愛知県名古屋市

中島 康喜 様

環境省自然環境局野生生物課

常日頃、野生生物保護行政の推進につきまして、ご理解をいただき感謝申し上げます。さて、9 月25 日にメールにて質問のありました件について以下のとおり回答いたします。返事が大変遅くなりましたことお詫び申し上げます。

 

【質問1 】

「環境省は個別に弥富野鳥園に学術調査として許可を出し調査をお願いした経緯はございません。」とのことでしたが、「環境省は個別に弥富野鳥園に標識調査許可を出した。」ということで間違いありませんか?

つまり、環境省が「野鳥の捕獲許可」と「標識調査許可」をあわせて出したので、平成18 年3 月までの弥富野鳥園での調査の責任は環境省にあるということでしょうか。

【質問1 への回答】

「環境省は個別に弥富野鳥園に標識調査許可を出した。」ことについてですが、鳥獣保護法により鳥獣は原則として捕獲禁止となっており、有害鳥獣捕獲や学術研究のために鳥獣を捕獲しようとする場合には、鳥獣保護法第9 条第2 項の規定により鳥獣の捕獲許可を得る必要があります。

鳥類標識調査を目的とした鳥獣の捕獲許可の審査は「鳥獣捕獲許可等取扱要領」で定められており、これにより許可対象者としては、国若しくは都道府県の担当職員又は委託を受けた者等としているところです。

このような制度で許可されておりますので、お問い合わせの件については、愛知県弥富野鳥園に鳥類標識調査許可を出すのではなく、愛知県弥富野鳥園を調査区域に含んでいる鳥類標識調査を目的とした鳥類の捕獲許可申請の申請者である、調査者へ許可がなされます。

また、「野鳥の捕獲許可」と「標識調査許可」を併せて出したのかということについてですが、前述のとおり、鳥類標識調査を目的とした鳥獣の捕獲許可を出しています。

最後に、H18 年3 月までの弥富野鳥園での調査の責任は環境省にあるということかについてですが、愛知県弥富野鳥園については、愛知県の施設として開園以来、県の業務として県職員による鳥類標識調査が昨年度まで実施されてきたところです。(※)このことから、昨年度までの鳥類標識調査は、愛知県による業務と考えております。


※(その成果については、山階鳥研に報告していただき、山階鳥研の成果と併せて取りまとめています。)

 

【質問2 】

質問の繰り返しになりますが、環境省は、訓練を受けた人間に対してではなく、弥富野鳥園という施設に対して「野鳥の捕獲許可」と「標識調査許可」を出していたということでしょうか。尾崎室長の回答からはそう読めます。

【質問2 への回答】

前述のとおり、施設に対してではなく、捕獲申請者に鳥獣の捕獲許可がなされます。

 

【質問3 】

新聞記事に写真が出ているオオコノハズクは「希少種」です。

http://www.pref.hiroshima.jp/eco/j/j2/reddata/tori.htm

バンダーのライセンスを持たない職員=野鳥の取り扱いに熟練していない人間と考えられます。そのような人間が、希少種や絶滅危惧種を含めて無差別に野鳥を捕獲してしまう標識調査を行うのは大変危険なことではないでしょうか。

【質問4 】

3 に関連して。他にも、弥富野鳥園のようにバンダーのライセンスを持たない人間が調査を行った例がありますか。

【質問3 及び4 への回答】

質問3 、4 についてですが、環境省委託による(財)山階鳥類研究所(以下「山階鳥研」とする。)の鳥類標識調査では、山階鳥研において1979 年よりバンダー講習会を開催してバンダーの育成を進めており、1990 年からバンダー資格認定証の発行を開始しています。1990年以後は、全ての調査従事者に認定証の保有を義務付けています。

なお、山階鳥研による標識調査ではありませんが、学術研究を目的とした個人が、鳥獣捕獲許可を得て捕獲した鳥類に標識(足環)をつけて放鳥するケースはあります。

また、標識調査を目的とした鳥獣の捕獲許可申請については、「鳥獣捕獲許可取扱要領(平成15 年4 月15 日付け環自発第030415012 号環境省自然環境局長通知)」に従って、「国若しくは都道府県の鳥獣行政事務担当職員又は国若しくは都道府県より委託を受けた者(委託を受けた者から依頼された者を含む。)」が許可対象者とされています。

 

【質問5 】

私有地といえども敷地外からかすみ網が見え、鳥類標識調査の形態をとるのですから、無用なトラブルを避ける意味でも赤旗を掲示すべきであり、調査マニュアルも当然遵守しなければならないと考えます。環境省の見解はいかがでしょうか。

【質問5 への回答】

環境省としては、立入禁止区域であっても無用な誤解を生じるのであれば、鳥類標識調査中であることを示す旗の標示を行うことが必要であると考えております。

なお、今年度からは、愛知県弥富野鳥園の鳥類標識調査は、環境省委託による山階鳥研の調査としてバンダーの資格を持った者が、鳥類標識調査中を示す赤い旗を標示し調査を実施しています。

 

【質問6 】

5 に関連して。かすみ網はどこが貸し出したものでしょうか。鳥類標識調査用として山階鳥類研究所が貸し出したならば、赤旗と一緒に貸し出されたのではないでしょうか。そして、鳥類標識調査用と認識していたならば山階鳥類研究所にも監督責任が発生するのではないでしょうか。

【質問6 への回答】

かすみ網につきましては、その所持及び販売等が禁止されているところです。

ただし、鳥獣の捕獲許可を受けた者が、この捕獲許可にかかる目的で入手し所持することは、認められています。

愛知県が実施していた弥富野鳥園での鳥類標識調査では、山階鳥研から借りていたと聞いています。

弥富野鳥園での鳥類標識調査は愛知県の調査であるので、山階鳥研に監督責任が発生するものではないと考えます。