2006.12.25. 


パブリックコメント

掲示板で教えていただいた、鳥獣法改正に伴う「鳥獣の保護を図るための事業を実施するための基本的な指針(案)」に対するパブリックコメントの結果が環境省により公表されました。しっかり鳥類標識調査のことも出ています。

環境省のwebページ

pdfファイル

 

個々のコメントへの対応も出ています。(pdfの28ページ)

この中には、許可範囲の縮小を訴えるコメントに対して、「適切に許可されているものと考えます」と答えられています。

同様に、許可対象者を国・都道府県から委託された者だけにすべきであるとのコメントに対して、「可能な限り広くデータを収集するためには、委託を受けた者から依頼されたものにより行われる調査は必要と考えます。」と答えられています。

つまり、環境省は、許可を受けた者がさらに委託するという下請け・孫請けの関係を公式に認めていて改善する必要も無いと認識しているのです。下請け・孫請けが行われるので許可の経緯が曖昧となって責任の所在までもが曖昧となり多くの問題が発生し、なおかつ、その事実関係調査に長大な時間を要するのではないでしょうか。

 

 

さらに注目すべきことがあります。平成14年にはパブリックコメント「標識調査にかかる事項を削除するべき(特定の団体のみが行っており、その結果も公表されず、調査の効果が明らかではない。かすみ網の使用が許され、殺傷と虐待が行われている)。」が記録されています。(pdfファイル

つまり、

●山階鳥類研究所のみに丸投げされていて、

●結果も成果も公表されていないので調査の意義さえ疑わしく、

●その陰で野鳥の殺傷と虐待が行われている、

というものです。

「山階鳥類研究所のみに丸投げされていて、結果も成果も公表されていないので調査の意義さえ疑わしく」という部分は無視していますね。そして、環境省が「適切に取り扱われているものと認識して」いたにもかかわらず、実際に野鳥に対する殺傷と虐待が行われていたことが明かとなり、今でもその状況はなんら改善されていないのです。

 

 

環境省からの回答

11/21、環境省の野生生物課長宛に公式回答を求める質問状を送付しました。期限を決めないと弥富野鳥園の件のように「確認中のまま」放置されかねないと考えて、3週間後の12/11の時点で回答可能な部分について回答をいただきたいとお願いしてありました。

12/11の23時にメールの添付pdfで、なんと、弥富野鳥園の件の回答を頂きました。

中島 様

いつもお世話になっております。9月25日にメールで質問をいただいていた件について、返事が遅くなりましたことお詫び申し上げます。この件について、別添のとおり回答いたします。また、11月20日にいただいた質問書につきましては、大変申し訳ございませんが、もう少しお時間をいただけますでしょうか。よろしくお願い申し上げます。

9/25に問い合わせてから回答が出るまでに2ヶ月半かかったことになります。許可を出した機関であるのに、環境省が事実関係を調査するのに長大な時間を要するのは、上述のような重層構造が原因となっているからではないでしょうか。

また、「適切に許可されているものと考えます」と答えられていますが、この回答書を読んで、「適切に許可されている」と感じることができるでしょうか。「適切」という言葉が随分と軽く使われるのですね。

 

さて、この回答(回答のpdfは、webページに変換しました)、私の読解力が足りないのか、私には意味不明な箇所がいくつもあります。

 

例えば、【質問1 への回答】には

また、「野鳥の捕獲許可」と「標識調査許可」を併せて出したのかということについてですが、前述のとおり、鳥類標識調査を目的とした鳥獣の捕獲許可を出しています。

最後に、H18 年3 月までの弥富野鳥園での調査の責任は環境省にあるということかについてですが、愛知県弥富野鳥園については、愛知県の施設として開園以来、県の業務として県職員による鳥類標識調査が昨年度まで実施されてきたところです。(※)このことから、昨年度までの鳥類標識調査は、愛知県による業務と考えております。

とあります。

 

私なりに省略されている部分を黄色い文字で補ってみると次のようになります。 

また、「野鳥の捕獲許可」と「標識調査許可」を併せて出したのかということについてですが、前述のとおり、環境省は、鳥類標識調査を目的とした鳥獣の捕獲許可を出しています。

最後に、H18 年3 月までの弥富野鳥園での調査の責任は環境省にあるということかについてですが、愛知県弥富野鳥園については、愛知県の施設として開園以来、県の業務として県職員による鳥類標識調査が昨年度まで実施されてきたところです。(※)このことから、昨年度までの鳥類標識調査は、愛知県による業務と考えており、責任は愛知県にあるもので環境省には一切関係ないと考えております。

このように補えるならば、「許可を出したのは環境省だけど、愛知県がやってたことだから環境省は知らない」という意味になります。許認可権という権力は責任と不可分であることは当然です。いったい何が言いたいのでしょうか。