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OKK(6205)

 

12年2月5日現在
3ヶ月以内投資判断 「やや買い」
買いのタイミング  2/6に買い先行でスタートしたところを追い掛けるか、もしくは2/10以後に受注状況が好感されて反転が確認できたところ
3ヶ月以内株価予想 95円〜150円


要点

・業績は下期の回復基調が鮮明。業界を取り巻く環境も良好で、通期上方修正に期待。
・理論株価では割安感もあるが、同業他社比では割高感も残る。
・需給バランスでは足下株価が上下どちらに振れるかの正念場。長期的には下値切り上げの上昇局面にあり、上放れの可能性の方が大きい印象。
・早期復配実現で安定株主の確保。足下の事業環境は良いが、将来的には不透明感が残り再編の可能性も。


【企業概要】
工作機械メーカーで中小型マシニングセンタ製造・販売が主力。自動車関連向けに強みで、足下ではボーイングなどの航空機向けも伸びが目立つ。それ以外にも水道メーターも手がける。


【用語】
マシニングセンタ・・・工作対象物の金属などに対して切削、穴開け、ねじ立てなどの様々な加工作業を一台で行える自動工作機械。


【業績】
前期は増収増益も赤字継続。アジアや北米での受注が回復したことで赤字幅は縮小できたが、黒字転換には至らなかった。

今期は増収増益で黒字転換の見込み。先日発表した第三四半期決算では、大幅な増収と黒字転換を達成した。タイ洪水被害を受けた顧客企業の修繕、買い換え需要などにより主力の工作機械事業の伸びが急回復。

合わせて国内外の景況感回復も大きく寄与し、特に海外では自動車向けを中心に堅調。水道メーター事業の減収を補って余りある回復力を見せた。

ただし秋口からはヨーロッパの混乱・円高を背景に、各社共に価格を抑えた機種を投入しやや競争激化の懸念も。足下で受注が着実に伸びているものの、将来的な世界景気の先行きが不透明な中で、各社共に慎重姿勢を崩していない。


12年3月期予想(KA.Blog)単位:百万円
売上   25000
営業利益 1350
税前利益 1100
当期純益 1050


最終四半期は季節要因からも売上が集中しやすい時期でもあり、また1月末に発表された工作機械工業会の短観では1・2月共に受注が増加すると答えた企業が増えており、引き続きアジア・北米を中心とした回復が期待される見込み。

実際に業界大手のオークマなどでも受注残高は前年比2割以上増加となっており、業界全体として下期好調の手応えが感じられる。例年通期見通しが楽観的な同社であるが、通期上方修正も十分に期待できる。


有利子負債は104.6億円で前期から1.4億円増加
有利子負債比率(有利子負債÷自己資本)は59.9%
現預金は60.7億円
流動比率(流動資産÷流動負債 ×100)は147.7%

有利子負債は業界的に増加傾向にある。財務内容は良くもないが、業界平均並。事業規模の割にはマシな印象。


フリーキャッシュフローは中間期時点で3.0億円の赤字。ただ第三四半期時点では、最終利益や仕入債務の増加によって営業キャッシュフローが13億円程度改善している見込み。

ファイナンスに関しては過去20年以上行われていないこと、また他社同様に社債発行による資金調達が十分可能であるため、まず行われる心配は無さそう。


【理論株価】
買収価値を示すEV(時価総額−現預金+有利子負債)は140億円。今期予想EBITDA(営業利益+減価償却費)は18億円であり、結果EV/EBITDA倍率は7.8倍となる。同業他社の平均値はおよそ8.1倍と見立てられ、それらを元に計算した理論株価は124円となり、現状の株価は事業価値分析上は若干割安と捉えられる。


【株価推移】
かつては1000円以上あった株価もバブル崩壊後の景気低迷から02年には一時29円の安値を記録。そこから回復を見せ、07年には571円まで戻す場面があった。

しかしリーマンショックによる世界的な不況から大赤字見通しが出されると、09年には58円まで下落。その後10年には191円まで戻したが、昨年は震災により66円まで下落。

リバウンド後は欧州危機などにより調整が続いたものの、タイ洪水被害による特需から工作機械が買われると急回復。足下は業績回復期待を込めて強含む動きに発展しつつある。


【テクニカル】
長期的には09年安値及び昨年9,10月安値を結んで作られる下値支持線と、10年7月、昨年1月,7月の高値を結んで作られる上値抵抗線で形成される三角持ち合いを、先月13日の急騰によって明確に上放れた格好。長期的な上昇トレンドに入ったものと思われる。200日線も上回り、上値に目立った節が無い状態に。

ただ短期的には決算を受けて強含んだものの、上ヒゲの長い十字足を形成。このまま下押すか上放れるかは月曜の寄り付きの値動きがカギを握る。

月曜に買い先行のスタートになれば突発高も期待できるだろう。1/13の寄り付き安値88円→1/17の高値128円の半値押し水準にあたる108円で1/30から反発してきているため、倍返しを想定すれば150円程度までの上昇は期待できる。

逆にもし下押した場合は1/17の128円と合わせてダブルトップ懸念が強くなる。その場合2/9には1月の工作機械受注速報値が発表されることもあり、結果次第で調整が長引く恐れも。

市場的には既に好調持続は織り込まれているものと思われ、特に同社は先月55.3%増という高い伸びを示した。それによってハードルが上がった分、今回の発表がポジティブサプライズとして影響する可能性は薄いものと思われる。

一方で下値は昨年秋〜年末の上値である95円〜100円辺りまでと見るのが適当。

従って2/6に買い先行スタートしたところを追い掛けるか、もしくは2/10以後に上手く反転が確認できたところで買い、150円辺りで一旦売りというスタンスが望ましいように思われる。


【需給】
1/13に大陽線を付けたことで、需給は大きく好転している。その後17日にも同程度の商いをこなしていることから一回転、それからの日柄調整はほぼ17日の値幅の範囲内で行われ、累計出来高も17日の約1.5倍に達していることから、更にもう一回転した格好。

結果13日の値幅内での価格帯出来高が多いことから、110円を割れるか、130円を超えるかでその後の方向感が決まってくると見て良い。低位株ということで短期資金を集めやすいため、どちらか寄った方に大きく動く可能性がある。

信用買い残は差し引き450万株で昨年4月以降大きな変化は無い。ただ足下は平均出来高が膨らんでいることから、以前程は上値の重石要因とはならない印象。


【同業他社比較】
同社の予想PERは19.3倍。PBRは0.6倍
今期予想営業利益率は3.8%、予想ROEは2.9%
配当は無配。
同業他社と比較すると、それぞれどのような位置付けだろうか。


オークマ(6103)
中部地盤でマシニングセンタでは大手。事業規模は同社の6倍程度。日経225採用銘柄。

予想PERは15.2倍、PBRは1.1倍
今期予想営業利益率は6.4%、予想ROEは6.5%
有利子負債比率は38.0%
予想配当利回りは1.0%

営業利益率などは同社より高く、ROEやPERといった指標では同社に比べて優位性有り。財務体質の良さや配当を出しているところ、株式的には流動性が高いことから、全体的に同社に比べて割安感がある。


森精機製作所(6141)
関西地盤でマシニングセンタでは大手。かつては同社への敵対的買収を目論んで株式を買い集めたが断念した経緯あり。現在はドイツ工作機械メーカーのギルデ社と資本業務提携。

予想PERは23.2倍、PBRは0.9倍
今期予想営業利益率は4.1%、予想ROEは4.4%
有利子負債比率は74.0%
予想配当利回りは2.6%

株式価値や財務面では同社に劣る印象。一方、利益率や配当面では優位性有り。また大証主力銘柄ということもあって、東証と大証(8697)の統合を睨んだ225採用期待が高まりやすい。


牧野フライス製作所(6135)
関東地盤。工作機械上位でマシニングセンタに強み。事業規模は同社の5倍程度。

予想PERは16.8倍、PBRは0.8倍
今期予想営業利益率は5.6%、予想ROEは4.9%
有利子負債比率は65.3%
予想配当利回りは1.5%

PERや営業利益率などで同社より優位性。PBRや財務面ではやや割負けするが、配当も出しており、全体的には同社に比して割安な印象。


ソディック(6143)
放電加工機に強み。足下ではスマホ用のマシニングセンタを開発し注力。子会社のソディックプラステック(6401)を完全子会社化するなど、組織編成を急ぐ。

予想PERは11.0倍、PBRは0.7倍
今期予想営業利益率は9.1%、予想ROEは7.3%
有利子負債比率は144.9%
予想配当利回りは2.4%

タイ洪水被害があったものの、利益率は同業他社比で最も高い。他方で財務体質が最も悪く、有利子負債圧縮が急務。なお同社は第三四半期決算の発表が今週のため、数字は中間期時点のものであり、更に内容が改善する期待も高い。


総合的には同業他社の方が割安な印象。ただ同社は最も事業規模が小さく、また既に無配であるため、逆に考えれば回復期の業績変化率が最も高く、同時に株価変化率も大きくなる。

また流動性が小さいことで、株式的には短期資金が入り込みやすく、低PBRに注目された場合の買収プレミアムにも着目されやすい。


【課題】
まずは早期復配。今期はまだ早いかも知れないが、来期には十分復配の芽が出てくるものと思われる。1円でもあるかないかでは大きく異なってくるため、株主還元に力を入れたいところである。

同社の浮動株比率が高いが、配当を実施することによって一定の安定投資家獲得も期待できる。でなければ後述のように業界再編機運が高まった際に買収対象とされやすく、同社にとっても不都合である。

工作機械メーカーを巡る環境では、未だヨーロッパの経済情勢に不安定さが残り、大きな顧客の一画を失っている。アジア地域の伸びではまだ補いきれない部分もあり、またアジア地域の成長鈍化懸念もあって、ユーロ地域の回復、また為替動向が大きな不安材料である。

それらの情勢に合わせて各社共に昨年秋以降揃って工作機械の価格改定をしており、やや競争激化の兆しも出始めている。当然ながら相手は日本勢のみでは無いため、競争力の維持に尽力しなければならない。

あまりにも円高傾向が続けば業界再編の動きも出やすいだろう。それは何も国内に限ったことではなく、ヨーロッパやアジアの企業を含めたボーダレスの買収・合併であり、事業規模の小さい同社は特に早く手を結ぶべき相手を見つけ出しておく必要がある。

※株式投資は自己責任でお願いします。文中の内容は現時点で予測できる範囲で想定されたものであり、投資成果を保証するものではありません。

 

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