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スチームパンク 参考文献

スチームパンク小説
十九世紀を舞台にした小説
資料
映像
マンガ
 

■スチームパンク小説

翻訳されたスチームパンク小説は実はそんなに多くないのではないかと思います。 本屋よりも図書館や古本屋を探しましょう。

「ホムンクルス」 ジェイムズ・P・ブレイロック
登場人物が多く、独特の文体なので、ちょっと読みにくい。 でも、スチームパンクの要素がたっぷり詰め込まれている作品。 エントロピーを狂わすホムンクルスの箱をめぐって、騒動が繰り広げられる。 死体をよみがえらせる悪の錬金術師や、資産家、マザコンの教祖、そしてトリスメギトスクラブの面々。 主人公側の人間が多い物語なのでTRPGのゲーム展開の参考になるでしょう。

「悪魔の機械」 K・W・ジーター
おすすめの作品です。天才発明家を父に持つやや鈍い英国紳士の回想録という形で、物語は語られます。 自動人形、数々の発明品、地球粉砕計画、海底人、蟲惑的な美女などなど目くるめく展開で楽しませてくれます。

「アヌビスの門」 ティム・パワーズ
精神面の深さはなくとも、ひたすらストーリー展開の面白さを追求するというスチームパンクの見本とも言える作品です。 活きた十九世紀の描写や、魅力的な登場人物、波乱万丈のプロットでとにかく目が離せません。

「ディファレンス・エンジン」 ウィリアム・ギブスン&ブルース・スターリング
サイバーパンクの旗手が挑戦したスチームパンク。あまり読みやすくないけど、 歯車式コンピュータ(差分機械)が支配したもうひとつの世界をきっちり構築しています。十九世紀のコンピュータを題材にした作品として貴重です。 巻末の事典も資料として役に立つでしょう。

「ムジカ・マキーナ」 高野史緒
至高の音楽を求めるものたちが巻き込まれる、麻薬<魔笛>の陰謀。 物語はウィーンで静かに進行し、混沌の街ロンドンでテクノロジーの爆発を迎えます。 まちがいなくスチームパンクで、ゴシックホラーの雰囲気もある傑作です。

「ドラキュラ紀元」 キム・ニューマン
スチームパンクと呼ぶにはテクノロジー面の要素はありませんが、 ドラキュラに支配されたもうひとつのヴィクトリア朝時代を舞台にした、 とても読み応えある小説です。おすすめです。 登場人物は生半可な知識では元ネタがわかりません。 これも巻末の人名辞典が資料として使えます。

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■十九世紀を舞台にした小説

十九世紀に近い時代に書かれたものが多く、初期の空想科学小説など楽しめる作品が多いです。 その他チャールズ・ディケンズの作品もあります。

「シャーロックホームズの冒険」 コナン・ドイル
そして同シリーズも。犯罪捜査だけでなく、題材は多岐にわたるので当時のロンドンの雰囲気がわかります。 わりと空想的な作品もあります。 贋作ホームズはそれこそ星の数ほどもあります。 いわゆる注釈本や関連書籍も資料として役に立ちます。

「タイム・マシン」 H・G・ウェルズ
その他数々の作品も。もっとも魅力的なSFガジェットであるタイムマシンを知らしめた不朽の名作です。とても読みやすく展開も早い。スティーブン・バクスターの続編「タイム・シップ」もあります。

「宇宙戦争」 H・G・ウェルズ
ある日ロンドンを始めとして世界中に火星人の侵略が始まった!宇宙侵略ものとして欠かせない作品です。「シャーロックホームズの宇宙戦争」という贋作ものもあります。

「失われた世界」 コナン・ドイル
秘境探険ものの代表作。 チャレンジャー教授のシリーズは、彗星衝突騒ぎや心霊現象を扱った続編があります。

「海底二万海里」 ジュール・ベルヌ
万能潜水艦ノーチラス号で文明社会に報復するネモ船長。 「グラント船長の息子たち」「神秘の島」とシリーズは続きます。 他にも宇宙船や万能戦艦ものとして「月世界旅行」「世界の支配者」があります。

「ジキル博士とハイド氏」 スティーブンソン

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■資料

ヴィクトリア朝時代を扱った書物はいくらでも見つけられます。 ただ、いくら集めて読んでも頭がパンクするので、それなりに‥‥。
資料として使うなら、 「図説ヴィクトリア朝百貨事典」「ロンドン〜ほんの百年前の物語」「100年前のロンドン」 の三冊があれば十分でしょう。「図説〜百貨事典」だけでもまあ大丈夫です。

「図説ヴィクトリア朝百貨事典」 谷田博幸 河出書房
ダントツでお勧めなのがこれ。ヴィクトリア朝時代のアイテムをイラストや写真をちりばめて詳細に解説しています。 風俗や文化、科学技術程度が文句なしに一目で分かります。 テレビはなくともトレカやローラースケート、キオスクまであったなんて意外ですね。

「ロンドン〜ほんの百年前の物語」 小池滋 中公新書
こちらもお勧めな一冊。 ヴィクトリア朝時代の光と影、 スコットランドヤードの生い立ちや裏通りにくすぶっているもの、 亡命者たちの生活などを読みやすい文章で綴っています。 「大英博物館ではお湯がただで使える」とか平民に馴染み深い債務者監獄の様子など、 知識が一通り身につきます。
作者の「もうひとつのイギリス史」「英国流立身出世と教育」なども見つけられたら買っておいて損はありません。 ただ、表題の本がいちばんよいです。

「ロンドンの恐怖」 仁賀克雄
切り裂きジャックの研究本。当時の警察機構や犯罪捜査方法などが詳細に描かれているのでとても参考になります。それとは別に物語のような史実の面白さにぐいぐいひきこまれます。同じ作者の関連本も。

「恐怖の都ロンドン」 スティーブン・ジョーンズ

「ヴィクトリア朝珍事件簿」 仁賀克雄
当時のイラスト入りニュースを紹介したもの。 ショッキングな事件を好むロンドンっ子の雰囲気がわかります。 ちょっとどぎつい事件もあり。

「100年前のロンドン」 マール社
十九世紀ロンドンの名所の写真を1ページおきに大きく掲載してあるので、 イメージを伝えるのに役に立つことでしょう。

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■映像

当時の人々の服装や、空想科学のメカは映像作品の方が吸収が早いでしょう。

「名探偵ホームズ」 アニメ
パゴット兄弟原案。原作とは一味違った、冒険活劇のアニメです。 ロブスター好きなモリアーティ教授が蒸気マシンを駆って犯罪を繰り広げ、 ホームズとワトソンのコンビが事件を解決します。ほのぼのとした雰囲気。 ヒロインは若きマーサ・ハドソンさんです。

「不思議の海のナディア」 アニメ
「海底二万マイル」を思い切り作り直したアニメ。 序盤と終盤は十九世紀のパリを舞台した大活劇が楽しめるでしょう。 秘密兵器に乗った悪人が飛び回り、発明家の少年が空を飛び、 テクノロジーレベルを無視した発掘戦艦がパリ上空で大戦闘を繰り広げます。 同様のアレンジ作品としてディズニーアニメの「アトランティス」もあります。

「宇宙戦争」 映画
同名小説の映画です。舞台は十九世紀ではなく二十世紀アメリカなので、 人類側の対抗策として原子爆弾も出てきます。 流線形の宇宙船など独特の古めかしさがいい味出しています。

「H.G.ウェルズのSF月世界探険」 映画

「エレファントマン」 映画
発表当時は物議をかもしだした映画。 当時は治療不可能なレクリングハウゼン病の青年が主人公。 彼が行く先々で追われるという悲しいお話です。

「タイムマシン」 映画
サイモン・ウェルズ監督による2002年夏公開の映画です。 当時最新のCGでの時間旅行シーンは必見です。 主人公はニューヨーク在住のアレクサンダー・ハーデゲン博士。 恋人を失った彼は過去を変えるためにタイムマシンを作成するのですが・・・ 80万年後のエロイとモーロックも原作と大分違っていて面白い解釈です。

「ワイルド・ワイルド・ウエスト」 映画
古いTVドラマを基にした1999年公開の映画です。 黒人ガンマンジム・ウェストと白人の発明家アーティマス・ゴードンのコンビが、 アメリカ転覆を企む半機械のマッドサイエンティスト、ラブレス博士を追いつめます。 テンポよい展開、奇抜な発明品や武器。 舞台はアメリカ西部ですが断然おすすめです。

「バック・トゥ・ザ・フューチャー3」 映画
名作の第三作目。それまでの舞台とはうってかわってウエスタンの時代です。 タイムマシンの事故によってこの時代に流されたブラウン博士は、発明の才を活かして、 らしいものをいくつか作っています。 クライマックスの超ド級の乗り物は圧巻です。 スチームパンクとかの前にこのシリーズは断然お勧めです。

 

■マンガ

「エマ」 森薫
ヴィクトリア朝時代の淡い恋の物語。 貴族のぼっちゃんウィリアムと、彼の元家庭教師ケリーの家に勤めるメイドのエマは恋に落ちます。 しかし二人の間は階級という高い壁が立ちはだかります。二つの階級がどう接するのかだけでなく、 二人のデートスポットや、社交パーティのシーンなどさまざまな情景も楽しめます。 短編の「シャーリー」もあります。

the League of Extraordinary Gentlemen Alan Moore
1898年、ヴィクトリア朝ロンドン。謎の組織の長Mなる人物の指令で、 常人の枠をはみ出した紳士たちを集めるミナ・マリー。そのメンバーは、 「ソロモン王」のアラン・クォーターメイン、ネモ船長、ハイド、「透明人間」のグリフィン博士など、 癖のある人物ばかりだった。いまここに超常紳士連盟(LXG)が誕生する。 ケイヴァーライトを使った、大英帝国を転覆させる計画を阻止するのは彼らしかいない!

翻訳版は出版されていないアメコミですが、これぞまさにスチームパンクのお手本とでも言うべきコミックです。 現在Vol.2まであります。 2003年には映画化されました。このノベライズは邦訳されています。

「快傑!蒸気探偵団」 麻宮騎亜
スチーム・シティにはびこる怪人たちと戦う、探偵鳴滝君と助手の鈴々。 秘密兵器に人造人間、謎の怪人たちと、スチームパンクそのものですが、 どちらかというとアメコミヒーローっぽいストーリー展開です。