隠れ宝塚のひとりごと
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雪組宝塚大劇場公演
「再会」/「ノバ・ボサ・ノバ」
「再会」編
観劇日 | 99年4月4日 | |
観劇時刻 | 午前11時の部 | 午後3時30分の部 |
観劇場所 | 1階24列上手寄り (A席) |
1階16列中央 (S席) |
「再 会」
石田 昌也 脚本・演出
−とりあえず、名誉挽回か?−
石田昌也氏というと忘れられないのが花組の「スナイパー」である。あの作品は一本だけで石田氏の評価を最低にするほどひどいものだった。
「スナイパー」で嫌な思いをさせられてからというもの、石田氏の作品は全く期待できなくなっていた。今回の「再会」にしても、「ノバ・ボサ・ノバ」の前座扱いしかできなかったし、「石田じゃまた変なものを見させられるかも」といった恐怖を感じたほどである。
しかし、今回は思いのほか楽しませてくれた。それどころか、「ノバ・ボサ・ノバ」よりこちらの方が気に入ってしまったほどだ。
この作品は、初見の時がもっとも楽しめるので、この作品のストーリーなどについて評するのは1000daysの千秋楽まで控えておく。しかし、物語の展開の仕方も悪くなかったし、全体的に気楽に楽しめる構成で非常によかった。今回は初舞台生の口上と「ノバ・ボサ・ノバ」のために芝居には1時間しか割けないという結構厳しい制約の中、起承転結がうまくまとめられていたのも好感が持てる。
今回の作品で、「スナイパー」のひどさが帳消しにされることは決してないけれども、それでも石田氏はとりあえずの名誉挽回はできたのではと思う。
−毎度持ち込まれる「制服趣味」−
しかし「楽しかったから」と誉めてばかりもいられない。楽しませてもらった反面、「スナイパー」であれだけ言われたのに懲りていないのかと呆れさせられたものもある。あの石田氏の制服趣味丸出しの衣装である。
今回もホテルのメイドとボーイが「いかにも石田好み(笑)」の格好で出てきて脱力させられた。しかも「スナイパー」の「大空港」の場面のパイロットやスチュワーデスの衣装と非常に似ていて、一瞬あの作品で見た悪夢を思い出したほどだ。また、衣装のタイプは違うけれど、貴咲美里の着ていたバッティングセンターの店員の衣装も露骨に石田氏の趣味だなとわかってきてこれまた脱力したものだ。
石田氏が「制服」を衣装にする必要性を考えていれば、まだ目をつぶることができる。しかし、石田作品に出てくる「制服」にはどう見ても石田氏の趣味がかなりストレートに出ていて、必要性も何も考えずに趣味だけで取り入れたなと思わされるものがある。だから「制服」は制服には見えず、単に趣味の悪いコスプレにしか見えなくなってくる。特に娘役の衣装には、「石田の奴、生徒にこれ着せて興奮しているんじゃないか」と思えてきて、同じ男として情けなくなってくることが多い(たとえば「スナイパー」のSWATの衣装)。それでいつも脱力してしまうのだ。だいたい、宝塚の舞台メイクと、制服は不釣り合いで、似合っていると思わされる生徒はほとんどいなかった。
「スナイパー」で、あれだけ言われた直後なのだから、もう少し考えてほしかった。頼むから「制服」の使用は極力控えてほしいものである。
(僕だって男だから「制服が好きだ」って気持ちは分かるけど、やっぱ宝塚に持ち込むのはまずいよ、石田ちゃん(笑)。ファンにも生徒にも嫌われるぞ(笑))
−「役者」に成長した月影瞳−
「ぐんちゃんも役者になった……」。月影瞳を見ながら僕は感じていた。 月影瞳の雪組入りしてからの成長ぶりは何度もここで評価しているけれども、想像していた以上の伸びを公演の度に見せてくれる。 今回の公演では、前半部でちょっとキレた感じの女性を楽しく見せてくれたかと思えば、後半には大人の雰囲気を少し漂わせたり、演技の幅が感じられた。 また、演技だけでなく、銀橋ソロでは感情のこもった歌い方をみせてくれて、歌の方での成長も見せてくれた。 月影瞳はまだ星組にいた頃の、「エリザベート」のルドルフ少年以来結構買っていたけれども、ここまで延びたということは、いい意味で予想外のものだった。そろそろトップとして円熟期に入ってきたが、これからどんな役者になっていくのか非常に楽しみである。
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