ダルマじょうしょうダルマ〜未来に繋げる株式投資〜

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ブランドエクイティ

 

※投資信託は専門外ですが、一応リクエストがありましたので取り上げました。投資信託なので短期的に見る方はおられないと思いますが、長期的な世界情勢も予測し辛いので、とりあえずは株と同様四半期単位のスパンで検証してみます。

3ヶ月以内投資判断 「中立」
買いのタイミング  現在(ただし新規買いはお奨めしない)
3ヶ月以内基準価格予想 3900円〜4400円

要点

・TOPIXを下回り運用成績は悪い。設定以後下落が続き、設定価格を上回ったのは06年と07年のみ。足下では低位安定が続いている。
・他の国内大型株に投資するファンドとは手数料は横並びであるが、パフォーマンス比較ではイマイチ。
・大型株よりも中小型株の方がパフォーマンスも良いため、敢えて大型株のファンドを選択するメリットは無い地合。


【ファンド概要】
新光投信の運用で2000年4月設定。リスク資産の95%は日本株に投資する純粋な株式投信。様々な業界においてトップクラスのブランド力があると判断される有力企業の株式を組入れ積極運用。4月決算。直近の分配金30円。


【手数料・運用報酬】
購入時に約3.2%、また純資産総額に対して約年1.6%の信託報酬がかかる。


【直近の組み入れ比率などステータス】
※最新のマンスリーレポートより10月末現在

1位 三井トラストHD(8309) 2.4%
2位 伊藤忠(8001)     2.1%
3位 三菱UFJリース(8593) 2.0%
4位 太平洋セメント(5233) 2.0%
5位 ユニ・チャーム(8113) 2.0%

組み入れ銘柄数64銘柄


業種別組み入れランキング
1位 電気機器 15.2%
2位 サービス 9.5%
3位 機械   9.2%


ファンドコンセプトに縛られて積極運用に制約がかかっているように思われる。例えば旬であるゲーム関連の銘柄も比率が小さい。ブランド力という点でもコナミ(9766)、カプコン(9697)といったところが入ってきても良かったのではないか。

特に配当利回りの高い銘柄を組み入れているというわけでもなく、銘柄選別には疑問符が残る。業種別の組み入れに関してはコンセプト的には妥当なところか。なお投信残高が現状73億円弱であり、一銘柄に対する投資額は1億円程度に止まる形。


【基準価格推移】
設定時はITバブル崩壊から株価が急落した場面であり、タイミングが悪かった。基準価格は3年後には5000円を割り込んでしまったが、その後はTOPIXが設定開始時点の水準を上回ったことで1万円を回復。

ただその後はリーマンショックの影響や、足下の震災・円高・欧州財政危機を迎えて基準価格は低迷が続く。03年以後は分配金再投資考慮後においてもTOPIXを下回る運用成績に止まっている。

残高は設定開始当初1000億円近くあったが、解約が相次いで現在は1/10以下にまで減少した。


【ファンド間比較】
過去5年間の同ファンドのリターンは−13.8%(その間TOPIXは−13.9%)。


インデックスファンド225

日興アセットが1988年に設定した日経225との連動を目指すファンド。6月決算。
直近の分配金は20円。購入時手数料は約2.1%、実質的信託報酬約0.6%。

組み入れTOP5
1位 ファーストリテイリング(9983) 6.3%
2位 ファナック(6954)       5.7%
3位 ソフトバンク(9984)      3.4%
4位 京セラ(6971)         3.1%
5位 KDDI(9433)          2.5%

典型的なパッシブ型投信であり、運用コストは低い。ただ今では上場ETFの方が主流になってきており、特段店頭で買う理由は少なそう。残高は1800億円と大きい。


アクティブ・ニッポン【愛称:武蔵】

98年に大和が設定。日本株に積極投資を行い、リターンを追求する。11月決算。
直近の分配金は無し。購入時手数料は約3.2%、実質的信託報酬約1.6%。

組み入れTOP5
1位 三菱UFJFG(8306) 2.6%
2位 ファナック(6954) 2.5%
3位 日産(7201)    2.1%
4位 東レ(3402)    2.0%
5位 三井住友FG(8316) 2.0%

日本株に対するアクティブ運用ではあるが、運用成績は同ファンド同様にTOPIXを下回る。手数料に見合う成果が出ておらず、過去5年リターン比較でも−14.2%と同ファンド比較でも劣る。

特に直近では銀行株の下落が足を引っ張っているようだが、業種別では武蔵の方も電気機器15.9%のウエイトを始めとして同ファンドと似たような配分。残高は300億円と同ファンドの4倍強の規模。


ダイワ 隆晴

05年に大和が設定。株主資本の効率的な活用が期待される日本株に投資。資本効率、経営戦略、配当政策等に着目して投資銘柄を選定し、流動性、株価水準、株主の状況等を勘案してポートフォリオを構築。12月決算。
直近の分配金は無し。購入時手数料は約3.2%、実質的信託報酬約1.6%。

組み入れTOP5
1位 グリー(3632)   2.4%
2位 アンリツ(6754)  2.2%
3位 日立(6501)    2.2%
4位 日野自動車(7205) 1.9%
5位 日産(7201)    1.9%

旬の銘柄を積極的に組み入れている姿勢が見て取れ、実際に設定来の運用成績も分配金を再投資したものではTOPIXを上回っている。過去5年のリターンも−13.0%と、同ファンドを上回る。残高は200億円で同ファンドの3倍弱程度。


日本実力株ファンド【愛称:リアルエコノミー】

新興投信で同ファンドと同じマネージャーが運用。日本株のうち、デフレの終息の恩恵を受けて業績や資産価値が評価されると期待できるリアルエコノミー企業(EBITDA倍率、PBRで割安と判断される企業、景気感応度係数の高い企業)の株式へ投資。6月決算。
直近の分配金は50円。購入時手数料は約3.2%、実質的信託報酬約1.6%。

組み入れTOP5
1位 三井トラストHD(8309) 3.5%
2位 住友商事(8053)    3.2%
3位 三井住友FG(8316)   3.1%
4位 オリックス(8591)   3.0%
5位 三菱UFJリース(8593) 2.9%

マネージャーが同じであるからか、コンセプトは異なるものの同ファンドと組み入れ上位銘柄は同じような印象。足下は金融系を中心として銘柄数を絞り、中型株も対象としている。直近5年のパフォーマンスは−12.1%と他の日本株アクティブファンドの中では一番マシな成績に。残高は9億円と、同ファンドの1/8規模。


日本株中心の投信は、TOPIXの下落を受けて総じて悪い印象。その中から更に手数料を取っているため、一般的には運用成績はTOPIXを下回っているものが多い。これであれば上場型のETFを買った方がまだマシという感じ。


【評価】
足下では欧州不安の高まりから、TOPIXも年初来安値を更新。最も基準価格が下押ししているタイミングとも言えるが、最悪期は間もなく脱するだろう。ここからは欧州不安の一服により債券価格も安定的となり、株式も上昇してくるものと想定される。為替の円安トレンド転換も成されるものと見て、目先数ヶ月は基準価格の回復が見込まれる。

一方でその他日本株対象の投信でも中小型の投信は相対的にパフォーマンスが良い。例えばJPモルガン運営の「JF ザ・ジャパン」は基準価格が2万円に近く、過去5年のリターンでもプラスを保つ。

これは東証の大型株指数と小型株指数を比べてもわかる通り、2000年以降は小型株のパフォーマンスの方が大型株を上回って推移してきたからである。結果、大型株の範囲で運用するというコンセプトには限界があることがわかる。現実的に分配金もここ数年出ていない。

東電(9501)、オリンパス(7733)の一件を見ても明らかなように、大型株であるから安全、株価は安定的と考えるのは今となっては単なる神話である。もし自身の分析力に自信が無く、運用のプロである投資信託に託してみたいと考えるのであれば、より自由な采配をふるえる中小型株ファンドを選択し、リスクを積極的に取り込みに行くような姿勢でないと中途半端と言えるだろう。


なお、最後に筆者の雑感としては、今後は「海外の債券で安定運用。分配金でお小遣い」というような文句に釣られるのではなく、頑張っている日本株を応援しようとするファンドがどんどん増えてくることを期待する。もっと言えば、このようなファンドに託すことなく、自身で株式投資を行うことで積極的にリターンを目指していく個人投資家が増えることに期待する。


※投資は自己責任でお願いします。文中の内容は現時点で予測できる範囲で想定されたものであり、投資成果を保証するものではありません。また同ファンドの中身に関して目論見書などを必ず再確認してください。

 

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