観劇記録のページ

雪組 宝塚大劇場公演

猛き黄金の国 / パッサージュ

観劇日 2001年3月17日 2001年3月18日
観劇時刻 午前11時の部 午前11時の部 午後3時の部
(JCB貸切)
観劇場所 1階15列上手
(S席)
2階17列上手
(B席)
2階17列上手
(B席)

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猛き黄金の国
−士魂商才!岩崎彌太郎の青春−

本宮ひろ志 原作
石田昌也 脚本・演出


 やっぱり石田氏は趣味が悪すぎる……。
 それなりに面白いといえば面白いが、やはり趣味の悪さは気になった。

 まずはギャグの品のなさ。
 宝塚の舞台とは思えない下ネタギャグの炸裂には、言葉を失うのみだった。よりによってトップスターに、「お前、……小っちゃいな」(あまりに下品なので、自主規制)と言わせたり……。何度となく、宝塚の演出家としての良識を疑いたくなる思いにさせられた。
 下ネタ以外のギャグも、場を間違えたものが多すぎる。
 たとえば、新撰組の隊員が、刀と間違えてハリセンを携えて撃ち合いにきて、坂本竜馬にそのハリセンでしばかれるというギャグがあったが……。このギャグもあまりにも場違いで阿呆らしすぎだった。
 こういったギャグを、真面目な場面に突然入れてこられると始末が悪い。この場面の撃ち合い自体は、至極真面目なシチュエーションのもとでのこと。場面そのものも、敵同士の和解という、非常に真面目なテーマだった。そこへ、いきなり「刀と間違えてハリセン持ってきました」ギャグなど飛ばされても、寒くなるだけである。
 僕もギャグは嫌いではないが、この芝居には、言葉を失ってしまうようなギャグがあまりに多すぎた。

 しかし、ギャグなどまだ軽い悪趣味だ。
 悪趣味の極みと感じたのは、なんと言っても「三菱ダンス」。本気で思った。「金輪際、宝塚の演出はやめてくれ!! 石田!!」と。
 「その名は……」「三菱!」の台詞とともに、落ちてきたものは、三菱の象徴、スリーダイヤマークの描かれた吊り物。そして、舞台にスリーダイヤ入りの作業着や帽子、ヘルメットなどを身にまとった生徒たちが出てきてのダンスシーン。
 いかにもな石田氏好みの場面だが……。制服好きの石田氏だけに、他の場面以上の気合が伝わってきたが……(笑)。
 今回3回観劇したが、3回ともこの場面では引いていた。
 石田氏に言いたい。何が悲しくて、せっかくの休日に、スリーダイヤなど拝まなければいけないのか。何が悲しくて、宝塚までやってきて、スリーダイヤの吊り物の前で踊る、スリーダイヤの作業着姿の生徒たちを見なければ行けないのか。
 宝塚の舞台で見たいものは、夢である。日頃の忙しさや、人間関係の中から生まれるストレスを忘れさせてくれるような夢が見たいのだ。
 スリーダイヤのどこに夢があるというのか。街を歩いていれば、あちこちで簡単に見つけることのできるスリーダイヤは、現実そのものである。そんなものを、宝塚の舞台に軽々しく出してしまわれては、興醒めもいいところである。夢を見たい人たちに、こんな現実を見せるなど、悪趣味以外のなにものでもない。


パッサージュ
−硝子の空の記憶−

荻田浩一 脚本・演出


 やっぱり荻田氏は芝居向きなのだろうか……。
 テーマがあることはわかるのだが、それが何か、あまりよくわからなかった。芝居だと、台詞という道具を通して、荻田氏の世界にかなり近づけるのだが、歌とダンスで構成されるショーだと、そこへ近づくのがかなり難しい。

 もっとも、悪いショーかというとそうでもない。意外と、個々の場面は楽しめる。ストーリーやテーマを考えずに見ていたら、退屈しないで1時間を過ごせた。
 生徒の使い方のうまさも好感が持てる。朝海ひかるの天使に、紺野まひるの少女という絶妙な配役。美穂圭子のエトワールは「これこそ本物のエトワール」と思わせるものがあったし。新専科生の場面も、それぞれの持ち味を十分に生かした場面作りができている。

 これは芝居でも言えることだが、新専科の絵麻緒ゆうが好印象だった。
 星組育ちで、今まで雪組の舞台に出たことはないはずなのに、不思議と雪組の舞台に溶け込んでいた。そして、このショーで初コンビを組んだ紺野まひるとの相性のよさ。息の合い方もよかったし、ビジュアル面でも非常に魅力的だった。紺野まひるのファンとして、いい男役に恵まれたとまで思ったほどだ。


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