ダルマじょうしょうダルマ〜未来に繋げる株式投資〜

ご挨拶| 筆者紹介| Blog| 各種サービスのお申込| 過去のパフォーマンス| 銘柄レポート| FAQ| 掲載すべき事項|


フージャースコーポレーション(8907)

 

3ヶ月以内投資判断 「やや買い」
買いのタイミング  3月下旬頃か7万円を幾分割ったところで
3ヶ月以内株価予想 65000円〜9万円

要点

・会社計画は保守的な印象。ただし大幅に上回るような状況でもなさそう。
・テクニカル的には目先上値の重い局面。需給的にも信用買い残が増えてきていることが難点。ただもし何らかの材料で2月高値93000円を上抜くことができれば、15万円まで価格帯出来高の薄いゾーンに入るため、上値は一気に軽くなる見込み。
・同業他社との比較では若干割安な水準。
・資本面や地方での営業面で大きなバックボーンを見付けたい。


【企業概要】
不動産中堅でマンション販売がメイン。首都圏地盤にマンション「デュオ」シリーズを展開。4月からは持株会社制に移行。


【業績】
前期は大幅な増収増益。震災による先行き不透明感が出ていたものの、完成物件の引き渡しが順調に済んだことでV字回復を果たした。

今期は引き続き大幅な増収と営業増益を見込む。足元ではアベノミクス効果によるインフレ期待や、消費増税前の駆け込み需要などを背景に着実なマンション販売の伸びを期待できる環境に。地方への進出に積極的で、新しい地域での需要獲得に向けて進めている。新設した東北・京都支店共に来期以降本格寄与の見込み。

第三四半期時点で大幅な増収増益を達成しており、利益面においては既に通期計画を上回っている。新規支店開設費用などを販売増で十分吸収できた格好に。物件の引き渡し計画に対する進捗率も103.5%(うち自社分譲96.2%)と高い。

ただし、引き渡し時に売上が計上される性質を帯びているため、最終四半期に計上される数字は限定的となる見込み。新規物件着工のための費用計上などを見込んで、最終四半期は営業赤字も考えられる。


13年3月期予想(KA.Blog)単位:百万円

売上   32100
営業利益 6100
経常利益 5550
当期純益 3350


同社は例年通期見通しが保守的であるため、会社計画を上回る数値は出せるものと思われる。


有利子負債は122.1億円で前期から32億円減少
有利子負債比率(有利子負債÷自己資本)は85.5%
現預金は99.3億円
流動比率(流動資産÷流動負債 ×100)は241.5%で前期の197.6%から改善。

財務状況は良い方で、全般的に業績回復傾向のため前期より改善。同業他社との比較では概ね妥当な水準。


フリーキャッシュフローは中間期時点で57.0億円の黒字。

前期より利益が増えた分や買掛金が大きく増えた分、営業キャッシュフローが大幅に改善。フリーキャッシュフローは前期の赤字から黒字転換した。


粗利率は29.8%で、前期の35.0%との比較では悪化。
予想ROAは17.5%で、前期末の16.5%から改善。

今期の業績回復期待により、ROAは改善。一方、粗利はやや悪化する見込み。


ファイナンスに関しては不動産業であるため、案件次第では発生するリスクもある。足元の株高を受けて、一定量の発生リスクには留意したい。


【理論株価】
買収価値を示すEV(時価総額−現預金+有利子負債)は264.8億円。今期予想EBITDA(営業利益+減価償却費)は61.2億円であり、結果 EV/EBITDA倍率は4.3倍となる。同業他社の平均値がおよそ6.1倍と見立てられるが、それらを元に計算した理論株価は106869円となり、現状の株価は事業価値分析上は割安と捉えられる。


【株価推移】
02年の上場後は順調に上値追いの動きが続いたが、リーマンショック後に急落。一時高値から1/300近い水準の736円まで値を下げた。そこからは着実に下値を切り上げ回復基調にあり、足元では4年で10倍化と値動きは荒い。


【テクニカル】
長期的には11年10月、12年6月、9月〜13年1月までの安値を結ぶ下値支持線に沿った上昇トレンドを継続している。昨年3月、11月高値を結んで形成される上値抵抗線とで作られる三角持ち合いを上放れていることで、中期的な上昇トレンドには乗り始めているところ。

一方、短期的には第三四半期決算を受けて下落基調に。地合も金融緩和期待による不動産市況の上昇を十分織り込んだ水準にあったことから、足元では反動で25日線もあっさり割り込んでしまった。

MACDやパラボリックは暗転しているが、一目均衡表は三役好転の形を持続しており、完全にトレンドが変わったわけではないと言える。ボリンジャーバンドは+2σ〜−2σが狭まってきていることから、株価的にはやや推進力を失っている状態。RSIなどでは割安圏にきてはいるものの、目先はやや横ばい推移が続きそう。

他方、週足で見た場合もパラボリックが暗転してきたことで、一旦は上値追いの流れに歯止めがかかっているところ。一目均衡表やボリンジャーバンドなどを見ると上値追いの余力は残っている感じはあるが、積極性は無い印象。


【需給】
ここ4年間は上昇トレンドが続いており、概ね需給は良好である。特に足元の株価は07年以来の高値水準となっており、上値における売り圧力は小さいところ。特に07年は株価が15万円から5万円まで一気に急落したゾーンであり、価格帯出来高の薄い地帯と言える。

実際にここまでの戻り過程においても、10年12月や12年の3月などの急騰場面は、それぞれ08年6月以降の急落、07年7月以降の急落における価格帯出来高の薄さを利用したものであると捉えられる。

今回も2月高値が93000円で終わってしまったのは07年6月の戻り高値92900円のラインが強く意識されたからである。信用買い残も足元で少しずつ積み上がってきており、昨年2月以来の水準に。最近出来高が細ってきている中で次第に上値圧迫要因として意識される流れとなっている。

後述の他社との比較でも極端な割安感が見られないことから、2月高値を抜けるには何らか別途材料を必要とするだろう。ただ、もし逆にここを上抜くようであれば15万円まで節がなく、一気に値が爆発する可能性がある。


【同業他社比較】
同社の予想PERは7.2倍、PBRは1.9倍
今期予想営業利益率は19.4%、予想ROEは23.1%
配当利回りは1.1%
同業他社と比較すると、それぞれどのような位置付けだろうか。


大京(8840)
分譲マンション大手。「ライオンズ」ブランドを展開。オリックス(8591)が筆頭株主。

予想PERは6.1倍、PBRは1.1倍
今期予想営業利益率は7.3%、予想ROEは12.5%
有利子負債比率は66.6%
予想配当利回りは1.4%

株式価値的には同社に比べて割安だが、利益率は弱い。有利子負債も低く、オリックスがバックについているだけあって安心感がある。


コスモスイニシア(8844)
旧リクルートコスモス。マンション販売で中堅で、再生に向けて大和ハウス工業(1925)と業務提携。

予想PERは2.2倍、優先株を発行しているためPBRの算定無し。
今期予想営業利益率は3.4%、予想ROEは16.8%
有利子負債比率は71.0%
配当は無配

利益率は小さく、新興市場でもあることから概ね同社と比較して買われ過ぎの雰囲気。


タカラレーベン(8897)
首都圏でマンション分譲。売上規模は同社の2倍程度。

予想PERは8.3倍、PBRは1.4倍
今期予想営業利益率は10.9%、予想ROEは15.9%
有利子負債比率は118.3%
予想配当利回りは1.5%

利益率は同社に比べて低いものの、それ以外では概ね同水準程度。


ゴールドクレスト(8871)
都心にタワーマンションを展開。売上規模は同社の1.3倍程度。

予想PERは18.3倍、PBRは0.6倍
今期予想営業利益率は14.6%、予想ROEは3.2%
有利子負債比率は59.6%
予想配当利回りは2.4%

利益率は低いが配当利回りは高く、財務面でも安定感。同社との比較では若干割安な印象も。


同業他社との比較では目立って割高でも割安でもない。若干割安な水準程度。


【課題】
事業環境は足元ではインフレ期待に対する不動産取得意欲の向上や、消費増税前の駆け込み需要で明るい状態と言える。しかしその後の反動や、日本の人口構造などを考慮しても2015年にも民間住宅需要はピークアウトするという試算もあり、次第に厳しさを感じる流れになりそう。再来期までの間に、いかに国内景気・雇用が回復するかが不動産業界のカギを握る。

直接的な需要が減少する前に管理・リフォームを中心としたサービス事業や高齢者専用マンションなどに注力していくのも必要である。

足元では需要の伸び悩みが見られる首都圏から地方への展開を積極的に考え、販売代理などのフィービジネスや管理のストックビジネスに注力しているが、利益率が低くなるので痛し痒しである。それでもマンション以外の物件の仲介なども手がけていくことで、事業環境悪化に抗する術は身につけておきたい。

資本面や営業面では強力なバックボーンをつけたいところ。新天地で営業力を高めていくためには、どうしても地元地盤の不動産との協力関係構築が不可欠であり、資金面や地方にも顔を効くような大手との提携を模索する必要がありそうだ。

その他持株会社制に移行したタイミングでの優待や増配といった株主還元にも期待したい。配当性向7.7%は物足りない印象である。


【総合評価】
業績面の良さは地合の良さやテーマ性を背景に株価には十分織り込まれているものと思われ、更に一段と首都圏マンション販売動向が上向かないと、2月高値の上放れは難しそう。事業環境の好調継続も不透明な点が大きい。株価の需給面でも上値の重さを感じる。

それでも地合の好転が直近の株価下支え材料になると思われ、長期的なテクニカルの方向性や同業他社との比較的に下値余地よりは上値余地の方が大きいことから、中立よりは消極的な買い寄りと見て直近3ヶ月程度の投資判断は「やや買い」とした。来期業績のアナウンスに期待したい。


※株式投資は自己責任でお願いします。文中の内容は現時点で予測できる範囲で想定されたものであり、正確性や投資成果を保証するものではありません。

 

お問い合せ radi.res@gmail.com  北陸財務局長(金商)第23号 Copyright (C) radish-research. All Rights Reserved.