ダルマじょうしょうダルマ〜未来に繋げる株式投資〜

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三晃金属工業(1972)


3ヶ月以内投資判断 「中立」
買いのタイミング  280円以下での底が確認できたところで
3ヶ月以内株価予想 260円〜400円

要点

・業績は市場で期待されているような大きな伸びこそ見込めないものの、着実に受注高を増やして伸ばしている印象。事業環境は良好で中間期は収益トントンまで改善できる可能性。
・需給面やテクニカル的なものを考慮すると、株価はまだ底値を伺う流れに。概ね270円前後での底打ちが見込まれる。
・筆頭株主の新日鐵(5401)、日新製鋼(5407)の両社共に合併の話が浮上。同社にも業界再編、子会社化などの話が出てくるものと思われ、実際に出てきた際にはポジティブに反応するものと思われる。
・メガソーラーなどの思い切った事業参入を商機に見出すべき。


【企業概要】
新日鐵系で金属屋根を手がける。最近はソーラー、緑化など、環境配慮型の屋根を提案し、顧客のニーズを掘り起こす。


【業績】
前期は減収減益。建設業界の厳しい現状に追い打ちをかけるように起きた東日本大震災の影響で、受注こそ伸びたものの、業績を好転させるまでには届かなかった。

今期は増収増益継続を見込む。事業環境は極めて良好であり、クリーンエネルギーには国策の追い風が吹いている。住宅版エコポイントの活用やソーラー屋根は新製品の投入もあって受注の獲得は順調。

ただ先日出た第一四半期決算は営業利益が4.7億円の赤字と、投資家を失望させるのに十分な内容だった。元々完成工事引き渡し時期の関係で第一四半期のウェイトは低い銘柄であり、前年同期比では改善しているものの、太陽光パネルという今風の材料でもっと派手な業績改善が期待されていた。

現状における太陽光パネルに対する投資家の期待は大き過ぎる印象で、同社の受注に占める割合はまだ小さい。ただし前期比では3割増となっており、そのポテンシャルはやはり高いとの見方は間違っていないであろう。次第に同社にとって大きな割合を占める流れになってくるものと思われる。

11年9月中間期予想(KA.Blog)単位:百万円
売上   15200
営業利益 −50
経常利益 −60
当期純益 −10


全体の受注残は前期比微増程度となっているものの、第二四半期は例年通り完成工事の増加、商品供給の正常化などから売上高は大きく回復するものと考える。また営業利益などは実際にはほぼ損益トントンくらいまで回復し、あわよくば黒字転換とできるのではないか。いずれにせよ、会社計画よりは良い数字が出るものと期待される。

有利子負債は15億円で前期比変化なし。現預金は19.2億円で実質的には無借金。有利子負債比率(有利子負債÷自己資本)は16.1%。流動比率(流動資産÷流動負債 ×100)は164%と財務状況は良い方。フリーキャッシュフローは第一四半期時点のものが公表されていないため、前期末分で5億円の赤字。その分前期より現金残が減少しているような格好。

ファイナンスの可能性はなさそう。もしあったとしても大株主相手の割り当て増資であり、その際は合併や子会社化などに繋がる動きとなりそうで、市場では前向きに評価される可能性が高いと見る。


【株価推移】
かつてはあまり目立たず、リーマンショックなどによる影響も他の銘柄に比べては小さい銘柄だった。ただ08年に太陽光パネル関連銘柄として注目を集めると、株価が比較的低位だったこともあって仕手化。5倍超の水準となる600円まで一気に駆け上がった。

その後は反動安で一旦元の水準に戻るも、度々太陽光関連銘柄として脚光を浴びる。特に大震災後はサンライズ計画などの国策も背景に再度人気化。株価は4倍化するほどの注目株となるも、6月高値をピークに株価は失速。先日の決算で更に売られると、現在は底を探りに行く動きとなっている。


【テクニカル】
金曜場中に第一四半期決算を発表し、発表後は失望売りが膨らんで大きく売られる結果に。ただ引け間際には買い戻されて、発表前の株価水準にまでは戻して引けた。

決算に対する警戒感から既に75日線は割り込んでいたが、今回の決算で底割れが一段と明確に。まずは底を確認してからでないと、なかなか買い向かう勇気が出ない相場展開である。

一目均衡表の雲は割り込んでしまっているし、ボリンジャーバンドも−2σを割り込んで下落継続の動き。MACDが暗転しており新値足も次々と陰線が書き込まれる状態では、落ちてくるナイフを掴みにいくようなものである。

目先底の節目として認識されるのは300円という心理的節目であり、金曜もひとまずそこで支えられた格好。ただし5日線が頭を抑えている状況では、リバウンドも一時的であり、ひとまず陽線の出現が待たれるだろう。反転には一旦窓を開けるほどに大きく売り込まれて、売り一巡感からの需給好転を呼び起こしたい。

5/30にサンライズ計画を材料に急伸し窓開けをしたが、目先の株価動向はその窓を埋めることをまずは目標としている動き。ただその直下の260円〜280円辺りは、震災以後の戻りで何度も上値を抑えられているゾーンであり、そのラインが下値支持となる可能性は高そうだ。

イメージとしては今週中に280円まで一気に調整するのであれば、急速な下落によるリバウンド期待や26週線の支持もあって280円辺りでの底打ちに、もし緩やかに下値を模索し続けるのであれば260円辺りまでの調整からの底打ちを見込む場面になるものと思われる。


【需給】
5/30の大幅高以降、出来高が急増し商いが膨らんでいる。足下は6月以降の全ての株価水準よりも下に位置し、上値に大きなしこりが残っている状態。調整は1ヶ月以上続いているものの、出来高も最近は減少傾向にあり、これらのしこりが解消されたと判断し辛い状況にある。

信用買い残も5月の急騰場面から増え続ける一方でほぼ倍の水準に。一向に整理される兆しがない。 ただ一部では太陽光投資ファンド設定の動きがあったり、未だゴタゴタする原発再開問題に絡んで再度株価テーマとして太陽光が取り上げられる局面があれば、需給バランスは一度に改善できる雰囲気もあり、それ程大きく悲観する必要もなさそう。


【同業他社比較】
同社の予想PERは209倍、PBRは1.3倍。予想ROEは0.8%、予想営業利益率は0.9%となっている。同業他社はどういう状況だろうか。


元旦ビューティ(5935)
金属屋根製品のトップメーカーで施工も手がける。足下では太陽光やエコをテーマとした屋根に積極的。
予想PERは19.3倍、PBRは1.7倍。今期予想営業利益率は3.1%、予想ROEは9.0%。有利子負債比率は112.6%。
同社と比べて流動性が圧倒的に低いため、テーマ性などは同じものを共有し成長性は高いものの、割安に放置されている印象。有利子負債は高め。


スパンクリートコーポレーション(5277)
建築用材の最大手。
予想PERは10.1倍、PBRは0.2倍。今期予想営業利益率は6.8%、予想ROEは3.0%。有利子負債比率は8.9%。
同社と事業的には被っている部分は少ないが一応比較してみると、こちらも流動性の低い銘柄であることから、株式的な価値は割安な水準に放置されている。利益率は高い方だが、成長性は小さい印象。


サニックス(4651)
白アリ駆除を主軸として、家屋の耐震補強などを手がける。前期から太陽光発電機器の販売も開始、売上ベースでは白アリ駆除に次ぐ規模に。
予想PERは22.5倍、PBRは2.6倍。今期予想営業利益率は3.4%、予想ROEは11.7%。有利子負債比率は106.1%。
同社とは業種的には異なるが、同じ太陽光関連銘柄として歩調を合わせやすい銘柄。有利子負債は大きめなものの、成長性の高さが市場では期待が持たれ、株式価値も高めとなっている。


同業他社と比較すると、仕手化し大きく買われていることもあって割高な印象。利益率、成長性も低く、プレミアム部分が大きい。ただしPERなどは元々の予想利益が小さいので少しでも上ブレれば急速に改善する可能性を残しているので、あまりアテにしない方が良いだろう。


【同社を取り巻く環境】
筆頭株主2社共に再編の話が浮上している。新日鐵は住金(5405)と、日新製鋼は日本金属工業(5491)とそれぞれ合併するという話が出ており、アジア勢台頭による鉄鋼、ステンレス業界の危機感の表れとなっている。

それを受けて同社には比較的プラスに働くものと見られる。単純に親会社の規模拡大により、受注獲得の機会が増えてくるものと推察される。

一方で、同社自体にも再編の話が遠からず浮上してくるものと考える。それは同業他社との統合、または大株主の完全子会社化という形で出てくるのではないだろうか。

この辺りの話が顕在化してくれば、前向きな印象を与えて同社の株価にはポジティブに反応してくるものと思われる。


【課題】
まずは何と言っても利益率を一段と改善する必要があるだろう。官公需要の低下によって利益率が低下していることは理解できるが、今後官公需要が増加する見込みもない中で、同社にできるのは現在のコストを一段と抑えることである。

今回の第一四半期決算ではコスト削減効果を前面に出しているものの、正直物足りない印象。元々製造が主体ではない業態であるから、利益率はもっと高められるはずだ。工事原価を一層厳しく見積もって、利益の上がる体質に早急に改善すべきである。

また、太陽光にはより深く向き合っても良いのではないか。ウエストHD(1407)などはメガソーラーへ商機を見出して、福岡で大規模な発電所参入計画を示している。

確かに全量買取制度の実現がまだ達せられていない段階では不透明感も強い。設備投資負担という目先の金額規模がわかりやすい負担へばかり投資家の目が向かい、業績に対する寄与度は未知数だ。大規模な計画を打ち出しているソフトバンク(9984)の株価などを見ても、その傾向は明らか。しかしながら同じように太陽光に強みを持つ業種だからこそ、先駆者の利益を享受できるチャンスもある。

エネルギー問題は全世界的な規模での悩みの種となっており、同時にGoogleなどの他業種からの参入も多い分野でもある。ここで新たなビジネスモデルを確立することができれば、将来的に海外の需要を取り込みにいくことも不可能ではない。

同社は資本関係でも大手がバックにあり、競争力では他のベンチャーに引けを取らないものを作り上げることが可能だろう。それらを考慮すると同社には様々な可能性があり、債権者ならいざ知らず、株主にとっては大きな期待感を抱かせる材料を多く内包しているものと思われる。

※株式投資は自己責任でお願いします。文中の内容は現時点で予測できる範囲で想定されたものであり、投資成果を保証するものではありません。

 

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