隠れ宝塚のひとりごと

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星組 TAKARAZUKA 1000days劇場公演
「皇帝」/「ヘミングウェイ・レヴュー」

−「ヘミングウェイ・レヴュー」編−

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観劇日   10月31日  11月2日
観劇時間  午前11時の部  午後6時の部
観劇場所  16列右手壁際(B席)  26列中央(C席)


「ヘミングウェイ・レヴュー」

草野 旦 脚本・演出


−芝居とは正反対−


 最悪の芝居とは逆で、このショーは今年のショーでは最高の出来である。「皇帝」の後であるからどんな作品でも名作になるが(笑)、それを抜きにしても最高にいい作品だった。 さすが草野氏。去年の「サザンクロス・レビュー」(花組)以来、草野作品は高く評価しているが、今回も裏切られることはなかった。
 ヘミングウェイの世界の描写が美しい。テーマ曲のテンポが絶妙で非常に乗りやすい。あらゆる面から楽しめる作品だった。
 こちらの方はぜひとももう一度見てみたいものだ。前座(笑)を見なくてもいいのなら。


−非常に美しい描写−


 気に入ったのがヘミングウェイ自殺後の、「天国の門」からフィナーレへの流れである。
 全編に渡って美しく描かれた作品だったが、この部分が特にきれいで好きだ。自殺直後の「天国の門A」、海と戯れるヘミングウェイの描写が美しい。「天国の門B」のヘミングウェイの歌がまたすばらしい。途中に挿入された台詞は、露骨な「泣かせ」ではあるけれども、思わず涙腺がゆるんでしまう。マリコファンならずとも、心に響くものがある。ここから先も美しい場面が続くから、それを見逃すまいと、涙をこらえるのに必死になる。
 そしてフィナーレ。このショーの美しさが最高潮に達する。「フィナーレA」の「威風堂々」に合わせて大階段をゆっくりと降りてくるエモシオンの男女、「フィナーレB」の麻路さき・星奈優里の最後のデュエットダンスと稔幸の歌はもう言葉にならない。
 何から何まで美しい。そして、これを最後に寿退団してしまう麻路さきの最後をより輝かしく見せていた。徹底的に情けなくしてしまった某大先生(笑)の芝居とは大違いである。
 これほど美しいショーは始めてである。こんな美しさを、これからも見せてほしい。


−星奈優里の存在感−


 ずっと千ほさちのファンだと宣言してきた僕だが、同時に音楽学校76期を結構応援していた。元花組の純名里沙、月組の風花舞を始め4人ものトップ娘役を出しているだけに、娘役ファンとしては、76期というのは大事な世代である。星組のトップ娘役星奈も、この76期のトップ娘役であるだけに、注目の存在の一人である。
 お披露目となった前回の「ダル・レークの恋」では、インパクトの弱さが気になっていたが、今回はかなり存在感が身に付いてきていた。
 これならば、前回危惧したような、星組の男役陣に埋もれてしまうようなことはなかろう。トップスターは麻路から稔に変わるけれども、星奈は安定した実力を発揮してくれると思う。雪組の月影瞳共々、大いに楽しませてほしいものだ。


−あえて一言−


 あえて一言苦言を言わせていただければ、草野氏のショーには一つだけ不満がある。娘役のエトワールがいないこと。
 今回もエトワールはなし。ショーの展開が「サザンクロス・レビュー」に似ていたから、エトワールなしは予想できたけれども、やはりエトワールがいないのは淋しいと思わされた。
 娘役ファンにとって、フィナーレのエトワールは最大の楽しみである。パレードの始まりを告げる、あのソプラノを聴く瞬間が、至福の時なのだ。そして、娘役生徒にとって、エトワールはトップ娘役と並ぶ最高の栄誉である。みんなエトワールを目指して頑張っているのだ。娘役ファンの楽しみを奪い、娘役生徒の努力をないがしろにしてしまうエトワールなしは極力控えてほしいものである。


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