この連休は地元で住民運動会なるものがありました住民運動会?と思われる方は多いかも知れませんが、地方では住んでいる地区の運動会があります。そこでご近所さん同士で仲間となって、体力増進と共に付き合いを深めていこう、というシステムです
私は最近まで全国的に行われているものと思っていましたが、埼玉出身の嫁は「そんなの聞いたことない」と言っていました
そう言われてみると、確かに東京に住んでいた時はそんなのありませんでした
こういう地元の付き合いやイベントというのは、正直若い人は嫌がりますかく言う私もぶっちゃけ面倒臭いなと思ったり
大切な休日を潰されますし、そもそも運動音痴な私は子供の時から運動会が大嫌いだったので
それでも、やはりこういうのも参加して地域間の繋がりを大切にしないといけないと思ったりもします。正直、今の所に越してきてから4年以上経過しますが、未だに町内の人の名前と顔が一致しなかったりします・・・最近は特に絆も見直されていますし、こういうイベントも大事だな、と。
と言うわけで昨年から参加しているのですが、うちの町内は残念ながら少子高齢化が特に進んでいるので、活きの良い参加者(?)が不足していますなので30代も後半に入った私ですら平均年齢を引き下げる方の、貴重な戦力に入ります
まあ運動会とは言え、そんなに血眼になって順位を競うものでもありません。一応商品は出ますけれど、開会式が終わった途端に皆でビールを飲んで、お気楽な感じですまして9月とは思えない程の炎天下でしたから、酔いの回りが早いこと早いこと
そんな感じで住民運動会はぐたぐだと平和裏にスタートしました
競技種目は色々あって、普通であれば一人1つ2つ参加すれば良い方なのですが、今回私は3種目も参加しなければなりませんでした
まあ本来の目的が地域交流なわけですから、種目の全てが団体戦。個人種目はありません。最初に出場した競技は「サイクロン」という競技で、5人で一本の棒を横に持ちながら、右回りに回ったり左回りに回ったりするもの。これはまあ何とか4組中2位の成績で終えました台風の目になるほどの目覚ましい成績とは言えませんでしたが・・・
次は騎馬戦。上に乗るのは町内の子供で、私は土台の3人の大人の一人。左翼を守るという非常に重要な任務を仰せつかりましたが・・・左翼側からの攻勢を受けて瞬殺しかし、他の組が頑張ってくれたお陰で、何とか我々が所属する集団は1位でした
ふぅ、やれやれ
そうこうして午前の部が終わり。お昼に一旦家に戻り、さて後半戦・・・と戻ってくると「てけてけさん、男女混合リレーのアンカーをお願いします」と言われました。えっ?アンカー?
男女混合リレーは7人の男女が年代別にバトンを渡す、純粋に脚力が勝負の最も運動会の花形競技です。そのアンカーは「しんがり」を勤める一番重要なポジション。しかも、他の走者はグラウンド半周でいいのですが、アンカーだけ一周(200m)を走ることになります
私は普段から暇があれば走っているので、それを目撃しているご近所さんが「てけてけさんならいつも走っているから大丈夫よ」と入れ知恵をしたようなのです
いやいや、私は昔から長距離タイプで、短距離はすごい苦手でして・・・
残念ながら私の抵抗は受け入れられず、結局アンカーの大任を仰せつかることになってしまいました今までの人生でここまでの大役を担ったこともないのに・・・と言いつつ、私は内心ちょっと自信があったり
よくテレビで急にこういった運動会に出たお父さんが足がもつれて転んだりするシーンを見かけますが、まあそんなことにはならないだろう、と。だって私は普段から運動していますから「足がもつれるなんて考えられない」とすら思っていました。
とか言いながら、足をつったらいけないので念入りにストレッチをし、アスリートのストイックさを醸し出していました。その真剣さに周りから「おっ、この人マジでやる気だ」というような視線を受けましたが、いやいやあんまり期待してもらったら困りますよ
まあ何にせよ相手が同世代ならいけるでしょ・・・と思ったら、私の相手はほとんど中学生アンカーだけは年齢制限無しのフリーだったようです
最後の200mが勝負の分かれ目ですから、当然各町内ごとに活きの良い主力を打ち立ててきます
うっ、現役と退役ではちょっと劣勢か?しかし勝負はやってみなければわかりませんよ
静かに闘志を燃やし、他の町内に殺気を飛ばしつつ威嚇する私
順番が近づくにつれ、段々と緊張してきましたが、「まあうちの町内はリレーでブービー以外とらないから気楽にいきましょうよ」と言われ、何となくほっとしていました
第一走者の小学生の男の子も小さいメガネっ子
しかもうちの町内に子供がいなかったので、隣の町内の子供を借りてきた始末
あっ、こりゃ最初から負け戦っぽいから大丈夫だな
よーい、ドンところが、その第一走者の小学生が尋常じゃなく速い
ドカン
とスタートダッシュを見せるとみるみる他を引き離し、1位でバトンを回しました
おいおい、こんな速いやつを貸してくれたんかいな
その後のうちの町内の走者はパッと見、結構速そうな人が続いていますやべー
・・・と思ったら、案外後続の人は見かけ倒しで遅く(失礼)、結局私がバトンを受けた時には4位とは僅差のビリに
「よしよし、これは最も走りやすい環境
一人くらい抜かせられれば、格好も付くでしょ
」と内心ほくそ笑んでいました
歓声の中バトンを受け取った私は徐々にトップスピードにもっていきますここは昔取った杵柄で、最初はピッチを細かく、直線でストライドを大きくとり、ももを上げて走ればスピードが乗って・・・と、やっているつもりですが、前の走者とどんどん差は広がっていくばかり
身体がついていきましぇん
節々が悲鳴をあげています
結果、前の走者はどんどん遠ざかり、最終的に4位とは1/4周分くらいの差がついて、あとはドンケツの私がゴールを残すのみとなりましたあーあ、まあ最後のコーナーを回って残り2、3歩でゴールだ・・・
・・・と思った瞬間、足がもつれてスッテーンとゴール手前で大転倒
漢字二文字で表現すると「無様」以外の何者でもありませんでした
私自身は転んでもすぐに起きあがって、銃弾を避ける「あぶない刑事」のタカばりにすかさず軽やかに体勢を立て直したつもりでしたが・・・端から見ると全然そんなことはなかった様子普通にゴール付近の人たちに「大丈夫?
」と心配そうに声をかけられて、「えぇ、大丈夫です
」と、息も切れ切れに返すだけで精一杯
しかし両手両膝をすりむいて負傷その後は普通に節々が痛く、すごすごと町内のテントに戻っていきました
既に他のランナー達はテントで体育座り。「あーぁ、やっちゃったね」的な感じで、皆気まずい感じで目も合わせてくれません
他の人からは「ま、まあ200mもよく走ったね
」と慰められる始末
そういえば高校生の時にも同じような経験をした思い出がやはり運動会で足も遅いのにアンカーを押しつけられて断れず、ゴボウ抜きされた忌々しい思い出
当時も陣営に戻ってきたら同じような扱いでした
あのトラウマから約20年の時を経て、歴史は繰り返されました
不幸中の幸いは元々ビリだったことと、仕事で嫁が欠席だったため嫁に無様な姿を晒さずに済んだことただ、嫁の同僚の方は参加していたようで、思いっきり私のこける瞬間を目撃されていました
私は身体の傷よりも「足がもつれた」という老いさらばえた傷の方がショックで、今後5年は運動会に出るまい、と心に誓った一日でもありましたそして日焼けと共に、傷口がヒリヒリ
治りの遅くなった身体は、一週間以上経った今でもその災厄から逃れられずにいます
【完】