公正証書の意義、必要性
企業等の組織では、曖昧な文章や内容は許されず、しっかりとしたものが求められますが、通常、個人が同レベルの文章や内容を求められることはありません。
しかし、曖昧なままにした場合、必ずしも取り決めた内容が守られないことがあります。その内容が重大であるほど、曖昧であることは、その後に大きな影響を及ぼす可能性が出てきます。
また、取り決めた内容を忘れてしまったり、紙に残しておいたとしても紛失してしまうこともあります。
ひどい場合には、取り決めた内容を勝手に変更してしまうことも、一つの可能性として考えられます。取り決めた内容を変更できるのは、遺言書については作成した本人のみであり、協議の上で取り決めた内容であれば、その相手の承諾が必要になります。
しかし、そのような状況下で取り決めた内容での問題が起きた場合、当事者間でまともに話し合うことは不可能な可能性が高く、通常は裁判所を利用することになるか、あきらめるかの選択をすることになると思われます。
公正証書の特長
公正証書は公証人により作成され、作成した公証役場に公正証書の原本が保管されていますので、紛失、その他により必要になった場合に、正本若しくは謄本の再交付を受けることができます。(正本の再交付は、法的に必要があった場合のみに限定されています。)
また、取り決めた内容が金銭・有価証券、又は一般に広く出回っている市販物を取得したり譲渡したりする場合、譲渡する人が、その内容について強制執行を受けることを容認している公正証書であれば、債務名義を取得します。
債務名義を取得すると、裁判所での判決を受けずに強制執行手続きを行うことができます。
債務名義を取得しないと、裁判所での判決・調停等を経て、その後もなお、相手がその内容を実行しなかった場合には、強制執行手続きに入ることができます。
建築物、特定の人物が描いた絵画等、一般的に代わりとなる物が入手できない物は、公正証書での強制執行はできません。但し、基本的に裁判等での証拠能力が通常よりも高く評価されますので、内容にも依りますが証拠として使用すると、私製文書等と比較して、強制執行の請求が有利になります。もちろん、その他の請求についても同様です。