がきたらいいなと思います。僕のゆめは、僕がピアニストになること、そしてお父さんが
世界一のピアニストになることです。
鳥さん、虫さん、その日までまっててください。もしかしたら、僕はお父さんといっしょに
演奏するかもしれません。
ぜひ、そのときには、お母さんにはおしゃれをしてきてほしいと思います。そして、お父さんと
僕のピアノをきいてほしいです。
お母さんの洋ふくは、僕が買いたいです。
早く、その日がくればいいです。
