自然は、沈黙した。うす気味悪い。鳥たちは、どこへ行ってしまったのか。みんな不思議に思い、不吉な予感にお びえた。裏庭の餌箱は、からっぽだった。ああ鳥がいた、と思っても、死にかけていた。ぶるぶるからだをふるわせ
、飛ぶこともできなかった。春がきたが、沈黙の春だった。いつもだったら、コマドリ、スグロマネシツグミ、ハト 、カケス、ミソサザイの鳴き声で春の夜は明ける。そのほかいろんな鳥の鳴き声がひびきわたる。だが、いまはもの音一つしない。野原、森、沼地――みな黙りこくっている。
レイチェル・カーソン Rachel Louise Carson(1907-1964)
「沈黙の春」("SILENT SPRING" 1962)より
●原発の現場で20年間働いて被曝し、阪神淡路大震災の二年後に亡くなった
平井憲夫さんの真実の告発文です。死の前年に書かれています。
「原発がどんなものか知って欲しい」
●原発のこと2011.5.24