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ユアサ商事(8074)

 

※最近は有料銘柄診断の方が増えてきたことや、個人的に他に手間を取られることが増えてきたものですから、少なくとも年内は1ヶ月に一度程度レポートを出せれば良い方と考えています。

従いまして無料銘柄診断に関しましてはリクエストは随時承りますが、すぐにはお応えすることができません。ご迷惑おかけ致しますが予めご了承ください。


3ヶ月以内投資判断 「やや買い」
買いのタイミング  今週末の決算通過後
3ヶ月以内株価予想 120円〜170円

要点

・業績は着実な回復基調が続き、復興需要の取り込みなど材料性も豊富。工作機械の落ち込みが不安材料ではあるが、その他の事業環境も良好。円安傾向も支援材料。
・テクニカル的には上昇トレンドが継続中であり、下値はしっかり。今週末の決算で一目均衡表の雲を上抜けられれば、トレンド維持が確定か。一方、需給面では未だ重くのしかかる信用買い残の整理が求められる。
・同業他社との比較では、有利子負債の大きさ、営業利益率の低さが目に付く。
・新興国への進出は闇雲に行わず、エマージェンシーリスクの認識を今まで以上に持つべき。


【企業概要】
300年以上の歴史を持つ老舗商社。産業機械、工作機械、住宅建材、空調、建機、資源など総合的に扱う。今期は3年で売上倍増を目指す3ヶ年計画の初年度。山口県に出力約1200キロワットの大規模太陽光発電所(メガソーラー)を建設。来期は太陽光発電事業の売上180億円を目指す。

アジアを中心とした新興国に販売拠点を次々と確立し、現地進出の日本メーカーを取り込む。なおGSユアサコーポレーション(6674)との資本関係は現在解消されている。


【同社に該当する市場テーマ】
自動車(産業機械)、工作機械、住宅(建材、太陽光発電等の環境・省エネ商材)、建機、資源、LED照明


【業績】
前期は大幅な増収増益。製造業の新興国進出による自動車向け工作機械を中心に全セグメントで売上が伸びた。また復興需要の取り込みも大きい。

今期も増収増益を見込み、最終利益は12期ぶりの最高益更新の公算。幅広く手がけている事業は復興関連に当てはまるものが多く、着実な業績の積み上げが期待されている。

第一四半期時点で通期会社計画に対する進捗率は20%程度と低いものの例年並であり、特段懸念する必要はなさそう。住設・管材・空調部門は消費増税前の住宅駆け込み需要なども追い風となって、伸長の確度も高い。建築・エクステリア部門も足下で道路株の好調な決算が伝わっていることから安心感がある。

一方で、工作機械受注の推移を見ると足下で弱さが目立ち懸念材料。全体の第二四半期の受注額は第一四半期との比較で−3.6%と鈍化が目立つ。特に国内外での回復基調に急ブレーキの自動車向けが伸び悩み。

ただ、今後は反日による中国での販売不振から工場の移転が他のアジア地域に進めば、新規設備投資需要が増すことで逆に商機に繋がるとも言える。


12年9月中間期予想(KA.Blog)単位:百万円

売上   189000
営業利益 3300
経常利益 3300
当期純益 2000



中間期の売上は会社計画に届かないものの、前期比増収増益は確保の見込み。第一四半期からの粗利益率改善も奏功して利益ベースでは計画を上回るものと予想。

また例年最終四半期に若干の季節的プラス要因もあり、事業環境も総合的には良い流れが続くことで、通期予想に関しても会社計画からの上ブレも期待できるものと見込まれる。なお為替に関しては足元では円安反転の動きが出てきており、支援材料になりそう。


有利子負債は334.9億円で前期から14.6億円減少
有利子負債比率(有利子負債÷自己資本)は103.1%
現預金は254.1億円
流動比率(流動資産÷流動負債 ×100)は105.5%で前期の105.1%とほぼ横ばい。

財務状況はそこまで悪いとは言えないまでも、良いとも言えない状態。特に同業他社比では同社の悪さが際立つ。


フリーキャッシュフローは前期末108.8億円の黒字。

前期より利益が伸びたことで黒字幅も増額。財務の改善が進んでいる格好。結果、今期復配も可能にした。


粗利率は8.7%で、前期の8.3%から改善。
予想ROAは4.1%で、前期末の3.4%から改善の見込み。

業績動向の改善から、利益ベースでの改善も進んでいる。


ファイナンスに関しては財務面の弱さから行われる可能性があるものの、足下でキャッシュフロー・利益面に改善傾向があり、その懸念は次第に和らいでいる感じ。


【理論株価】
買収価値を示すEV(時価総額−現預金+有利子負債)は391.1億円。今期予想EBITDA(営業利益+減価償却費)は88.5億円であり、結果 EV/EBITDA倍率は4.4倍となる。同業他社の平均値がおよそ2.9倍と見立てられるが、それらを元に計算した理論株価は77円となり、現状の株価は事業価値分析上は圧倒的に割高と捉えられる。

これは結局有利子負債の大きさが、ここまで価値を減ずる原因になっている。


【株価推移】
2005年に300円台の高値を付けてから株価は下落歩調。07年3月期以降業績が下降している事に応じて株価も水準を切り下げてきた。ただ09年〜11年まで概ね65円付近で逆三尊を付け底打ち。

その後は復興需要などに支えられる格好で100円台を回復し、下値切り上げの相場が続いている。


【テクニカル】
足下では昨年11月、今年6月の安値を結ぶ下値支持線を割り込んでしまったものの、ここ最近の地合の復調で再度奪還傾向にある。長期的には昨年6・7月、今年3・7月の高値を結んで作られる上値抵抗線と合わせてパラレルな上昇トレンドは維持している格好。業績の回復歩調に合わせて、今後も大枠ではこの流れが継続していくものと見られる。

株価は概ね2〜3ヶ月周期での上下動を繰り返しており、足下は10/11の安値122円で短期的な底を打ったと見られそう。また、週足の一目均衡表でも雲に下値を支えられている格好になっていることから、目先一段の下押しは避けられそうな流れである。

一方、日足では75日などの長期線を下回っていることで上値の重さを感じさせる。ボリンジャーバンドが下降傾向にあることも、上値を押さえつける流れに。MACDやパラボリックといったトレンド系シグナルは上昇継続を示しているものの、一目均衡表は三役暗転の形となっており強弱感が対立する状態。

ただ足下はその雲が比較的薄いところに付けているため、今週末の決算きっかけで上抜けられるかどうかが今後の流れを決めそう。もし決算が上昇のカタリストに成り得ず上抜けができない場合は、上記上昇トレンドは今年120円〜150円のボックス圏相場に移行したという見方に変化する恐れがあり、上昇の推進力を失うことになりそうだ。


【需給】
10年末から株価は底打ち反転してきていることで、長期的には回転が効いており需給バランスは良い状態。ただ7/10に突如仕手化して出来高を伴い急騰、長い上ヒゲを付けてしまったことで、短期的に需給バランスを大きく崩してしまった格好。結果、140円台での価格帯出来高が増えてしまい上値のしこりに。現在もその事後処理が続いている感じ。

また信用買い残は280万株と日々の出来高に比べて圧倒的に多く、株価の上値を抑える材料に。ここ2年の株価上昇と共に少しずつ減少はしているものの、当面これが消化されるか売り残が増えるのを待つ必要がある。

ここ半年での買い残のピークが5月末であるから、7月年初来高値の期日通過と合わせてもう一ヶ月程度は返済売りが出やすい地合と見られる。


【同業他社比較】
同社の予想PERは6.2倍、PBRは0.9倍
今期予想営業利益率は1.7%、予想ROEは15.1%
配当利回りは3.7%
同業他社と比較すると、それぞれどのような位置付けだろうか。


山善(8051)

機械・工具、住宅設備の専門商社。同社と重なっている部分が最も強く、売上規模も同程度。

予想PERは7.4倍、PBRは1.1倍
今期予想営業利益率は2.9%、予想ROEは14.3%
有利子負債比率は14.9%
予想配当利回りは3.1%

有利子負債は小さく、その他の指標でも同社に比べて割安な印象。


トラスコ中山(9830)

現場向け工具・機器等の卸。

予想PERは8.7倍、PBRは0.6倍
今期予想営業利益率は6.7%、予想ROEは6.6%
無借金経営
予想配当利回りは2.9%

財務体質は良く、利益率は高い。売上規模は同社の1/3程度ながらも時価総額は同社の1.5倍程度と大きい。


日伝(9902)

産業用機器大手専門商社。売上規模は同社の1/4程度と小さい。

予想PERは13.4倍、PBRは0.6倍
今期予想営業利益率は4.7%、予想ROEは5.0%
無借金経営
予想配当利回りは1.8%

財務体質は良く、利益率は高いが配当利回りは最も小さい。


同業他社との比較では、財務体質の悪さが気になるが、株式価値的には同程度の評価。ROEは高いものの、営業利益率の小ささが目立つ。


【課題】
有利子負債の大きさが気掛かりで、こちらを縮める事が喫緊の課題とも言える。そのためには一層経費削減を努力し、営業利益率を高めていく必要があるだろう。

ミャンマーなどへの展開など新興国への取り組み強化は引き続き積極的に行うべきではあるが、エマージェンシーリスクが一層高まっている昨今、闇雲に手を広げると、思わぬリスクを背負う事になる。きちんと地域の特性を掴んだ事業戦略が求められる事になるだろう。

株主還元にもより一層の注力を期待。増配もさることながら、自社PBを贈る株主優待新設など個人投資家拡充策も可能では。

そして何より発行済総数の約6%を占める自社株に関してもし買収などの使い道がすぐに見出せないのであれば、消却を行うことで株式価値向上に役立ててもらいたい。ひいてはそれでファイナンス実施に対する警戒感を株主から取り除くことができ、株価の上値の重さも取り除く効果を期待できる。

太陽光などの再生エネルギーに力点を置くのも戦略的には妥当であるが、単価下落によるパネルメーカーの苦戦が伝わる中で、いつまでブームが持続できるかは微妙。そんな中では蓄電池などとの組み合わせにより、包括的な給電システムを提案することが価値向上に繋がるのでは。

そういう取り組みも含めて縁のあるGSユアサなどと共同で事業を展開できれば、他社より強みをもった提案を行っていけるものと思われる。

※株式投資は自己責任でお願いします。文中の内容は現時点で予測できる範囲で想定されたものであり、正確性や投資成果を保証するものではありません。

 

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