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のど自慢

 

以前、母がNHKの「のど自慢」に応募して、予選落ちしたという話を書きました。当時父がまだ存命中だけども弱ってきており、母も何かと元気が無かったので「のど自慢が来るようだし、出てみれば?」と提案。最初渋っていた母も私が何度もプッシュするので渋々(・・・と言いながら本心はノリノリで)応募し、結果惨敗でした

当時私の頭に「自分が母を焚き付けておきながら、自分が出ないのは卑怯なのではないか?」と変な責任感がよぎりましたが、とりあえず母を立てる形で(?)私は辞退しました

以来、のど自慢を見る目がスッカリ変わりました。すなわち、のど自慢は歌が上手い人が出るだけではなくて、人生を歌に託して語る場なんだなぁ、とそうした観点から見ると、かつて父が毎週欠かさず見ていたのを「素人が歌っているのが何が楽しいのか?」と冷めていた私でしたが、案外日曜の昼に何気なく見る機会が増えました私も歳をとったのかも知れません

そして今回、またのど自慢が隣の市にやってくることになりました。今年は丁度娘が生まれた節目の年これはいよいよ私の出番なのではないか、この機を逃してはいけない、とまた変な責任感がぶり返し、実は応募して予選出場のハガキが来ました

ネットとかで調べると、予選を通過するだけでもなかなか倍率が高く、地域にも因りますが大体1000組弱が応募して250組になりますから、倍率は3〜4倍。実際、私の従兄弟も応募したそうなのですが落ちたそうです。

この辺り、その曲を選んだ理由を書いて応募するわけですが、そこのエピソードに面白みが無いとダメなのでしょうね。単に歌いたいから、では、出場した時のトークが盛り上がりませんもんね。

 

のど自慢フリークの方は重々承知の事と思いますが、のど自慢は歌が上手ければ出られるものではありません無論「のど自慢」なので一定の歌唱力は求められるものの、あくまで「人生を歌に託して語る場」なので、上手い人順に予選を通過するわけではありません。

そして大体採用される「枠」があります。それぞれ大体2人ずつ程の枠がありますが、私が分析したところ「文句無く歌が上手い枠」「御達者(年寄り)枠」「盛り上げ枠」「地域枠」「エピソード枠」「ゲスト枠(当日来る2人のプロ歌手の歌)」、また最近は中学生も参加できるようになったので「中学生枠」も出来ました

勿論重なる部分もあるでしょうけれど、年代別、男女構成比などのバランスを重視して、この席の取り合いになります。

正直言いましょう。私は結構歌には自信があります。昔から主にJ-POPを聞きまくり、友達からはJ-POPオタクと呼ばれる程で、20代の頃には週末になるとカラオケの歌い放題タイムに喉が枯れるまで歌いに行っていました

近年は残念ながらその機会もめっきり減り、実際にカラオケボックスに行くのは年に一回あるかないかくらいですが、未だその歌唱力は衰えていない・・・はずそもそもうちの父がカラオケ好きだったので、その血筋を引いているのかも知れません

とはいえ、知り合いならともかく、大勢の人の前で歌うというのはさすがに緊張しますし、気が引けますただ変な責任感と、今しか無いというチャンス感もあって、締め切りギリギリまで迷いましたが、往復ハガキを買って応募したのでした

 

なお、歌唱力に自信があるとはいえ、絶対的に上手いとまでは客観的に言えないので、狙うは「エピソード枠」。結婚して9年目の今年40歳を過ぎてようやく第一子をもうけ、娘に捧げるメッセージソングとして、選曲はマッキーこと槇原敬之の「Wow」をチョイスしました。子供が産まれた喜びを歌詞にした隠れた名曲です

↓動画とかは無かったので歌詞
http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=B01394

ちなみに最近知ったのですが、この曲はマッキーがSMAPに提供した「世界に一つだけの花」の前に提供予定として作られた曲で、その頃キムタクに子供が出来たことに感化されて作ったそうなのですが、大人の事情で「これはまだSMAPに早い」ということで却下され、じゃあということで「世界に一つだけの花」を提供して、国民的大ヒットに繋がった、という曰く付きの曲です

しかしそもそもキーの高いマッキーの歌を今の自分が歌えるのかどうか本当はカラオケボックスに一人ででも行って練習すれば良いのでしょうけれど、子供が産まれてバタバタしており、なかなかそういう暇もありませんというわけで、車を一人で運転する機会を見つけては、車内で練習していましたするとなかなか上手く歌えたので「おっ、これは行ける」と思いました。

この時点で私はエピソード枠での勝利を確信大体私はテレビ製作側の求めているものを読み取って映るのが上手い「いやらしい人」なので、例えばニュースのインタビューとか何人にも聴取してその中の数人を選ぶ場合には、適切なコメントや動作をして間違い無く選ばれています。かつて目覚ましテレビやNHKのニュースにも出たことがありテレビ慣れしています(?)

今回の場合、特にうちの父親が亡くなる直前に子供ができたことを報告できた、というエピソードも交えれば、それをダシに本選間違い無いな、だけど「父は孫に高い高いできずに他界しました」・・・なんて言わない方が良いな、いやー、チャンピオン大会はどうしようかな・・・などと一人でイメトレ(妄想)していました

 

 

そして予選当日。衣装はどこかで新調しようかと思っていたのですが、娘の病院通いなどでバタバタしていて、なかなか買いに行く暇も無かったので、有り物で見繕いましたうーん、この衣装も採点に絡む重要な要素なのですがまあ、今回奇抜なものにする必要は無いですけれど

結局普段着な感じで仕上げ、車で会場まで向かう道すがら、また車内で一人カラオケで練習本番に挑みます。先般より娘のウィルスを貰って若干風邪気味で喉が痛いものの、のど飴をなめて何とか問題無いように思えました

ただ実は二つ不安なことがあり、一つは前奏からの入り方私の歌う「Wow」はちょっと前奏の長い曲で、まともに前奏の通り歌うとなると25秒ほど前奏に費やしてしまいます。ですから恐らく前奏を短縮してくるであろうこと、また1番と2番の前奏の入り方が微妙に違うので、短い2番の方に合わせるのだろうと狙いを定めました。

もう一つは歌詞。覚えてはいるのですが、歌詞がどうも1フレーズと2フレーズをごっちゃにしてしまうことがあるので、それが本番当日になってもまだ固まっていませんうーん、練習不足ですね

そんな不安を抱えながらも会場に到着会場の前にはズラリと参加者が行列を作っています周りを見ると派手な衣装を身につけた人や車いすのお婆さんまで、老若男女が揃いも揃っていました。間もなく受け付けを済ませると、予選参加記念のバッチと共に歌う順番のシールを渡され、左胸に貼ってくれと指示されます。

この歌う順番ですが、曲名のあいうえお順になっているので、私の「Wow」は「わぉ」なので、250組中で本当に最後の最後である243番でした。

 

受付を終えると、始めに予選の説明をスタッフさんがしてくれるということで、客席に座って待ちます。ステージには既に明日の本番に備えてセットが出来上がっており、バックバンドもちゃんと付いて、既に本番さながらに歌うことができるようになっています

やがて時間になると、演出のスタッフさんが壇上に上がり説明を開始します。非常にテンションの高い感じで、笑いを交えて緊張をほぐすような語り口テツandトモのテツみたいな感じの人ですそこで一通り注意事項を確認します。

それで大体予選は12:15〜開始して16時くらいまでかかるということでした予選の際の一人の持ち時間は45秒〜50秒。交代の時間なども加味すると1人1分の計算になります。間に10分の休憩を2回挟むということで、大体1割強の人が当日棄権したようで結局225人くらいですから、計245分。そもそも私は243番なので、出番は逆算すると終わりの16時くらいになるということです。

会場は出入り自由です。というわけで最初の何人かの歌を聴いてみて、感覚がわかったら一旦家に昼ご飯を食べに戻ろうと思いました。人の歌をずっと聴いていても疲れますし、そもそも緊張してきますからね。

で、実はいきなり1番の人が棄権。2番目の人は車いすのお婆ちゃん。歌は水戸黄門の「あぁ、人生に涙あり」でした。それが衣装は水戸黄門の衣装になっていて、杖と印籠まで用意してあり、準備は万端。当然出場する気満々です

まぁ、お婆ちゃんは私とは「枠」が違うのでライバルではありません。ここで前奏の時間を計ってみたりして、作戦を練ることにしました。

3組目は双子でペアルックの若い男性で、美空ひばりの「愛燦々」を歌いましたこれが非常に上手いこれは合格ではないでしょうかむむむ、さすが喉を自慢したい者達の集い早速レベルが高い

続いて4番目も30代くらいの男性で、最近のヒット曲である林部智史の「あいたい」を熱唱これまたものすごく上手いこれも合格ではないでしょうか(ちなみに結論を言ってしまえば、この4番目の人が本選に出場し、今週のチャンピオンでした

これ以上聞いていると段々自信喪失してきて緊張してしまうので、逃げるようにさっさと一旦帰ることにしました

 

帰りの車ではあまり練習をすると喉を潰すので自重家でお昼を食べて少し休んでいると、母から電話がかかってきましたどうも母は私の予選を見に会場に到着したのだ、とのこと。入れ違いでした母によれば、今100人くらい歌い終わったところだとのこと。そんなわけでしばらくしてから再出発気を引き締めて会場へと向かいます。

改めて会場に到着すると、予選は順調に進行しており、大体200番くらいまでの人が歌い終わっていました私の番まであと少しとりあえず、客席の母を見つけて合流し、一息つきます

母曰く「ネックレスが切れて、真珠の玉が散らばって大変だった」とのこと。ただ隣に座っていた見知らぬ男性が「これは逆に良いことあるよ」と励ましてくれたということでした。うーん、適当なアドバイスまあ、私も前向きに捉えることにします。

そんな私の目の前には、真っ赤で派手なスーツを着た男性が座っていました母曰く「この人のパフォーマンスが凄かった」とコッソリ耳打ち

結論を言えば、この人も本戦出場となったのでした俊ちゃんこと田原俊彦のダンスパフォーマンスを披露して、盛り上げ役としての出場。大阪まで行って、専門店で数万円かけてわざわざ新調したのだとか私みたいに冴えない休日の父ちゃんみたいな、隙だらけの普段着とは力の入れようが違います

そんなこんなで緊張の面持ちで予選の様子を眺めていると、やがて我々の組が舞台袖にコールされたので、私は意を決して向かいました

 

歌う順番の20番ずつが舞台脇で点呼され、スタッフさんから「マイクスタンドを使うのか?」などといった簡単な質問をされます。そして皆が揃って質問も終わり、準備が整ったところで壇上に上げられますあののど自慢の右手にいつも映っている、順番を待っている人達が座っているソファの部分ですね

ところで、舞台に上がったら単に緊張の面持ちで自分の順番を待っていれば良いわけではありません人が歌っているのに合わせて、周りの参加者と同じに手を振ったり、笑顔で手拍子したり、こういうところも採点に入っているとかいないとかもう既に審査は始まっていて、協調性が求められますよ

舞台に上がると、やはりライトが眩しく感じます客席側を見るとたくさん人は居るのですが、前列くらいの人の顔しか見えません。実際に舞台に上がったらもっと緊張するかなと思ったのですが、順調に流れて皆小慣れた感じで各々パフォーマンスを繰り広げるので、良い意味で緩い感じの空気が出来上がっています

そもそも、のど自慢の参加者の半分以上は2回目以上のチャレンジなのだとか。この前テレビで見ていたら「8回目にしてようやく本選出場」という人も居ました道理で皆小慣れているはずですね

そんなことを思っているうちに、私の前の人の番がやって来ました。結構いい年したおじさんでしたが、仮面ライダーの歌を大げさな振り付けと共に跳んだり跳ねたり元気に歌い上げていました「盛り上げ枠」狙いですね私とはちょっとタイプが異なります

そんなことを思いながら、いよいよ私の番になり、小走りにマイクを受け取りに舞台中央に駆け寄りました

 

「243番Wow」と、元気ににこやかに番号と曲名を言った・・・つもりですが、数百人の客席からの視線を受ける中、顔が引きつっていたかも知れませんとにかく、私は歌詞を間違えないようにしよう、ということを最優先に考えていました。

ところが、ちょっと曲が始まるまで間が開きましたというのもマイナーな曲なので、曲出しに手間取っていたのだと思います。ほんの数秒の間でしたが、ポンポンと来ていた良い流れが止まった感があって、ちょっと私のリズムとしてもそこで引っかかった感じがありました

そしていよいよ前奏が流れますここが私の一つの勝負ポイントでした。「前奏が30秒程ある長めの曲であり、時間の都合上、恐らくフルバージョンの前奏は流れないだろう。しかし2番は少し短めなので、そのタイミングの歌い出しだろう」と。

勝負に出た私は「ココだ」と思い「まだなんに〜も」と、2番のタイミングで歌い始めました

・・・が、賭け失敗きちんと原曲の1番の通り、前奏がちゃんとフルバージョンで流れ、歌い出し失敗前の方の客席から「ハハッ」とかすかに笑われたような波動を感じましたが、そこはちゃんと備えていたので、態勢を建て直し、改めて歌い出します

・・・が、どうも出だしの声の入り方が拙く、思うように声が出ません立て直そうと頑張りましたが、焦るほどなかなか軌道修正できず結局Aメロを少し歌っただけで「ありがとうございました」と交代を告げる無機質なアナウンスが流れてしまい、私ののど自慢初挑戦は不完全燃焼のまま幕を閉じたのでした

 

歌い終わると、速やかに舞台袖から降りて、軽いインタビューがあります。司会の小田切千アナウンサーと番組スタッフさんから質問を受けます。

まず番組スタッフさんに「今まで、このような音楽番組でテレビ出演されたことがありますか?」と質問されました。実際に無かったので「ありません」と応えましたが、恐らく他局の番組などで出演歴があったり、セミプロみたいな人だったらアウトなのでしょう。

続いて小田切アナウンサーからの質問。ハガキで応募した際に「曲を選んだ理由」を書きましたが、その話の深掘りして、本番時のやりとりで使えそうな良いエピソードを引きだそうというものです。

それで私の場合は「産まれた子供へのメッセージソングとして」と書いたので「お子様が産まれたんですか?」と聞かれ「はい」と応えました。すると「良かったですねぇ〜」と言われ「じゃあ」と出口の方に手を示されて退出を促されました瞬殺小田切アナウンサーも私の歌を聴いて「こりゃダメだな」と判断し、根掘り葉掘り聞いても無駄だと思ったのでしょう

本来、私がもっと積極的に食らいついてアピールすれば、色々ポイントが上がったのでしょうけれど、私も出来の悪さにスッカリ意気消沈してしまっており、食い下がる力は残っていませんでした大人しく指し示された出口に向かい、スゴスゴとホールの外へと出て行きました

 

ホールの外では、後で自分の歌唱などを見られるように、20分遅れで予選の様子を映し出しているテレビが用意してありました出演者は皆歌い終わった後に、テレビの周りに集まってスマホで自分の姿がテレビに映っているのを記念撮影したり、反省しながら見たりしています

しばらく待っていると、やがて私が登場してきました。客観的に見る自分・・・う、うーん、何だか身体がフニャフニャしていて、まるで酔っ払った状態で歌いに来た感じになっています緊張をほぐすために一杯引っかけてきたような感じ

そして、一番ダメなパターン、すなわち「歌が下手と自覚していない奴が、難易度の高い歌を歌って周りが引く」一番お寒いパターンに見えますこりゃ何かの間違いで本選出場になっても、恥ずかしくてこちらから辞退しないといけない程の体たらく

周りで見ていた人も、本人が傍に居るのに気付かずにクスッとする感じでしたあぁ、恥ずかしい・・・見終わると顔から炎を噴出しながら、気付かれないようにそっとフェードアウトしてテレビの前から去りました

ホールの入り口ではのど自慢の記念グッズを売っており「のど自慢に行ってきました」とかのお約束のお菓子も。しかし記念に買って帰る気力も無く、今となってはむしろ何らかのアクシデントで参加しなかったことにしたいくらいでした

客席に戻ると、母は「出だし失敗したねぇ」と一言。歌唱自体には言及せず、微妙に気を遣っているような様子が感じ取られ、何とも言えない雰囲気が漂っていました母は「さて、私は先に帰るわ」と言い残し、結果を見ずに帰ってしまいました

その後予選は一通り終わり、審査の時間に入ります。大体1時間くらいかかるようなので、その間をつなぐために、ステージ上で自由参加の大カラオケ大会に司会の人がメジャーな曲を挙げ「この曲を歌いたい人」というと、客席の中から挙手で立候補し、指名されればステージ上で歌う、というシステムです。歌いたい人が大勢いれば、5、6人くらいで歌うという緩い感じ。

そうやって次々と曲が進んでいったのですが、数百人も居れば中には当然空気を読まない人も居ます何度も手を挙げてはステージ上に上がり、跳んだり跳ねたり妙なテンション今の私とは真逆のテンション他に歌いたい人が居ないとその人を指名せざるを得ず、最初は皆笑っていましたが、やがて会場全体がどっちらけな雰囲気に包まれました

やがて結果発表の時間になり、小田切アナウンサーが合格者の番号を読み上げていきます。まあここで引っ張っても仕方無いのでさっさと結論を言えば、案の定私は落選でした20組が決まり、翌日全員参加できることが確認されると、予選は終了となりました

翌日。本番を見てみると、前日選ばれた人々が元気にステージ上でそれぞれのパフォーマンスを繰り広げていましたあぁ、本当はあの場に私が立っているはずだったのに・・・

その時初めて気付いたのですが、私と同じ槇原敬之の曲「遠く遠く」を選曲して、年齢も同じの男性が本選に出ていました。げげっ、丸かぶりじゃんエピソード的にも「娘が京都で舞妓になった」という非常に良いものをお持ちで、私はこの人に完全に負けたのでした・・・

後日、結局娘に向けて披露することができなかったので、嫁が「歌ってみせて」と言うので、車を運転している時に、車内で練習していたのと同じような感じで披露してみせましたそれを聞き終えた嫁は無言でしたし、娘は寝ていました(完)

 

 

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