--会談記録(中島が記憶と記録に基づいて作成)--  (環境省の見解)

2007年6月6日15:00〜16:00 霞ヶ関合同庁舎5号館26階 野生生物課

環境省の出席者3名
--野生生物課長補佐 山崎氏
--野生生物課計画係長 宮澤氏
--野生生物課鳥獣保護業務室 徳田氏
 
こちらの出席者1名(名古屋から上京)
--中島康喜

 

---最初に、私のような部外者が何度も霞ヶ関に足を運ぶのは異常だ。持参資料にあるように、環境省も山階鳥研も再発防止に取り組むと回答した。だから環境省と山階鳥研の問題のはずである。だが、状況が改善しないのでこうやって部外者が来なくてはならない。部外者に不手際を指摘されるのはいかがなものか。では、最初に確認したい。山階鳥研に委託している鳥類標識調査は治外法権なのか。

 

「治外法権とはどういう意味か。」

 

---例えば、調査時の死亡鳥データは集計されていない。調査時の処置は全て環境大臣に報告する義務がある。鳥獣法違反ではないのか。

 

「死亡データは集めてはいる。それは環境省にある。集計はしていない。

 

---つまりデータは積んであるだけか。集計しないデータは無いのと同じだ。集計して年度報告書に記載すればよい。データが出てこないので調査に対する不信感が増大している。

 

「死亡データを全部集計するのは大変だ。

 

---そこが理解できない。パソコン程度のソフトウエアで十分可能だと思うが。調査報告書にしても、なぜ2年も3年も遅れるのか。

 

「こちら(環境省)が不備などを指摘してそれを修正する期間も必要だ。」

 

---2ヶ月たっても議事録が出てこないとか、一般常識の時間尺度から1桁ずれているのではないか。

 

「・・・・」

 

---離島での調査では数十羽単位の死亡事故もたびたび起こるそうである。ところが、それが表に出ることすらない。これでは他のバンダーに注意喚起もできない。調査にリスクはつきものだが、リスクを回避する努力はすべきではないのか。

 

「その通りである。」

 

---説明責任と同時に結果責任もあるのではないか。過失による結果責任は、鳥類標識調査には存在しないのか。バンダーにそういう意識を喚起するためにも、死亡データは記載すべきだ。もう一度聞く。年度報告書に、死亡データを記載することを検討するか。

 

「全部はたいへんかも知れない。」

 

---ならば、まずは一部でも集計して掲載すればどうか。調査の信頼回復に意義あることだと思う。

 

「山階鳥研に伝えてみる。」

 

---また、山階鳥研からバンダーに注意事項を通達した内容を公開したらどうか。2005年には公開を拒否された。これでは通達がなされたかどうかすら確認できない。調査を環境教育に取り入れるにしても問題があった。その後、注意事項が伝達されたのであれば、それも公開してはどうか。例えば山階鳥研のwebサイトで。

 

「webサイトはわからないが、公開するよう伝えてみたい。」

 

---2006年2月に、山階鳥研が再発防止に取り組むと回答した後も、違法行為・逸脱行為と見られるバンダーの活動が報告されているが。

 

「それが違法行為・逸脱行為かはわからない。」

 

---だからこそ、シロかクロかを判断するためにも監督機関に問い合わせるべきだと考える。どこに問い合わせればよいか。鳥獣保護業務室でよいのか?

 

「その調査が環境省管轄かどうかわからないので、調査している人にどこの許可かを尋ねて、許可を出した先に問い合わせて欲しい。」

 

---そんなことはできない。危険である。密猟かもしれないし(赤いフラッグを提示しないバンダーもいた)、山階鳥研のバンディングであっても、脅迫や嫌がらせを受けるかも知れない。

 

「脅迫とは何か?」

 

---例えば、京都の一連の問題行為を鳥獣保護業務室に告発した人には、すぐに匿名の脅迫メールが送られてきた。私の管理する掲示板にも「火をつける」「殺意」などと書き込まれたことがある。今回だって、ここに来る日時は秘匿してある。

 

そういうことがあったとは知らなかった。なぜだかわからない。」

 

---もう一度確認したい。どこに問い合わせればよいのか。

 

「環境省の各地方環境事務所に問い合わせて欲しい。公式サイトに一覧がある。」http://www.env.go.jp/region/

 

---では、環境地方事務所が問い合わせを受けた時点で、どのように対応するのか。状況を調べて経緯や処分を公開するのか?

 

「問い合わせがあった時点で考える。」

 

---つまり、事前には対応のフロー(流れ)を構築しないということか。

 

「そうだ。仮定の話ばかりでは考えようが無い。

 

---環境省と山階鳥類研究所が、バンダーによる「違法行為があった」「問題行為があった」と認めた事例がすでにある。まったくの仮定の話ではないはずだ。事後対応では後手にまわってしまい、現在の好ましからざる状況があるのではないか。そのような環境省の対応が、調査に対する不信感を増大させている。これはネット投票の経過である。環境省に対する厳しい意見も多くある。

 

「・・・・」

 

---バンディングを改善して欲しいという声も直接たくさん受け取っている。活動資金のカンパを呼びかけたら驚くような額をお寄せいただいた。今日の交通費もカンパを使わせていただいている。つまり私の発言は、多くの国民の声でもある。その点を認識して欲しい。

 

「それほどとは知らなかった。驚いている。」

 

---では、山階鳥研の対応について。資料に示すように、山階鳥研は「問題行為のあった場合は、調査の停止や資格の剥奪など、厳しく対応する」と既に回答している。しかし、このことがバンダーに伝えられたかすらわからない。情報公開の観点からこのような対応は好ましくないと思われる。どうか。

 

山階鳥研には山階鳥研の考え方があるようだ。

 

---では、山階鳥研の対応について、環境省としてどうか。バンダーに対して出された「連絡」なり「通達」なりを公開すれば、山階鳥研は再発防止に努力していることをアピールできるのに、それをしようとしない。

 

「機会をみて山階鳥研に伝えたい。」

 

---最後に。バンディングを取り巻く世界には、一般常識の通らないことが多くあるようだ。調査の責任者が、「問題あるのはごく一部のバンダーであり、批判を受けて多くのバンダーが迷惑している」などと発言している。一部でも大問題のはず。ところが監督責任者はそういう認識がない。いかがか。

 

「それは標識研究室長か。」

 

---そうだ。また、バンダーやバンディング関係者から「おまえたちにはバンディング批判する資格などない」とたびたび言われる。納税者として、税金を使った調査に意見を言うのは当然の権利だと思う。しかも違法行為の疑いもあるのだ。どうか。

 

「その通りである。」

 

---しっかりやって欲しい。今後に期待している。

 

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会談終了後、宮澤氏とともに25階秘書課に行き、情報公開請求書類をチェックしてもらい、受理を確認してコピーをもらってきました。30日以内に回答をもらえます。環境省から山階鳥研へどのような委託がされているかがはっきりするはずです。

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【まとめ】この会談では、次の2点がはっきりしました。

1つは、死亡データが環境省に存在することが確かめられたこと。データが存在するのですから、物理的には公開可能であるわけです。(脚注1)

もう1つは、バンダーの行為を見て疑問を感じたときには、「環境省の機関に問い合わせて欲しい」と明言されたことです。

 


脚注1)ただし、矛盾することがあるので再度環境省に確認をお願いし、現在その回答待ちです。回答によっては、私が再び上京して実物を確認するか情報公開請求すること等が必要になるかも知れません。