隠れ宝塚のひとりごと
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花組 TAKARAZUKA 1000days劇場公演
「SPEAKEASY」/「スナイパー」
−「SPEAKEASY」編−
観劇日 | 8月23日 |
観劇時間 | 午前11時の部 |
観劇場所 | 16列右手ブロック(B席) |
「SPEAKEASY」−風の街の純情な悪党たち−
(原作:ジョン・ゲイ「The Beggar's Opera」)
谷 正純 脚本・演出
−無念きわまりない初日の迎え方−
もう、大劇場の舞台に立つ千ほさちを見ることはない……。
この作品の大劇場公演の時、そんなことは夢にも思わなかった。あの日、大劇場から宝塚南口駅へと続く武庫川の橋の上では、すでに次の花組大劇場公演のことを考えていた。新しいトップスターと組んでいる千ほさちを……。
ところが、突然の退団発表が行われ、今回の1000daysでトップスター真矢みきとの同時退団ということになってしまった。退団の第一報から初日まではわずか18日。突然次の大劇場公演への夢は絶たれ、突然の退団発表への動揺が収まらないままの初日となった。
これほど無念な初日の迎え方はない。せめて、大劇場公演前に退団発表を聞き、心の準備をしてから初日を迎えたかった。
僕はあまりに突発的すぎる退団を決めた千ほさちを責めるつもりはない。ただ、どうしても劇団には言いたい。今回の突発的退団の背景を、十分に考えてほしいと。
退団していく生徒のファンは、多かれ少なかれ退団への無念さを感じながら初日を迎える。これを完全に感じさせないようにしてくれなどという無茶は言わない。ただ、千の場合は、無念の一言では済まないものがある。伸び盛りの研5での退団がそもそも惜しいというのに、その上さらに、あまりに突然すぎ、かつ、時間もほとんど残されていない状態である。
千が退団を決意するほどの何らかの事情が劇団内部にあったはずである。それでもなければ「次の1000days限り」などという退団の仕方はしないはずである。その何らかの事情を劇団は考えてほしい。そして、千のような退団劇だけは避けてほしいのだ。
これほどの無念な思いで初日を迎えるのは、ほさちファンが最後であってほしい。
公演そのものの感想ではないが、今回の1000days公演を迎えるにあたっての率直な思いなので、冒頭に挙げさせていただいた。
−大劇場を越える盛り上がり−
予想通り、オープニングのマクフィスの登場を始め、生徒が客席に降りてくる場面は大劇場以上に盛り上がった。特に真矢の登場時の観客席の興奮ぶりはすごい。あちこちから「キャー」という歓声が上がる。そして、場内割れんばかりの拍手。興奮のあまり、いわゆる「カンカン拍手」をしてしまう者が多いが、あまりに場内が騒然としているのであまり気にならない。
さすがは全て1階席の1000days。A席最前列からC、E席最後列まで全ての観客が真矢の登場シーンを楽しめるし、見えない2階席に気を遣って控えめに喜ぶ必要もないから、周りに迷惑のかからない範囲で盛り上がることができる。
このページにはずいぶんと落ち着いたことを書いているが、僕も1000daysではかなり興奮している。根がミーハーなものだから、こういう場面では声に出さなくてもかなり気分が高揚してしまう。
それにしても、真矢みきって格好いい。B席とC席を隔てる通路に佇む真矢のシルエットを見つけたときには気絶するかと思った
(^^;
もちろん、オープニングとエンディングで生徒が客席に降りてくる場面も、大劇場以上の盛り上がりである。2階席がないし、劇場自体が狭いので、生徒と観客の一体感が味わえるのが嬉しい。1000daysに関しては、劇場の構造を上手く利用した好演出だと思う。
−退団者が大活躍−
今回は退団者が非常に活躍している。
真矢みきは自身の持つ男役の「美学」をこれでもかと言わんばかりに見せてくれる上に、随所で自ら「明るいサヨナラ公演」を実践してくれている。さすがは宝塚のエンターテイナーである。
千ほさちはまさに宝塚生活の集大成だ。初舞台から一気にトップに登りつめる過程で、そして「失われた楽園」、「ザッツ・レビュー」などのトップとして出演した作品、そしてこの「SPEAKEASY」の大劇場公演と、わずかな期間に身につけた全てのことを見せてくれている。肝心の演技でも、問題とされていた台詞回しがだいぶ安定してきた。これなら芸能界でもやっていけるであろう。
トップコンビ以外の退団者の中で特に目立つのが、やはり詩乃優花である。今回は娘役2番手の渚あきよりも重要なポジションを与えられているが、この絶好の花道を、自らきれいに飾っている。大劇場公演時も非常によかったが、今回はさらに輝いている。「名脇役」という言葉が非常に似合う。上手く今回の舞台を引き立ててくれた。改めて退団が惜しくなる逸材だと感じさせられた。
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