江戸時代から続く石材店のリニューアル計画です。
敷地は街道沿いの細長く平坦な土地です。
老朽化した鉄骨平屋建ての建物を、骨組みを残し外壁を新調しながら、作業場に店舗機能を付加し、未来に向け新しくリニューアルしたい、というクライアントの熱い想いが託されました。
石材店のノウハウをふんだんに盛り込み、内部外部ともにアイキャッチ的に石を取り入れることで、オリジナリティーの高いデザインとなりました。
平面構成は、基本のフレームグリッドを活かし、3スパン分を店舗機能とし、残りを作業空間にあてました。
店舗スペースは、オフィス機能とホール機能を、施主が自ら製作した石のカウンターと、水回りのコアスペースで柔らかく分け、空間的に連続した開放感のある構成としました。
ホール内装は、床をブルーチップの入ったブラックの御影石敷き、壁面は白壁をベースに金色が混ざったモスグリーンの壁を差し色として配し、天井をダークブラウンでまとめることで、シックで落ち着きのあるスペースとなりました。
正面の壁には、明り取りの2つの大きな丸窓を設け、中央の3本柱に違い棚風の飾り棚を渡して、和モダンで印象的な演出を目論みました。
足元は自然石を並べ、白砂利を敷き込むことで、日本庭園を想わせる趣きとなりました。
天井からは、柔らかな布をまとった大きな丸い照明を2つ配し、丸窓と共にリズミカルな空間を目指しました。
オフィス部分は、少し背の高い石のカウンターで、視線を遮りながらもホール部分と柔らかくつながり、ミニキッチンを備え、小上がりの沓脱ぎ式とすることで、機能的でリビングにいるような居心地の良いスペースを目指しました。
ファサードは、耐久性を考慮し、ガルバリウム鋼板でシャープにまとめ、店舗スペース部分を内装と調和したモスグリーン、作業スペース部分をブラックとし、モダンな中にも和を感じられるよう配慮しました。
エントランス脇は、石のもつ悠久さをテーマに、クライアントの自主施工による重厚な石組の壁とし、歴史ある石材店をアピールしました。
概要
所在地 千葉県印旛郡酒々井町
設計 青戸信雄建築研究所
施工 小坂建設工業
延床面積 116.13u
構造 鉄骨造 平屋建て
歴史と未来の融合
全景 右側モスグリーン部分を店舗、左側ブラック部分を作業場としてシャープにまとめた
正面ファサード モスグリーンの壁に石壁がアクセントになっている
南側夜景 丸窓、3本柱、違い棚で和モダンなコンポジションをつくる
白壁とモスグリーンの壁、ダークブラウンの天井で落ち着きある空間に
印象的な正面石壁 クライアント自主製作のカウンター