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江川(ごうのがわ)―中国地方一の暴れ川と共に生き、時に水害に悩まされてきた人口4000人足らずの小さな町が、「水」をキーワードに町おこしをと、この計画はスタートしました。
敷地やテーマの変更等、紆余曲折の末、水を「サイエンス」と「アート」という二つの側面から捉えたミュージアムの方向で、コンセプトはまとまりました。
敷地や町周辺をサーベイし、全国でも希少になってきた地域特有の美しい景観―河原の州浜や石積みの棚田、民家の土壁や板塀など―を手掛かりに、「風土の記憶」を感じられるよう計画を進めました。

敷地は、町の中心から8キロほど離れた、江川の支流、坂本川の河川敷に広がる起伏に富んだ地形です。
周囲は標高500m級の山々に囲まれ、しばし立ち込める霧に浮かぶ風景は、幻想的で悠久の時を感じさせます。

設計条件として、建築本体が、30年に一度起こるといわれる洪水時に冠水しないことが第一に要求されました。
冠水時に生き残る建物をイメージし、洪水伝説の‘方舟’をモチーフにデザインを展開しました。
また、「水ふれあい公園」の中核としての位置づけから、ランドスケープと建物を一体のものと考え、風景との調和をはかりながらも、新しい物語を感じさせたいと思いました。

構成は、坂本川に沿って石積みの‘山’を3つ並べ、そこに‘方舟’の展示棟を‘漂着’させました。
‘山’の石積みは、円形の段上護岸とし、地元産の錆石を使い、時間と共に錆びて味わいが出るようにと考えました。
‘方舟’は、米松の「縦」下見板張りに黒い塗装を施し、リニアな無窓の直方体でまとめました。
3つの‘山’の東側エリアは、敷地の形状を生かし、なだらかに芝生斜面ですりつけ、中央に大きく池を配置しました。
この「中央池」は、緩やかなカーブを描く白壁の回廊で静かに包み込まれ、下流にある大滝の「騒」・「動」との対比を演出しました。

展示棟は、現代美術のインスタレーション空間「アートギャラリー」と、水の科学館「サイエンスギャラリー」からなり、その中間部には多目的に利用できる「水のスタジオ」を配しました。

「アートギャラリー」はアーティストの意見を参考に、現代美術を引き立てる場を模索し、定番の白いスペースではなく、床・壁をモルタル、天井は黒塗りの板張りとし、制作環境に近い、硬質で「素」な空間づくりを目指しました。
「サイエンスギャラリー」は、直方体を135度ねじった形状にし、水のうねりを表現しました。
展示棟の北端入口には、円筒形の「水と音の館」を配置し、螺旋スロープで回遊できる深さ10mの「深井戸」をつくり、レーザーアーティストのインスタレーション空間としました。
また、南端終点には、ベンガラ入り土壁の球体空間「幻想宮」を配置し、音と光による演出を施しました。

管理棟(チケット・カフェ・ショップ・オフィス等)は、来館者の動線やサービスを考慮し、サービス道路に沿って配置、展示棟とは別棟としました。中央池に対して、半径100mの漆喰壁の後ろに置くことで、アプローチの静寂を確保しました。


概要
所在地 島根県江津市(旧桜江町)
延床面積 1,843.85u
構造 RC造一部S造 地下1階 地上2階
施工 鴻池・今井JV


受賞
しまね景観賞 大賞
「坂本地区」中国地方都市美協議会
景観大賞
公共の色彩賞-環境色彩10選
日本建築学会作品選奨

     メッセージ     
<風土の記憶‘方舟ミュージアム’>

フレーム
中央池 円形オブジェはエリック・オア氏制作※1


洪水時シミュレーションCG※2

まずはお気軽にお電話くださいTEL:0476-28-8719(受付:月〜金10時〜18時)
     メッセージ     


展示棟立面※1

中央池

S

W

E

N

駐車場

寂水の庭

管理棟

展示棟

坂本川

江川


航空撮影


大滝と地元産の錆石の石積み※1


水と音の館※1


アートギャラリー※1


サイエンスギャラリー※1


幻想宮※1


水のスタジオ※1


州浜とスリット

※1 撮影/畑亮
※2 制作/大泉和文

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