AFFスチームパンクの主な舞台はもちろん十九世紀のロンドンですが、 史実とは多少異なっています。
霧の都ロンドンです。
舞台は十九世紀末と設定しておきます。年代は厳密には決めずに、柔軟性を持たせておきます。
これにより、切り裂きジャックの事件と「ホムンクルス」事件の前後関係を気にせず扱うことができるわけです。
ロンドンは基本的には史実のままですし、技術レベルも変わりません。
ただし、細部は異なります。
ベーカー街には名高いシャーロック・ホームズが住んでいます。
相棒ワトスン博士は、ホームズの活躍を本や新聞で世間に知らしめています。
ジュール・ベルヌやH.G.ウェルズの小説は、空想科学小説というよりも、史実の記録というスタンスで、
世間に流布しています。ジュール・ベルヌの「月世界へ行く」や「海底二万マイル」は刊行済みですが、
ウェルズの「タイムマシン」や「宇宙戦争」はこれから起こる事件です。
あまりに整合性がとれなさそうなものは小説扱いだったり、小規模な史実になります。
ホームズやG.E.チャレンジャー、ヘルシング教授といった英雄が活躍する一方で、
ロンドンの夜の闇はあまりに濃く、ハイド氏やドラキュラ伯爵など怪人たちの跳梁跋扈をも許しています。
市井の科学者たちは一般の科学技術を凌駕するほどの発明発見を成し遂げています。
そのため、ロンドンの裏通りを大型の蒸気マシンが闊歩することもありえますし、
事故で失った手足の代わりに歯車で動く四肢を移植している者に会うこともあるでしょう。
これらの発明は電気よりも蒸気と歯車が中心になります。光が必要ならガスを使い、無線ならば弦による共振現象を使いましょう。
電気もすでに知られていますが、馬力やコスト的な面からまだ割に合わないと見られています。
チャールズ・バベッジ卿が作成した差分機関や完成しなかった解析機関は、
公には知られていませんが、実は完成しており、その利用価値が計り知れないものになっています。
知られざるロンドンの一画では政府が秘密裏に進めている計画により、建物全体が巨大な歯車型計算機になっています。
ここでは常に実験が繰り返されています。
【参考資料】→発明発見年表
この時代、紳士たちは暇になると社交クラブに顔を出していました。 顔見知りが集まるだけのクラブもあれば、なにかテーマを決めてそれに取り組むものもありました。 こうしたクラブの存在は、探偵や執事など異なる職業と生活を持つヒーローたちをまとめるのにうってつけです。
1887年、イタリアの天文学者ジョバンニ・スキャバレリは、火星に運河があるとスケッチを発表しました。
ヒーローたちが火星を訪れるには、テクノロジーレベルを超える科学者の協力がなければ不可能ですが、
火星には呼吸可能な大気があり、厚く立ち込めた雲の層の下には網の目のような運河と緑が存在します。
火星の一画には火星人とも言うべき生き物が、集落を形成しています。
宙に浮かぶ緑色の丸い風船のような身体で、大きい目と丸い口があり、身体からは何本かの触手が垂れ下がっています。
地球の人間にはほとんど理解できない感性を持っているので、意志の疎通は苦労することでしょう。
彼らの科学レベルは地球人をはるかに越えており、レーザー光線や多足歩行戦車などを作っています。
ひょっとしたら火星の別の一画には、火星をバルスームと呼ぶ人間そっくりな種族がいるかも知れません。
ここで宇宙空間について触れておきます。 ケルヴィン卿など古株の科学者によると、宇宙には光の媒介物質エーテルが満ちています。 このエーテルは錬金術師の言う第五元素エーテルと同じかどうかはわかりませんが、 怪しげな神秘学者たちは魔術の触媒として注目しています。
一般には知られていませんが、
地球の中心にはあちこち空洞があり、巨大なる世界を形成しています。
ペルシダーと呼ばれる地底人の住まう地を始めとして、空洞世界がいくつか存在します。
そのほとんどはミッシングリンクを埋める猿人や恐竜など地上では絶滅した生物が群れを成しています。
地底世界へ行くにはアイスランド死火山の噴火口をたどったり、前人未踏の密林奥にある切り立った崖を降りていくなどの方法があります。
もちろん、ドリルのついた圧搾機械で地面を掘ってもかまいません。