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スチームパンク参考文献 あらすじ紹介

セッションの参考になるかもしれないので簡潔なストーリー紹介をします。 参考文献からもれた小説もあります。 セッションに使いやすいように変なところに詳細な説明である場合もあります。 これから読もうという方は見ないほうがよいかもしれません。

 

■小説

「ホムンクルス」 ジェイムズ・P・ブレイロック

「悪魔の機械」 K・W・ジーター

「アヌビスの門」 ティム・パワーズ
――マイナーな詩人アッシュブレスの研究家ブレンダン・ドイルは、かつての大企業DIRE社の長、ダロウに呼び出される。 なんと十九世紀へとつながる<孔>を発見したダロウは、金持ちを集めて詩人コールリッジの生の講演を見せるという。 依頼はドイルにその前座として一席ぶって欲しいというものだった。老人の言葉に真実味を感じたドイルは、彼らとともに、 十九世紀英国のロンドンへと旅立つ。コールリッジの演説は成功裏に終了したが、ドイルは何故かジプシーに襲われ、 ひとりこの時代に残されてしまう…。

「ディファレンス・エンジン」 ウィリアム・ギブスン&ブルース・スターリング

「気球に乗って五週間」 ジュール・ベルヌ
1862年ロンドン。 王立地理学協会は暗黒大陸アフリカの空白地帯を明らかにするために、 探検家サミュエル・ファーガスン博士を送り込むことを決議する。 博士の計画は、特別製の気球ヴィクトリア号でアフリカ横断をするという大胆なものだった。 博士はカービン銃の名手ディック・ケネディ、召し使いジョーを連れて旅立つ。

「月世界旅行」 ジュール・ベルヌ
南北戦争に設立された「大砲クラブ」は発明によって戦争技術に大きく貢献した発明家の集まりだが、 戦争終了後、その意義を見失っていた。 彼らに新しい目的を与えるため、会長の万能技師インピー・バービケインは、 月に弾丸を撃ち込むという計画を発表する。 この計画は世界中を熱狂の渦に巻き込む。 バービケインの計画通りに着々と大砲建造が進む中、一通の手紙が届く。
「我、弾丸に乗りて月に行く ミッシェル・アルダン」
この手紙を転機に、月に弾丸を撃ち込む実験的試みは、弾丸列車による有人宇宙飛行へと性格を転じた。 もはや放っておけないのがバービケインの宿敵キャプテン・ニコルだった・・・。

「月世界探険」「地球地軸計画」と続巻が続きます。 膨大な注釈や図版を追加した「詳細版」がお勧めです。

「ソロモン王の洞窟」 H.R.ハガード 創元文庫
一線を退きつつある探検家アラン・クォーターメインは、 弟を探したいというヘンリー・カーティス卿と英国海軍ジョン・グッド大佐に、無謀とも言えるソロモン王の財宝探検への同行を依頼される。 一度は断るアランだが、報酬と彼らが気に入ったのを理由に決死行に参加することにした。 ホセ・ダ・シルヴェストラの地図を元に、ようやくたどり着いた地で、生き残ったのは三人と横柄な従者ウンボパだけだった。 そこで一行はククアナ族に出会ってしまう…。

「幽霊狩人カーナッキの事件簿」 W.H.ホジスン 創元推理文庫
「幽霊狩人カーナッキ」 W.H.ホジスン 学研/角川文庫、国書刊行
カーナッキはチェイン・ウォーク472番地の自宅に、友人アークライト、テイラー、ジェソップ、そして私ドジスンを夕食に招く。 全員が一服すると、前触れなしに語り出すのだ。彼が体験し解決した数々の怪奇現象を・・・

原題はCARNACKI The Ghost-Finder。カーナッキが相談を持ちかけられる怪奇現象は、人為的なものもあれば実際の心霊現象である場合もあります。 彼はサーマーの書(サアアマア典儀)に記された印を用いたり、シグザンド写本に未知の現象の手がかりを求めたりします。 結界に青白い真空管や電池などの機械を用いた防御用の<電気五芒星>でよく夜明かしをします。 怪異を焦点化させる七色の真空管の機械<スペクトル防御>なるものもあるようです。 カーナッキは超然とした性格ではなく、怪奇現象は一般の人同様怖がります。

「ホワイトチャペルの恐怖」 エドワード・B・ハナ 扶桑社ミステリー
1888年〜1895年。 シャーロック・ホームズが切り裂きジャックの事件に挑むという、 いままでにもあった題材ですが、なかなか読ませる文体です。 また、史実と虚実の両立した背景は、もうひとつのヴィクトリア朝時代を創ろうとしているものにとっては参考になります。 ポイントを押さえた注釈がこの時代の知識を知るのに役立つでしょう。

「パンの大神」 アーサー・マッケン
レイモンド博士はクラーク立会いのもと、脳髄に傷をつけていままで見えなかったものが見えるようになるという 手術を行う。被験者は博士がひきとった娘メリー。手術後メリーは「パンの大神」を目撃して、発狂してしまう。
そして数年後、ロンドンでよく知られた名士たちが自殺をするという事件が多発する‥‥。

「怪奇小説傑作集1」に収録。
お行儀のよさで知られる十九世紀末に出版されたとは思えないほどのぎりぎりの描写です。 マッケンは実在の秘密結社「黄金の夜明け」のメンバーでもありました。 スチームパンクでホラーの要素を混ぜようというときに大いに参考になるでしょう。 同じくマッケンの「怪奇クラブ」(原題は三人の詐欺師)も参考に。

「地底の世界ペルシダー」他 E.R.バローズ
鉱山の事業を受け継いだデヴィッド・イネスは、老技術者アブナー・ペリーの考案した 新型削岩機アイアンモールの試運転を行うが、試掘機は暴走し地下深く掘り進んでしまう。 覚悟を決めた二人だったが、機械は空間を掘り当てて停止した。それは奇怪な生物のうごめく熱帯雨林の世界だった。 地球内部には空洞の世界が存在したのだ‥‥。

主人公が地底世界にたどり着いたのは1903年、二十世紀初頭ですが(「恐怖の世界ペルシダー」参照)、 イネスたちがペルシダーやバルスームを発見する以前から、 地底世界ペルシダーでは文明が形成されていたので、冒険の舞台にすることができます。 この世界では時間の流れが緩慢でしかも場所によって異なります。

「霧の国」 コナン・ドイル
「デイリー・ギャゼット」誌の新聞記者マローンは、同じく記者のチャレンジャー教授の愛娘イーニッドと、 連載記事のためにロンドンの各宗教団体めぐりをしていた。そのうちの毛色の変わった心霊教会の集まりに参加する。 そこで死んだはずのサマリー教授の口寄せを体験したのをきっかけに、この方面にだんだんと傾倒していくようになる。 ロクストン卿も幽霊屋敷での一夜をきっかけに、心霊現象に対する見方を改めるようになる。
しかしさて、残るチャレンジャー教授は‥‥。

チャレンジャー教授シリーズの最終エピソード。
舞台はヴィクトリア朝以降ですが、スピリチュアリズムのネタが参考になります。 当時の霊媒師の側の言い分、懐疑者、牽かれつつある者のそれぞれの立場がわかります。 ドイルは信奉者だったので、もちろん霊媒擁護側が多いのですが。 最近マンガで有名になった「サイコメトリー」って用語はこの頃すでにあったようです。

「思考機械の事件簿」 J.フットレル 創元推理文庫

「文豪ディケンズと倒錯の館」 W.J.パーマー 新潮文庫

「リスト・オブ・セブン」 マーク・フロスト 扶桑社ミステリー
1884年クリスマスのロンドン。医者業の傍ら、雑誌になかずとばずの小説を発表していたアーサー・コナン・ドイルは、 そのいんちき霊媒師狩の腕を見込まれて、とある交霊会に出席する。 その会は、襲撃者によって凄惨な結末を迎え、同時にドイルは自分が狙われていることを知る。 襲撃からドイルを救った男は、長身痩躯で鋭い観察力を持つ謎の男ジャック・スパークス。 女王陛下の秘密工作員と名乗る彼は、ドイルの没原稿「暗黒の同胞団」が、 偶然黒魔術を奉じる団体の活動と言い当ててしまい、奴らの関心をひきつけてしまったのだと諭すのだった。

「ドイルと、黒い塔の六人」 マーク・フロスト 扶桑社ミステリー
「リスト・オブ・セブン」の続編。
1894年9月。あの厄介な名探偵を滝壷に落としてから一年。連載を打ちきって時間を作ったアーサー・コナン・ドイルは、 講演旅行のため新大陸アメリカのニューヨークを目指していた。 そのエルベ号上で殺人事件に出くわしたのをきっかけに、 ドイルは、世界中のカルト教団から聖典が盗み出されるという国際的陰謀に携わることになる。 時を同じくして、世界各地から、夢にてそびえる黒い塔を見る者たちが、それぞれの旅を経て、一箇所に終結しようとしていた。

「妖怪博士ジョン・サイレンス」 A.ブラックウッド 角川ホラー文庫

「<ドラキュラ>殺人事件」 仁賀克雄 講談社

「エイダ」 山田正紀 ハヤカワSF文庫

「月世界最初の人間」(月世界旅行) H.G.ウェルズ ハヤカワSFシリーズ、角川文庫
債権者から逃げ出したベッドフォードは、戯曲でも書こうかとケント州リンプネに家を借りる。 ある日そこで、奇妙な小男ケイヴァー博士と出会う。 博士が引力を遮断する物質を研究していることを知ったベッドフォードは、一枚噛ませてもらおうと、 博士をたきつけるのだった。
そして1899年の十月にその物質、名づけてケイヴァーライトは完成する。 ところが引力を遮断することによって、 空気への圧力が失われ、押さえつけられていた大気がなだれ込んでくる。 それはすさまじい災害を引き起こす。 博士は球体にシャッターをとりつけてケイヴァーライトを使うことで、引力を制御できるとを思いつき、 球体宇宙船を作りあげた。

その空を飛ぶ乗り物で月に行った二人は、月に大気があること。 そこは無人ではなく植物が急速に繁茂する世界であることを知る。 しかしそれだけではなく、地下に生息する月人もまた姿をあらわした。 昆虫を思わせる彼らに連行された二人だが、ベッドフォードがかんしゃくを起こしたのを機に、 地表へ脱出する。見失った宇宙船を見つけるため、二手に分かれたものの、 ケイヴァー博士は再び月人に捕らえられてしまう。博士の残したメモに従い、 ベッドフォードは見つけた宇宙船で一人帰還する。
この旅をウエルズ名義で出版したベッドフォードだが、しばらくして、 月からの無線が入ったというニュースを耳にするのだった‥‥。

「海底二万海里」 ジュール・ベルヌ 角川文庫他

 
「グラント船長の子供たち」 ジュール・ベルヌ 旺文社文庫他
1864年。スコットランド出の貴族グレナヴァン卿は新妻ヘレナとヨット<ダンカン>号で、航海旅行への計画をたてていた。 そんなとき、彼の部下や友人が余興で捕まえた鮫の腹から出てきたのは、手紙入りの壜だった。 その暗号文を解読すると、それはかの冒険家として名高いグラント船長の消息を記した手紙であることが判明する。 早速、グレナヴァン卿は海軍に救出をかけあうが、スコットランド独立の夢をかかげるグラント船長を快く思わない軍は承諾しない。 知らせを聞いてかけつけた船長の子供たちメアリとロバートも落胆する。
しかし、勇気あるヘレナは言う。「結婚生活の前に善行が行えるのは幸せなことですわ。私たちで不幸な方を救いましょう!」

かくして未開の地で捕らわれているであろうグラント船長を救うため、<ダンカン>号は旅立つことになった。


 
「ミステリアス・アイランド」(神秘の島) ジュール・ベルヌ 講談社文庫他
1866年。南北戦争中のアメリカ。南軍の支配下におかれた街から脱出するために、 嵐の中気球にのりこんだ技師サイロス・スミス、忠実な召使ネブ、記者ギデオン・スピリット、水夫ペンクロフ、博物学の徒ハーバート少年だったが、 強風によってはるか彼方、謎の島に不時着する。 火を起こすだけでも一苦労だったが、技師サイロスがいればなんとかなる。 彼の知識とリーダーたる資質によって、居住区が出来、煉瓦が焼かれ、火薬が精製される。 「自らを遭難者ではなく植民者だと考えましょう」という、ペンクロフの言葉にしたがって、 彼らはリンカーン島と名付けたこの島を開拓し始めた。 やがては、船までも建造できるようになるのだが、 この島には秘められた謎があることが徐々に判明してくる。

「グラント船長の子供たち」「海底二万里」はかくしてここに完結する。

 
「悪魔の発明」 ジュール・ベルヌ 創元文庫
フランスの発明家トマ・ロック博士は、既存の兵器をまったく凌駕するロック式電光弾(自動推進式爆弾、一万メール四方を消滅させる)を発明した。 彼は各国政府に法外な値段を要求するものの、相手にされず、次第にその精神を病んでいった。 合衆国は博士の発明に興味があったので、 まず狂気を癒そうと、ノースキャロライナ州のヘルスフル・ハウスに入院させる。 189X年。ヘルスフルハウスに、国籍不明の著名なヨットマン、ダルチガス伯爵が訪れ、 次の日、博士は看護人ゲイドンとともに行方不明になる。

無音の快速船エッバ号で拉致された二人は、バミューダ海域の孤島バック・カップにある謎の基地で、 比較的自由な生活を送るが、決して解放はされなかった。看護人、実はフランスの技術者シモン・アールは、 彼らが電光弾を手に入れるために、博士の狂気を回復させつつあることを知る‥‥。

 
「パヴァーヌ」 キース・ロバーツ 河出書房他
十六世紀、エリザベス一世が暗殺されたことによって、無敵艦隊は撃沈されず、 歴史は分岐した。このもうひとつの歴史を描いた五篇の物語。
時代の流れはカトリック教会を支配者の座につけた。 彼らによって内燃機関の発展は厳しく制限され、電気も禁じられる。 時は進み1968年、技術進歩のない世界はいまだ蒸気が席巻していた。 路上蒸気機関車が主な輸送手段となり、ブリテン中を行きかう。 一方で、無線通信を封じられた世界ゆえに、通信塔を介したネットワークが情報の要となり、 それを中継する通信手は、教会さえも一目おく特殊な職種となっていた。

そんな世界の各章の主人公から見た立場が語られる。 機関車乗りのジェシー、信号手のレイフ、修道士のジョン、勝気なマーガレット、籠から出れないベッキー。 彼らの行動と結果はからみあうパヴァーヌを織りなし、五章の女領主エリナーによってひとつの大いなる流れへの礎となるのだった。

 
「ドリアン・グレイの肖像」 オスカー・ワイルド 新潮文庫
十九世紀(1884年春?)。芸術家バジル・ホールウォードを訪れたヘンリー・ウォットン卿は、絵のモデルという美貌の青年ドリアン・グレイに出会う。 純真なドリアンだったが、既成概念の破戒者であるヘンリーによって、 その美貌は一時だけのものであることに気づかされる。完成した自分の肖像画を前に、 ドリアンは自分の替わりにこの絵が老いればよいのにと願う。 バジルがすべてを込めた絵への願いは、現実となりドリアンは老いることがなくなった。 いつまでも十八のままで、老いも、美貌を損なうような罪もすべて肖像画が背負う。 やがてドリアンは社交界で広く知られるようになる一方、同時に恐ろしい醜聞をもささやかれるようになった…。

 
「ドラキュラ紀元」 キム・ニューマン 東京創元

十九世紀を舞台にしたものはこの作品だけですが、シリーズは「ドラキュラ戦記」「ドラキュラ崩御」と続きます。

 
「魔物を狩る少年」 東京創元
現代の若い作家の手によるゴーストハントもの。

 
「オペラ座の怪人」 ガストン・ルルー 東京創元
1885年以前の話。
パリはオペラ座はその栄光の陰につねに声を潜めて語られる幽霊の噂があった。
ある夜、端役の少女クリスチーヌ・ダーエは天使が舞い降りたかの歌声により、鮮烈のデビューを果たす。 幼馴染のラウルは歌姫に再会するが、その影には彼女に影響を及ぼす正体不明の人物がいることを知る。 死と脅迫の影がちらつくオペラ座において、 ボックス席を常に要求し、二十万フランを給与と主張するOのFとは誰なのか‥。

序盤の展開はややもたつきがちで、さすがに積み重ねてきたオペラ版の方が洗練されているかと思うけど、 後半、オペラにはない登場人物や設定で一気に面白くなります。
読み終えると、カップルの消息が証明されているわけではないことに気がつくでしょう。 すべては彼の狂言だったというダークな考え方もできるし、 最後まで明かされないオペラ座の謎の守護者など、使えるネタはたくさんあります。

和製ライトノベル
「トレインレイダー」(西奥隆起) 「ロンドンストーリー」(秋口ぎぐる) 「バトル・ホームズ」 等、このジャンルまで手を出すと読みきれないので名前だけにとどめておきます。

 

■資料

参考文献に掲載のものよりもさらに突っ込んで知りたい方にお勧め。

「発明超人ニコラ・テスラ」 新戸雅章 筑摩書房
1856年〜1943年。 これは小説ではなく、発明家ニコラ・テスラの生涯を綴ったドキュメンタリーです。 十九世紀、発明家たちがひしめいた時代の、あまりにも個性的な電気の男の物語。 かなり詳しい説明があるので、科学者・技術者関係の資料としても役立つでしょう。

「逆立ちしたフランケンシュタイン」 新戸雅章 筑摩書房
著名な科学者や発明家と言えどもいつも正しいわけではなく、怪しげな理論や現代から見ると到底信じられない嘘にのめりこむこともありました。 そんなサイエンティストとマッドサイエンティストの狭間を紹介したものです。 十九世紀もカバーしています。

「バベッジのコンピュータ」 新戸雅章 筑摩書房
1791年〜1871年。 現代に復元された手回し計算機「階差エンジン」のエピソードを皮切りに、 コンピュータの祖と言われるチャールズ・バベッジの生涯を、彼のライフワークである階差エンジン、 解析エンジンとのかかわりを中心に説明した物語です。 SF小説の「ディファレンスエンジン」にもきっちり言及されているだけでなく、 「世界最初のプログラマー」等のとかく噂の先行するエイダ嬢についても詳細な解説があります。 十九世紀を舞台にしたコンピュータものを考えたときにぜひチェックしておきたい一冊。

「世紀末のイギリス」 出口保夫編 研究社出版
多分に教科書の資料っぽい雰囲気のあるA4版の本です。 食生活や芸術文学など総花的に説明されています。 ケンジントン駅内部からテニス風景まで図版や写真が多く、それだけでも便利です。

「漱石の歩いたロンドン」 出口保夫 中央公論社
ヴィクトリア朝時代末期に留学した漱石の足取りを丹念にたどったのが章と、 当時の写真や図版をたっぷり掲載したが資料的価値の非常に高い章になっています。 文庫です。

「イギリス怪奇探訪」 出口保夫 PHP文庫

「イギリス不思議な幽霊屋敷」 桐生操 PHP文庫
イギリスの不思議話を集めた本ですが、 「切り裂きジャックの十七人目の被害者を当てた霊媒」など噂がそのまま記載されているので、 史実にこだわる向きは他資料もあたったほうが良いかもしれません。 同文庫に「イギリス恐くて不思議なお話」もあります。

「ロンドンパブ物語」 石原隆哉/市川仁 丸善ライブラリー

 
「図説 創造の魔術師たち 19世紀発明家列伝」 レオナルド・デ・フェリス 工学図書
正統派のものも含めて、十九世紀の発明家たちの、奇想天外な発明や空想の品の数々を豊富なイラストで紹介した本です。 携帯用シャワーから空中戦艦まで。大人の科学マガジンVol.1にちょっとだけ掲載されています。

 

■映画

 
「リーグ・オブ・レジェンド〜時空を超えた戦い」 映画
アラン・ムーアのコミック「The League of Extraordinary Gentlemen」の映画化。 2003年の秋公開されました。
――1899年。火種くすぶるヨーロッパ各地で、仮想敵国の仕業に見せかけて襲撃を繰り返す謎の集団があった。 首謀者は「オペラ座の怪人」ファントム。この世界大戦級の危機を回避するために、 英国諜報部のMは、伝説の英雄を召集した「超人紳士同盟」の結成を決意する。

原作のメンバーに加えて、不死身の男ドリアン・グレイや秘密諜報員トム・ソーヤーが追加されています。

 
「フロム・ヘル」 映画
アラン・ムーアのコミック「From Hell」の映画化。 ジャック視点の原作とは違って、アバーライン警部が主人公です。 ストーリーは元ネタの本をもとに作り直されていますが、カットやキャラクター、 台詞などは原作から貪欲に採り入れられているようです。

 
「名探偵コナン ベイカー街の亡霊」 映画
――時は現代。IT業界の大物トマス・シンドラーによる、仮想世界を体感できるゲームマシン「コクーン」の発表会が日本で行われた。 一足先に体験できるのは、政治家や医者、警視総監など、毛並みのよい子供たちだけ。 ところが、行方不明だった人工知能ノアズアークが突如ゲームマシンを支配。 「日本のリセット」をもくろむノアズアークによって、二世たちは人質に取られてしまった。 一人でもゲームクリアできれば子供たちは解放されるが、全員脱落すれば脳を破壊される。
殺人事件の手がかりを求めてゲームに参加していたコナンたちは、50人の命を背負って、 百年前の霧の都「オールドタイムロンドン」に足を踏み入れた。 ホームズの助けを借りて、ジャック・ザ・リッパーを捕まえるのがゲームクリアの条件だ。 しかし、シナリオはノアズアークによって書き換えられていた…。

「タイム・アフター・タイム」 映画
十九世紀末ロンドン。友人を招いた席で作家H.G.ウェルズは、時を越える機械を発明したことを告げる。 ところがその友人のひとり、外科医スティーブンは実は切り裂きジャックで、警官が踏み込んだとき、 彼はタイムマシンで1975年に逃走してしまう。 責任を感じたウェルズはジャックを追いかける(タイムマシンは鍵がないと出発点に戻ってくる仕組み)。

彼が二十世紀で到着したのは、ウェルズ展が開かれていたサンフランシスコというのが笑えます。 このタイムマシンはその時代にマシンが置かれている場所に到着する方式のようです。

「タイムマシン」 サイモン・ウェルズ監督
十九世紀末アメリカ。 進歩的な考えのアレクサンダー・ハーデゲン博士は発明に没頭する厭世的科学者だが、 恋人エマだけは別だった。しかし、プロポーズをしたその夜、彼女は強盗に刺されて死んでしまう。 ハーデゲンは彼女を助けるために、時間を超える機械タイムマシンを造り上げるのだった。 しかし、時間を溯って彼女を助けても、結局彼女は別の形で死を迎えてしまう。
――彼女を助けるには時の秘密を解明しなくてはならない。
そう考えたハーデゲンは人類が、時を操れるようになったであろう未来を目指す。しかし・・・

原作をベースに大胆なストーリーを展開させています。 エロイとモーロックもずいぶん違う形で、モーロックの長ウーバー・モーロックなるものも出てきます。 後半ちょっとアメリカ映画らしい展開になってしまいますが、面白いネタはいくつもでてきます。

 
「スチームボーイ」 大友克洋監督
2004年7月公開。
蒸気動力に満ちたヴィクトリア朝時代のイギリス。
第一回の万国博覧会を目前にして、 発明一家の少年レイは、祖父のロイドから送られてきた謎の球体を手にする。 それは、とてつもない力を秘めたスチームボールだった。 彼はスチームボールを狙うオハラ財団から執拗に狙われる。

公式ホームページ期間限定 要Flash


 

■コミック

「スティール・ボール・ラン」 荒木飛呂彦
1890年9月23日アメリカ、サンディエゴビーチ。謎のプロモーター、スティーブン・スティール氏によって、 北米大陸を馬で横断する、人類史上初の過酷なレースが開催されると言う。 一頭の馬(またはラクダや自動車)で、ニューヨークまでたどり着いた者が、賞金五千万ドルを手にする。
開拓精神溢れるこのレースに、ひとくせもふたくせもある連中が集まった。 カウボーイ、ラクダ使い、そして天才ジョッキー、ディエゴ・ブランドーなど。

そんなレースの喧騒を遠くから眺めているだけだった、車椅子の青年ジョニー・ジョースターは、 回転する鋼鉄の玉を使う、謎の男ジャイロ・ツェペリに出会う。 鋼鉄球に自分の脚を立たちあがらせる秘密があることを知ったジョースターは、 ジャイロを追ってレースに参加することを決意する。
そしてレースは始まった!

‥‥「ジョジョの奇妙な冒険」の完全なアナザーストーリーです。
ウェスタン映画「弾丸を噛め」をふくらませたものかな。