私達は、調査の名の下に虐待されている一部の野鳥たちを少しでも救いたいと考え、野鳥たちがおかれている悲惨な現状を、より多くの方々に知ってもらうべく行動を起こしました。

私たちの周りには、たくさんの野鳥が暮らしています。スズメ、ヒヨドリ、ツバメ、少しさがせば、シジュウカラ、メジロ、モズなどを見つけることができます。池や河原ではカワセミの姿を見つけることができるでしょう。春になるとオオルリやキビタキ、コマドリが南の国から渡ってきます。神社の大木ではフクロウの兄弟がすくすく育っています。冬になればツグミやルリビタキ、ジョウビタキが姿を見せてくれます。野鳥たちの姿は美しくて愛らしく、優しいその歌声が私達を癒してくれます。

ルリビタキ  

 

カワセミ

 

  コマドリ

 

オオルリ

 

キビタキ

 

ジョウビタキ

 

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野鳥は保護されるべきものだとして、捕まえてはいけないことが鳥獣保護法で定められています。しかし、そんな野鳥たちを捕まえる資格を持った人たちが存在します。鳥類標識調査員(バンダー)と呼ばれる人たちです。バンダーは、厳しい審査に合格し、鳥についての充分な知識と鳥を安全に捕獲する技術を持つと認定された人達です。環境省が山階鳥類研究所に委託して、山階鳥類研究所の監督下に、このバンダーによって鳥類標識調査が行われています。

私達は、「鳥類保護のため」と謳われて長年続けられている標識調査に対して、いくつかの疑問を抱きました。この調査が、保護どころか、かえって野鳥たちを危険にさらし、さらに減少や絶滅の一因となっているのではないかという疑問を抱いたのです。

 

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バンダーは飛んでいる野鳥を、かすみ網を使って捕まえます。かすみ網は、使用するどころか所持することすら違法です。例外的に、このかすみ網の所持と使用を許可されたのがバンダーなのです。下の写真は、群れごとかすみ網にかかったツバメの様子です。

 

かすみ網にかかった野鳥には強い負担がかかります。突然自由を奪われるのですから、ショックとストレスを受けるのです。実際、ショック死するもの、網からはずす際にケガをするものも少なくない場合もあるようです。このように、かすみ網は野鳥にとってたいへん危険なものです。ですから、厳格な調査マニュアルによって、その使用方法が事細かに規定されているのです。

捕まえられた野鳥は、このように固体識別用の金属製リングを脚につけられ、放されます。いわゆる「足環」を着けられるわけです。

 2005年7月25日・多摩川河畔にて 以上は、合法的かつ適切な調査です。調査の様子の動画があります。こちらこちらです。

 

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鳥類標識調査の世界には大きな問題があることがわかってきました。悪質なバンダーが存在するのです。調査という目的を外れて、捕まえた野鳥をバンダー資格のない人に持たせてオモチャのように扱ったり、室内に拉致して記念撮影をしたり、長時間拘束して写真を撮って自慢しあったりしているのです。殺してしまった野鳥を隠したりデータをねつ造しているバンダーがいるという内部告発もあります。

また、悪質バンダーが「環境教育」「調査の啓蒙活動」と称して教育現場に入り込んで子供たちや教育関係者を巻き込み、長年にわたって野鳥を虐待している例もあります。標識調査を自然観察のイベントに組み込んで、捕まえた野鳥を子どもたちに触らせたりしているのです。我々は問題点を教育関係者に指摘しましたが、国から資格を与えられたバンダーのすることに疑問を持つ余地はなかったことを問題事例の教育関係者は述べています。調査のマニュアルや環境省担当官のコメントから次のことははっきりしているのです。

・調査とイベントを混同してはいけない

・バンダー以外が野鳥を触ってはいけない

・かすみ網を張ったまま放置してはいけない

これらをすべて無視して、イベント前夜からかすみ網を張って長時間野鳥を拘束し、子ども達に野鳥を触らせて記念撮影をしているのです。これでは調査とは全く関係ないばかりか、野鳥は弱って死んでしまいます。

また、無差別に無秩序に野鳥に触らせて、鳥インフルエンザに感染させてしまう危険はないのでしょうか?あるいは鳥から鳥への感染を誘発したりしないのでしょうか?

 

インターネットを少し探すだけで、このような悪質バンダーの行状が次々に見つかりました。この画面では、バンダーではない人間がカワセミをぶら下げて翼を引っ張っています。これは鳥獣保護法違反です。悪質バンダーの行状が出ているホームページの多くは閉鎖されましたが、いまだ全国で悪質バンダーは活動しているのです。

 

このような悪質バンダーの行状を指摘しても、監督責任のある山階鳥類研究所は状況を改善しようとしません。「問題はあると認めているが、さらなる注意をして今まで通り調査を続ける。」 と言うだけなのです。環境省自然環境局野生生物課に指摘しても同じです。それどころか、 調査を逸脱して法令違反を犯した悪質バンダーすら「厳重注意」だけでこれと言った処分はないのです。

また、教育現場に入り込んだバンダーや調査をイベント化しているバンダーについて、山階鳥類研究所は「バンダーの責任において協力している」と回答しました。責任はバンダーだけにあるのでしょうか。バンダーがやったことに対する責任はどこにあるのでしょうか。

 

我々は、闇雲に標識調査に反対しているわけではありません。が、このように悪質バンダーを野放しにしてしまう鳥類標識調査の制度そのものに問題があるのは誰の目にも明らかでしょう。

多くの問題を抱える現行の制度を改めるべく、我々は、

・第三者機関による客観的チェックを取り入れる

・鳥類標識調査に関する全てのデータ---調査場所ごとの野鳥の死亡・怪我も含めて---を公開する

などを山階鳥類研究所に提案しています。長年続けられてきた制度を改正させるには、より多くの方の「声」が必要です。あなたにも「意思表示」をお願いします。 

 

 

  このマークは、野鳥に対する虐待ともいえる一部のバンディング(標識調査)に対して、疑問を表明するものです。 

我々は、現行の鳥類標識調査の制度に疑問を呈しているというシンボルマークをデザインし、賛同いただいたホームページに掲示していただいています。また、ステッカーを作って双眼鏡やカメラや車に貼って意思表示をしています。

 

 

死体として見つかった、足環を着けられたアオジ

このアオジは、足環をつけられてから24日後に死亡しました。もちろん死因は特定できません。足環をつけられてから死亡するまで、この子(幼鳥)は、どんな24日間を生きたのでしょう。銀色の足環は、囚人の足かせのように見えます。この子の亡きがらは、母なる北海道の土にかえることなく、研究所へ連れて行かれました。

2003年以降、調査データは公表されていません。報告も行われない調査とは何なのでしょうか。

[このページは、2006.1.29.のものです]

 


 

詳しくは最新のまとめをご覧下さい。

 

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