『日本マルクス主義文献』は、作成当時―1920年代―の日本において「洪水」(内藤赳夫)のように数多く刊行されたマルクス主義文献を目録化し、旧ソ連のマルクス/エンゲルス研究所から刊行されていた『マルクス/エンゲルス・アルヒーフ』に掲載することを目的として作成されました。
当時の大原社研の所長高野岩三郎とマルクス/エンゲルス研究所の所長D.リャザーノフを中心にこの企画がすすめられ、高野の指示によって内藤赳夫(大原社研図書主任)が作成を担当し、1929年に目録は完成しました。
この企画は、いわば文献目録の形で日本のマルクス主義研究を国際的に紹介しようとする先駆的な試みでした。
完成後、目録はマルクス/エンゲルス研究所に送付されたものの、旧ソ連でのスターリンの台頭によるリャザーノフの失脚などの影響により、この企画は頓挫します。
以後、この目録はマルクス/エンゲルス研究所の書庫に死蔵されたままとなり、大原社研にも関連記録はほとんど伝承されず、忘却されていました。
それから70年余りのち、この目録は大村泉教授によってモスクワの書庫で発見、紹介され(2002年)、ようやくその存在が明らかになりました。
『日本マルクス主義文献』は戦前に作成された日本語のマルクス主義文献の目録として最大の採録点数をもちます。1920年代の日本で巻き起こったマルクス主義への関心の高揚を知る上で、大変興味深い文献目録です。
2010年5月31日:暫定版公開
2014年12月24日:更新
このサイトは戦前の大原社会問題研究所で作成された文献目録『日本マルクス主義文献』(ドイツ語表記、一部ローマ字併記)を翻訳・翻刻し、Web版として公開しています。
『日本マルクス主義文献』採録文献一覧