観劇記録のページ
雪組 東京宝塚劇場公演
猛き黄金の国 / パッサージュ
猛き黄金の国
−士魂商才!岩崎彌太郎の青春−
本宮ひろ志 原作
石田昌也 脚本・演出
三菱ダンスでの衣装変更があって意表をつかれた。あのスリーダイヤマークの作業着から、普通のスーツへの変更。どうせ制服マニアの石田氏のことだから、いくら不評でも変わるまいと思っていたものだが。
大劇場では相変わらずの石田氏の趣味の悪さに辟易しただけに、歓迎できる話ではあった。
だが本音を言えば、衣装をかえるだけでなく場面そのものをなくしてほしかった。たとえ衣装がスーツに替わっても、巨大なスリーダイヤの吊り物をバックに置いてのダンスシーンというのはやはり異様なものがあるし、舞台空間の中に現実が入り込む余地が生まれてしまう。
大きな変更はラストシーンにもあった。
大劇場のように全員が舞台に並ばない。面接に向かう矢島彌太郎が後ろを向くと、岩崎彌太郎がせりから登場。そして岩崎の周りに三菱ダンサーや岩崎と同じ時代を生きた人たちが出ては消える。そして最後に残るのが岩崎と喜勢。舞台中央で主題歌を歌いながらせり上がる2人。
少し驚いたが、ここまではよかろう。だが、ここからがいけない。
せり上がる2人の後ろに、出てきたのは、あの場面と同じスリーダイヤマーク。三菱ダンスのバックに出ていたスリーダイヤが再び登場するのだ。そして、三菱のマークをバックに岩崎と喜勢が寄り添うところで、緞帳が降りる。
宝塚歌劇団は三菱系列になったのか? ラストシーンにまで三菱マークを出すとは。三菱をヨイショしているとしか思えないのだが。しかも、そこまで三菱をヨイショしなければならない理由というのがわからない。
宝塚なのだから、過度に現実を持ち込むような演出は勘弁してほしいものだ。
パッサージュ
−硝子の空の記憶−
荻田浩一 脚本・演出
観劇を重ねるごとに作品の持つ魅力が深まっていくものを感じていた。
大劇場での初見の時は、少々消化不良に思ったはずなのだが、気がつくと荻田ワールドの住人になっている。観劇をすればするほど荻田氏の描く世界に引き込まれ、通わずにはいられなくなってくる。
気がつくと東京だけで6回観劇。これだけ観劇回数を稼いでしまう最大の理由は、やはり紺野まひるなのだが
(^^; 今回は荻田氏のショーも劇場に通いたくなる要素になっていた。
一つだけいわせてもらえば、パレードの途中で音楽のテンポがいきなり代わる点が引っかかった。
大劇場ではトップスターの挨拶からずっと3拍子の音楽だった。ところが、東京ではトップスターが挨拶するとまずはいつも通りの4拍子の音楽で、銀橋で挨拶をしているところで、大劇場と同様の3拍子の音楽に変わる。
場内一杯の手拍子で盛り上がっているところでの、テンポの変化は、戸惑いを感じさせるものがかなりあった。公演も最後の方になると、慣れてきたけれども、東京で最初に見たときは何でここで変わるのかという思いを感じずにはいられなかった。
絵麻緒ゆうの休演にともなう代役公演も2回観劇した。
貴城けいの代役、地獄の場面の青年では多少の違和感を感じることもあったが、これは絵麻緒ゆうにあて書きされた脚本と演出のためであろう。むしろ、そんな役でありながら、貴城けいはよくこなしていたと思う。また、もともと歌唱力があるだけに、歌を存分に聞かせてくれた。
公演期間の約半分ほどの期間だが、ここで貴城けいへの評価はかなり高くなった。
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