ダルマじょうしょうダルマ〜未来に繋げる株式投資〜

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14年5月5日現在
3ヶ月以内投資判断 「中立」
買いのタイミング  75日線や2500円を突破することを確認できるところで
3ヶ月以内株価予想 1400円〜2500円


要点

・事業環境は良好で、業態的にも成長余力は大きいものと見られる。
・テクニカル的には二番底を探る場面であり、需給面でも直近で上値に大きなしこりを残したことで、大きく上放れするには時間を要しそう。
・ビッグデータの収集先に大きく依存しており、リスク分散を図る必要がある。


【企業概要】
ネット上のブログや掲示板、SNSなどで飛び交うビッグデータを収集、監視・分析するクラウドサービスを提供。企業は消費者の好みや自社製品のブランド浸透度などをつかみ、開発や販売促進に役立てることができる。電通(4324)などの大手広告代理店や、食品メーカーなど主にBtoC事業を行っている企業が主要顧客。昨年末IPO。

ネットイヤーG(3622)と提携して販促支援、またガイアックス(3775)と提携した「炎上」監視サービスをそれぞれ開始。オプト(2389)が大株主でセールスフォースドットコムやシナジーマーケティング(3859)も出資。


【キーワード】
ビッグデータ、SNS、Twitter、2ch、選挙


【業績】
前期は単独決算のため単純比較はできないが、数字上では大幅な増収増益に。主力のSaaSサービスが新規受注を堅調に獲得し、ソリューションサービスも参院選でのネット選挙解禁で注目を集めるなどして大きく伸びた。


今期も引き続き大幅な増収増益を見込む。第一四半期も主力サービスの伸びが牽引して大幅な増収増益に。企業の業績改善に伴うIT投資の回復を追い風に、口コミ分析ツールや企業の風評被害を防ぐ監視ツールなどの受注が好調だった。

国内ビッグデータ市場は年間平均成長率37.5%で成長し、17年には1016億円に到達すると言われている。
http://www.idcjapan.co.jp/Press/Current/20140123Apr.html

また国内パブリッククラウドサービス市場規模も年率30%以上の成長が持続し、18年には現在の約3倍の3850億円まで拡大すると見られている。
http://www.idcjapan.co.jp/Press/Current/20140421Apr.html

スマホの利用拡大を背景にSNS利用者も増加を続けており、同社の事業環境は極めて良好と言える。売上高のほとんどは月額収入で、積み上げ型の安定感がある。

また上場による知名度向上などで、マスコミで同社のツールが利用される頻度も増えてきている。現状Twitter社のデータ販売権を保有する国内唯一(世界でも2社のみ)の存在であり、2chでもデータの独占的商用利用権を保持。数年にわたる経年変化の分析が可能という武器がある。

各企業共にネットでの口コミ、評判などの重要性は認識しているものの、自前で分析するノウハウに乏しいため、同社のような外部機関を利用するのは自然な流れと言えよう。また顧客相手の販促だけではなく、自社の従業員による不適切な対応や情報漏洩などが社会問題化する中で、ソーシャルリスクというものを経営者側が強く意識している点も大きい。

実際、これまでに事業規模の大きな約1600社が同社のサービスを利用している。また民間企業だけではなく、政府や地方自治体、大学などの研究機関といった公共機関も今後同社に助力を求めてくる可能性も十分に考えられ、商機は至るところに拡がっているものと思われる。

なお、足元で他社との提携を積極化しておりサービスの拡充に努めているが、業績寄与が本格化するのは下期以降と見られる。


14年6月中間期予想(ラディッシュ・リサーチ)単位:百万円
売上   550
営業利益 85
経常利益 85
当期純益 40


中間期は概ね会社計画を上回る数字を見込むも、提携効果や2chデータ取得トラブルの影響は共に軽微で大きな上ブレは無さそう。


無借金経営で現預金は9.6億円
流動比率(流動資産÷流動負債 ×100)は759.4%で前期の572.3%から改善。

ネット系企業であることから財務体質は良く、またIPOから間もないことで流動比率も高い。


フリーキャッシュフローは前期1.5億円の黒字

粗利益率は62.2%で、前期の63.1%から悪化。
予想ROAは18.7%で、前期の10.0%からは大幅に改善見込み。

第一四半期時点で粗利益率は悪化しているものの、営業利益率などは改善することから、全般的に改善が見込まれる。


ファイナンスに関しては新規上場間もないことから当面は無いと言える。


【株価推移】
上場後は今風で類を見ない企業でもあることから、昨年末に集中したIPOの中でも群を抜くパフォーマンスを見せた。ただ今年に入ってからは地合の悪化で株価は下落基調。4/4に一部で社長のインサイダー疑惑が流れると(2chサーバートラブルを知りながら株式売却を行った。会社側は否定)、一段と低迷した。ただ4/15にTwitter社が同社の提携先であるGnip社を買収すると発表し、連想感から急伸。足元ではその調整局面に。


【テクニカル】
上述のように4/15までに最安値を付けて以後株価は急速な戻りを見せるも、75日線や一目均衡表の雲、また最安値から概ね倍の2500円水準に達したことで上値を抑えられた。直近では25日線や4月高安の2/3押し水準(1677円)に下値を支えられた格好に。

MACDは暗転寸前でパラボリックは暗転。ストキャスは割安感を示すものの、トレンドが明確に転換したとは言えず目先はボックス圏でのレンジか。足元では4/22の押し部分も割りこんでいることから、まずは二番底を確認することが先決。


【需給】
中期的には今年に入ってから下落が続いており、総じて悪い形。ただ先述のように先月中旬以降、週足で久しぶりの大陽線を付けたことから、売り一巡感は出ている印象。分割考慮での公開価格540円を未だ大きく上回っている点にも安心感がある。

一方で戻り場面で連日大商いを演じ、上場直後を越える出来高に。現在はその水準を下回ってしまっていることから、短期的には上値に大きなしこりを残している形。戻り局面では戻り待ちの売りをこなすだけの買いエネルギーを必要とするだろう。

信用買い残も約170万株を越え、上場来最高水準に。分割考慮では最高値を付けた1月にピークを付けているが、その半年期日まであと一ヶ月くらい残しており、整理売りはもう少し続きそうな段階。4月後半からの商い水準では返済売りもこなせるレベルではあるものの、早めに整理が進まないと、今後商いが細った時に大きな重荷になりそう。

なお、ロックアップに関しては既に解除されている。


【同業他社比較】
同社の予想PERは135.6倍。PBRは13.9倍
今期予想営業利益率は21.4%、予想ROEは10.0%
配当は無配
同業他社と比較すると、それぞれどのような位置付けだろうか。


ブレインパッド(3655)
ビッグデータを取り扱い、企業の販促に役立つようフィードバック。

予想PERは四季報予想ベースで88.0倍、PBRは9.5倍
今期予想営業利益率は8.9%、予想ROEは10.8%
有利子負債比率は23.4%
配当は無配

扱うビッグデータはネットから収集するわけでは無いものの、分析しフィードバックするという点では同社に最も近い業態。全般的に同社より割安感。


イー・ガーディアン(6050)
SNS、掲示板などの監視。同社の販売パートナー。

予想PERは19.9倍、PBRは2.5倍
今期予想営業利益率は7.8%、予想ROEは14.9%
無借金経営
配当利回りは0.6%

書き込み監視がメインであり、むしろ同社と提携するガイアックスに近い業態。収集・分析を行う同社とは方向性が異なるため参考。ROEは同社よりも高く、株式価値的にも割安。


メンバーズ(2130)
SNSを利用したネットマーケティング支援を行う。DAC(4281)が大株主。

予想PERは22.9倍、PBRは2.1倍
前期予想営業利益率は4.5%、予想ROEは9.3%
有利子負債比率は0.4%
配当利回りは0.9%

こちらも業態は完全に重ならないため参考。株式価値的には割安感があるものの、利益率などでは劣る。


他社との比較ではIPOであるため元々割高感が強い。一方、他社がIT系企業の割には営業利益率の低い中、同社は比較的高い水準を維持している(ROEは上場間もないため多少低いのはやむを得ない)。


【課題】
Twitter、2chという国内外で膨大な書き込みを有する二大運営元とデータ商用利用に関して契約を押さえていることは最大の武器ではあるが、足元ではその二社を取り巻く環境に逆風が目立つ。また今後はfacebookやLINEなどといったより閉鎖されたコミュニティーでの書き込みが嗜好されるとみられ、精度の高いデータの取得に難しさ、コスト増懸念が高まると考えられる。

これら外部の要因に業績が左右されかねない状況を回避するためにも、今までの分析で培った販促ノウハウのコンサルタントなどオフライン的な収益源の確保にも努めるべきだろう。

また足元では顧客の大部分が広告宣伝費を大きくかけられる大企業がメインであるが、中小企業にも同様のニーズ、リスクを認識しているところが多いことからも、小口顧客への間口も拡げていきたい。

なお同社はかつて先物の投資予測サービスでISID(4812)主催のカンファレンスで大賞を受賞しており、その実績を現実に投影できるのであればディーリング事業を行うのも一興だろう。


【総合評価】
足元で日米共にモメンタム株に対する評価が厳しく、特にデータ提供元であるTwitter社が利用者の伸び鈍化から株価が下落傾向。2chに関しても経営権の問題などでゴタゴタが発生しており、目先は投資タイミングでは無いと見る。また炎上対策の新サービス開始を伝えて間もなく、自社がインサイダー疑惑で炎上したのも皮肉な結果。

需給的にも4月後半からの商いの盛り上がりが一端は大底形成からの大反発を期待させたが、足元では5日線に頭を押さえられながら二番底確認の流れとなっている。

一方で事業環境は良好と言え、今後大きな成長可能性を秘めた斬新な業態である。もし海外展開などで知名度が拡がれば、海外IT企業からの買収ターゲットに成り得る可能性もある。地合の好転や業績の急拡大が確認できるタイミングでは積極的に投資していきたい。よって投資判断は「中立」とした。


※株式投資は自己責任でお願いします。文中の内容は現時点で予測できる範囲で想定されたものであり、正確性や投資成果を保証するものではありません。

 

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