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<3rd Stage> 男声合唱団コール・グランツ         指揮:鎌田 弘子

    無伴奏男声合唱組曲 「今でも・・・ローセキは魔法の杖」より
                                                         
作詩:柴野利彦 作曲:遠藤雅夫


 

 

   1 溢れる泉は日々を巡り

   2 道路は巨大なキャンバス

   3 爽やかなレモンの風は

   4 深い眠りに包まれて

   5 明るい光に満ちた季節は惑いを止め   

 

 

 

 2、3年前のことであろうか。小学校3年生の主人公「ボク」が、田舎に暮らす叔父さんの家で1カ月の夏休みを過ごす「僕の夏休み」というゲームソフトが世の大人の男性を夢中にさせた。何も恐れを知らないすべてがキラキラしていた子供の頃の思い出とノスタルジアが、そこには存在していた。「今でも…ローセキは魔法の杖」という作品も、そんな我々大人の男性の心を掴んだ曲であることは間違いない。

 この作品は、明治大学グリークラブにより1978年に委嘱され、同団体により、その年の第27回東京六大学合唱連盟定期演奏会で初演された。作曲家の遠藤雅夫さんはこの曲の出版にあたり、「この男声合唱を書くに当たって念頭に置いたのが『詳細な完成を取り込む』ことにあり、男の応援歌でも悲哀を背負ったものでもない新しいタイプの響きを創造するために、作曲家がもつ和声感のすべてをさらけだした。各楽章どれも若々しさにあふれており、私にとっては青春の一コマのような、完全に過ぎ去った過去の自分を見ているような思いがする。」と寄稿されている。

 本日いらっしゃった皆様の心にも、作者、そして我々同様、ノスタルジックな青春の一コマがよみがえっていただくような演奏ができれば幸いである。

(野口享治記)


    
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