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UBIC(2158)

 

3ヶ月以内投資判断 「買い」
買いのタイミング  18000円(月曜に金曜の寄値を超えてスタートするなら追いかけ買い)
3ヶ月以内株価予想 15000円〜30000円

要点

・事業環境は極めて良好であり、業績も急拡大の期待感。
・上場以来最高水準の商いが継続しており、大相場継続の見込み。
・アメリカでの地位向上に対する業務提携などが必要。
・大株主や潜在株主の動向には注意が必要。


【企業概要】
訴訟での電子データによる証拠保全・収拾・分析を手がける支援サービスを手がける。「Lit i View」というソフトを中心に、ノウハウを蓄積。企業活動の国際化により、特許関連の訴訟がアメリカで特に伸び、業績を伸ばしてきている。


【業績】
前期は大幅な増収増益となって、同社の評価を一変させた。グローバル経済の回復による訴訟の増加や政府調査の活発化によって、日本国内では同分野でほぼ独占的なポジションを持つ同社の受注はウナギ登りに。

今期は増収減益の見通し。売上は事業環境の好調に合わせて引き続き拡大していく見込みだが、設備投資や人材確保に重点を置いて一層の受注範囲拡大に注力することから利益は抑えられる見込み。

ただ先日発表された第一四半期決算は今期見通しに対して売上ベースで進捗率が37.2%、営業利益ベースでは同96.6%にも達し、絶好調のスタートに。結果、中間期見通しは大幅上方修正された。一方、通期に関しては不透明感が強いということで据え置かれた。

訴訟対応関連の市場は11年見込みで5200億円規模と、前年比1.7倍超に急拡大。背景にあるのは06年アメリカで民事訴訟規定が改定され、電子データの開示が明文化されたこと。以後市場規模は急速なスピードで拡大している。

特許以外にも個人情報の流出がIT文化の負の面としてクローズアップされるようになっており、国内での先駆者メリットを十分に享受できる地位にある。

足下は円高の環境であり、アメリカ子会社の利益ベースが落ち込むことになるが割合的には小さく、通期業績は上ブレ必至だろう。市場においても通期上方修正を織り込む形で、株価は一段と上を目指している。


11年9月中間期予想(KA.Blog)単位:百万円
売上   2100
営業利益 900
経常利益 850
当期純益 400


第一四半期は原価率が一気に30%にまで低下し、過年度まで概ね50%前後で推移していた値から一気に改善。売上が増加した分大幅に下がり、これであれば会社側が想定する大幅なコストアップは十分こなせるレベル。

恐らく中間期は利益ベースで会社計画をやや下回る形になるのではないか。その代わり通期見通しが大きく上方修正されることで、投資家の期待に報いると見る。

ただし足下の、特にアメリカにおける景気減速感は懸念材料として留意しておきたい。事実リーマンショック時には訴訟行為そのものが一時休戦状態となって15%近く落ち込んだ。元々海外では訴訟行為自体をビジネスと捉える風土があるため、相手方が資金を出せる時に仕掛けるという側面が強い。

従って同社の業態は決してディフェンシブ性が強いものではないことに留意しておくべき。アメリカの景気減速がこのまま続くのであれば、同社の業績拡大も一時的には停滞することが予想される。

それでも上述のように、特許関連の益々の複雑化、個人情報管理の一層の厳格化などを背景に、訴訟件数のベースはアップしていく傾向は変わりない。日本国内でも益々増えてくるだろう。

有利子負債は4.2億円で前期比0.4億円減少。現預金は10.5億円で実質的には無借金。売掛金の回収が進み、キャッシュが蓄えられた。

有利子負債比率(有利子負債÷自己資本)は28.2%。流動比率(流動資産÷流動負債 ×100)は257%と財務状況は良好。フリーキャッシュフローも前期末分で3.4億円の黒字。

ファイナンスの可能性は当面無さそう。今までの同社の資金調達方法としてはCBがよく用いられたが、あったとしても海外展開の積極化などが前向きに評価される可能性が高い。


【株式価値】
PERは会社側が通期見通しを据え置いていることもあって45倍と高いが、最終利益は第一四半期時点で既に通期計画を超過しており、前期並と見ると16倍台まで急低下。この辺りは大型案件を一つ獲得するだけで大きく変わるため、アテにしない方が良いだろう。

PBRに関しても、製造業などとは違って人的資産といった目に見えない価値が重きを成す業種であるため、足下の11倍台という水準はやはり無視して良い。


【株価推移】
07年の上場後は世界的な景気鈍化に合わせて同社も2期連続の赤字を計上し、株価はそのまま右肩下がりに。昨年11月に最安値の404円を付ける。結果時価総額が3億円を割り込み、一時的にマザーズ市場の上場廃止基準に抵触したが、全体相場の回復局面に合わせてすぐさま解消。

今年2/10には業績上方修正を発表し大幅な黒字転換が見えてくると、株価は連続ストップ高の急騰。その後は震災で一旦落ち込むも、すぐさま再上方修正を出して水準を回復。

5月の本決算で今期減益見通しが出されると失望から株価は大きく売られたが、7/12に子会社が相次ぐ大企業の個人情報流出問題によりカード情報漏洩事故調査の資格を付与されたと報じられて急伸すると、横ばい圏から上放れ大相場に発展。

8/9には中間期の上方修正を発表すると、その勢いを再加速させる流れとなっている。


【テクニカル】
金曜には上場来高値更新手前まで上昇するも失速。上ヒゲの長い陰線を付けてきている。出来高も上場直後以来の高水準となっており、一旦は調整入りの流れと見るのが自然。

ただしその調整も長くはないだろう。もし月曜に一気に18000円を割り込む水準まで急速に調整するのであれば5日線と8/3、4の高値による下支えを期待できる。

下方には大きな窓が開いているのでリスクは大きいが、11日、12日のしこりさえ突破すれば上値にはもっと大きな真空地帯があるので、上ブレ期待の方が大きい。新値足も当然のことながら大きな陽線が加筆され、先高期待感が強い。

また月曜もし買い気配で金曜寄値を超えてスタートするようであれば、積極的に買っていきたい。アフラックによる個人情報流出も週末には報じられたため、材料は出た格好。規模は大きくないが、夏相場の手詰まり感が出やすい時期でもあることから、短期資金を呼び込みやすい。

一方逆にこのまま失速するようであれば免疫生物研究所(4570)のチャートが参考になってくるだろう。こちらは6/7に上場時に付けた高値を抜き損ねて下落歩調となっている。ただし同社の場合は好業績を背景に上昇してきたので、免疫社とは違って上値突破は可能と見る。

特に同社の場合は最高益更新見込みであるので、単純に考えても上場来高値を更新してもおかしくはない(同様の見解は2/16に当ブログでも示した)。25日線などとの乖離率は非常に大きくなっており短期的な過熱感は否定できないが、2月の大相場時と比較すると小さく、また出来高も急増しているため、株主の入れ替えによる好需給継続は期待できる。

ボリンジャーバンドも+2σを超えてきているが、逆にそれが支持線として機能する形も期待したい。上述のように月曜買い気配スタートならば追いかけ、そうでない場合は18000円辺りでの反発、もしくは窓埋め後の反発をきっちり確認した後の方が良さそうだが、上昇率は順に低くなっていくだろう。


【需給】
需給は極めて良好である。超短期的には木金の出来高が気になるが、2万円での抵抗力も感じられ、需給バランスはまだ完全には崩れていない。足下の盛り上がりは大相場継続の期待感が強く、好需給が続きそう。

金曜も高値陰線の割には日証金の融資残が減って心強い。融資残は7/15の上昇開始以来の水準まで調整したので、全体の信用買い残も4万株割れ水準まで改善されたのではないか。7月中旬以降、日々の出来高は優に4万株を超えているため、信用買い残自体はあまり重石にならない水準に保たれている。


【課題】
国内では同社がほぼ独占しているディスカバリ(証拠開示)支援サービスに関しては、アメリカでは無数の同業他社が存在し、国内の企業においても先駆する(と言うよりは本場の)アメリカ企業と締結するケースが多い。同社は社長の出身からも官公庁相手に強みを持つが、より民間の潜在需要を掘り起こす形での顧客開拓が必要である。

同社も認識しているが、いかにアメリカの大手法律事務所とのパートナーシップ関係を強固にできるかが最大のカギである。このジャンルにおいて後進国である日本の企業がアメリカにおいて地位を獲得するには、大変な営業力と信用の積み重ねを要するのは想像に難くない。

従って、海外の同業他社との資本業務提携などが必要になってくるだろう。まずはアメリカ社会というダムに小さな穴を開けるところから始めていく必要があり、道のりは長く険しいものと思われる。

株式の需給面では大株主の動向に注目。お互いに株式を持ち合っているフォーカスシステムズ(4662)は、2月の高値で一部同社株を売却し、震災後はCBの転換により再度持ち株比率を15%超にまで高めている。

提携の解消が無い限り全株売却はあり得ず、また互いに足下の業績は回復局面にあるため、当面は提携関係が友好的に続くであろう。

ただそれ以上に警戒すべきは未だ2億円以上のCBを持ち合わせているオリンパス(7733)の動向。転換されると一気に1.4万株近い新株が増え、一気に第二位株主となる。転換価格はとっくに上回っているため、いつ転換されてもおかしくはない。

もっとも、これらが簡単に市場売却される可能性は低いと見る。万一それだけの売りが出たとしても、最近の流動性であれば十分に吸収できる。問題は売却されるとしたらそのタイミングであり、需給が緩んだところでの市場売却とされると、下落トレンドが決定的になる可能性がある。

短期的には過熱感が意識される急騰局面であるため、一度下落すると需給バランスが一気に崩れ、相場縮小の可能性に繋がりかねない。逆にタイミングさえ誤らなければ市場に流動性が供給されることにも繋がり、更なる大相場発展の可能性も秘めているため、大株主の動向には注意を払いたい。

一方で、株価的には一単位20万円台に突入してきたため、そろそろ株式分割などの還元策が取り入れられてもおかしくはない。東証の100株単元包括施策もあって、10分割は必定と見られるも、同時に購入単価の引き下げも見られるならば上昇トレンド継続に対する一層の追い風となってこよう。配当は少額で優待も期待できないのであれば、こういった形で資金をかけずに株主に報いるべきである。

※株式投資は自己責任でお願いします。文中の内容は現時点で予測できる範囲で想定されたものであり、投資成果を保証するものではありません。

 

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