隠れ宝塚のひとりごと
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雪組TAKARAZUKA 1000days劇場公演
「浅茅が宿」/「ラヴィール」
「ラヴィール」編
観劇日 | 98年11月28日 |
観劇時刻 | 午後3時30分の部 |
観劇場所 | 26列中央(C席) |
特記事項 | 飛鳥裕・轟悠による初日挨拶あり |
ラヴィール
中村 一徳 脚本・演出
−「いかにもタカラヅカ」の新鮮さ−
気がつくと、今年は結構いいショーを見させていただいている。星組の「ヘミングウェイ・レヴュー」を筆頭に、見応えのあるショーがいくつも上演された。1作だけ論外の作品があったけれども、その他は傑作続きだった。そして、今回の「ラヴィール」も、今年のショーの傑作の一つに加えたくなるような好作品だった。
作品自体は、「いかにもタカラヅカ」と言いたくなる雰囲気が漂っている。オープニングのセットやピンクの衣装など、僕がまだファンになる前に持っていた宝塚のイメージそのまま。
しかし、この「いかにもタカラヅカ」がかなり新鮮に見えた。展開も大半が「宝塚レビュー」の定石通りの作りだったが、決してマンネリには見えなかった。「いかにも」に対して非常に巧妙な味付けをして、非常に楽しめる好作品に仕立ててくれた。55分などあっという間だった。
東京公演中心の観劇のため、中村一徳氏の作品はこれが初めてだが、「いかにも」といったものを新鮮に見せた才能にはこれから注目もしていきたいところである。
−ロケット2回が面白い−
これは中村一徳氏の前作「レ・シェルバン」と同様の演出らしいが、ロケット2回というのが面白かった。もしかしたら、「レ・シェルバン」を見た人には、またかよ……と思いたくなるものなのかもしれないが、東京公演のなかった「レ・シェルバン」を見ていない僕には、非常に目新しい物に思えた。
しかも、2回ともそれぞれ楽しめる作りになっているのがよい。
オープニングの最後にある1回目のロケットは、久しぶりの大人数。大人数ロケットの迫力が非常に魅力的である。最近は非常に規模の小さいロケットが多く、これに寂しさを感じることの多い昨今、非常に見応えのあるものだった。やはり、ロケットは人数が多い方がいい。宙組発足後は1組あたりの人数が減り、大人数ロケットもなかなか難しくなってきたけれども、たまにはこんな迫力のあるロケットを見たいものだ。
そしてフィナーレのロケットは新しいパターン。スーツ姿の男役を一人入れたのは面白いアイデアだ。これにより、定番のロケットが新鮮なものに見えたし、オープニングのロケットとは違った趣向が感じられてよかった。
−ショーでも見せる香寿たつき−
個人的には「DANCE JAZZIN」が非常に気に入った。この場面はとにかくダンスが格好いい。華やかなオープニング、フィナーレとは対照的なシンプルな場面だが、見応えのあるダンスが見られる。
ここでは香寿が見せてくれた。この場面で踊っていた生徒たちの中で、香寿が最もいいダンスを見せてくれた。今までは芝居の方での役者ぶりの印象が強かったが、今回のこのショーで、ダンスにも捨てがたいものを感じさせられた。
すでに男役の2番手に登りつめているが、今後が非常に楽しみな男役である。
−轟悠の気合−
フィナーレのパレードの後の初日挨拶では、轟の並々ならぬ気合が感じられた。少し前のしし座流星群の話で客席の笑いをとり、和やかな雰囲気の中で挨拶をしていたけれども、その一言一言には、非常に気合がこもっていた。轟としても、雪組の現状を何とかしたいという思いがやはりあるのだろう。
こんな時代の雪組のトップスターを任されたことに同情したくなるものがあるが、轟はそんなことに負けるまいと努力している。何とか、自分たちの手で、いまだにチケットが売れ残っているこの公演を盛り上げたい思いがうかがえてくる。
轟と雪組生一同が気合いを入れて贈る今回の公演、期間は他組に比べて短いけれども中身の濃い2本立てである。「雪組」というだけで引いてしまう方にも、騙されたと思って1000daysへ行ってみることをおすすめしたい。
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