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スチームパンクAFF セッション記録 第六話
by RJ
 

最終話 「最後の挨拶」

グラスゴー近郊にあるケルヴィン卿の屋敷で、ロンドン空襲の一報がもたらされました。 卿の協力で、例の火星探査船を砲弾のように発射して、急ぎロンドンまで戻ることが出来ました。

ロンドン大空襲

そこはまさに地獄絵図。街はどこも破壊され、まばらに人の悲鳴が静かに聞こえてきます。 瓦礫にはさまれたグラニー婆さんをリチャードが助けます。グラニーの話では飛行船が現れ、 無数の空を飛ぶ機械がロンドンの空を覆い、手当たり次第に爆撃をしたとのことでした。 メイリンが空を見上げると、建物の影になっていた飛行船が現れます。飛行船が青白い光を放ち、 あっという間に飛行船も空飛ぶ機械も消えていました。
「あれは、プラトナーライトの光・・・・」
発明家によれば、ロンドン空襲は史実よりも十年以上は早いそうです。 ドイツ軍は世界大戦を早めに起こして結果をくつがえそうとしているのか!? このタイムマシンを使った反則行為を阻止するため、一行は研究室に急ぎます。 タイムマシンは無事でした。頭をひねった結果、未来ならこの空襲の情報も手に入るだろうとバイロンが思いつき、一行は一年後を目指します。 ただしタイムマシンは発明家が乗ったままで一日あとに飛ぶことにします。 予測不能な未来の世界でマシンごと捕らわれないための対策です。

一年後

一年後の世界はまだ焼け野原のままでした。 しかし、世界を敵に回しているのはドイツではなく、ロベルディアという謎の国のようです。 この時代ではこれ以上の成果は望めないと、さらに十年後に進みます。

ロビュールの時代

十年後、ロンドンの街は一変していました。 道は舗装され、人々は無気力にせわしなく行き交う。 蒸気でない動力で走る乗り物が登場し、街角にはニュース映像が投射されています。 それによると、ロンドンはすでにロベルディアに併合されており、 ロビュールと名乗る男が支配していました。 この日、アメリカもついに降伏して、ロビュールは名実共に世界の支配者です。

朽ちたままになった大英図書館に忍びこんで、一行はロビュールの過去と計略を知ります。 彼は十九世紀末、「空を飛ぶ船」アルバトロス号を作った科学者ですが、 気球を奉じるものたちは頑として彼を認めず、ロビュールは失望してどこかへと去りました。 そして十数年後、緊迫する世界情勢をロンドン空襲によって後押しして、世界大戦を引き起こし、 圧倒的なテクノロジーで勝者となったのでした。

ロンドン空襲の正確な時間とルートは判明しましたが、 戦力のあるロビュールと対峙するのは懸命ではないと判断したバイロンとメイリンは、 ロンドン塔にアルバトロス号が近づく瞬間に乗りこみ、若きロビュールを説得しようと試みます。

最後の戦い

今度は過去へ、ロンドン塔潜入を街娘に見つかった一行は、手練手管に長けたアルバートの手腕に助けられ、 なんなくアルバトロス号の船上に立ちます。 若きロビュールは説得によって世界征服はしないと明言します。 しかし、そこへ空飛ぶ黒い車が現れました、征服者となったロビュールが時を越えて邪魔しに来たのです。 アルバトロス号の船上で、万能ヴィークル「エプヴァント号」大英帝国有閑倶楽部の戦いが始まりました。 リチャードが叩き、アルバートのステッキが唸り、メイリンとカーツの精密な射撃が炸裂します。 エプヴァント号の剣呑な攻撃兵器はつぶしていくのですが、本体にダメージがありません。 「レーザーでもなければこの装甲は貫けんぞ」というロビュールのかちほこりで、 なんとなくバイロンには打開策が見えたのですが、実行にはためらいがあります。 しかし、仕方ありません。火星人に身振りで説明し、怪光線を発射させます。 残念ながら相互理解のどこかに行き違いがあったらしく、火星人はエプヴァント号だけでなくアルバトロス号をも、 光線銃で破壊。共に墜落します。

車体から転げ出た老ロビュールは捕まえました。そこに擦り切れたペーパーバックを見つけた一行は驚きます。 その小説は「時間を超えた冒険 ジョセフ・バイロン著」。なんと、ロビュールが時間旅行を思いついたのは、 これからバイロンが書くであろう物語であったのです。

こうしてロンドン大空襲は未然に回避され、一行はいつものロンドンに戻ってきました。 発明家は自分の居た時代を探したいと、一行に別れを告げました。言葉を交わし、暖かく送り出す一行です。 しかし、バイロンは語り手として我慢できずに同行を申し出ました。 これからの時間をめぐる冒険は、彼が記録者となることでしょう・・・・。

(完)

GMのおもわく

前回のラストでグラスゴーからロンドンの大火が見えるシーンがあったけど、 地図で確認したら見えるわけがない!そのあたりは今回のオープニングはごまかしておいた。

最後だから派手にロンドンを救う話にしようと思った。 シャーロック・ホームズ「最後の挨拶」でもドイツが悪役だったので、 そこから「未来からきたドイツ軍の計画を阻止する」という漠然と方向性が決まる。 そんなときジュール・ベルヌの本を読んで「世界の支配者」を思い出し、ロビュールが黒幕に決まった。

史実のロンドン空襲の情報に関しては個人サイトにずいぶんお世話になった。 便利な世の中だ。

時間旅行機なんてものがあると何処の時代へ行かれるかわからない。 ゲームに関係ない時代は勘弁してもらうとして、 ロビュールの支配した時代は漠然とした設定にしておいた。 何年に来るかはPC次第なので、出発点から50年後ならロビュールII世の時代に・・・というように、 あまり代わり映えしない世界が長期に続くようにしておいた。

シナリオは時間の都合で細かいところが練れなくて、一本道になってしまっていた。 最終回をまずいシナリオには出来ないので(ぼくの沽券にかかわる)、 なんとか各キャラが活躍できるような展開を直前で付け加えておいた。

バイロンは戦闘が活躍できなかったので、最後は思いっきりおいしい目にあえるようにしておいた。 でも、本当はベテランプレイヤーなので、謎解きのキーキャラクターだったんだけどね。 さて、もう時間もないしあとは出たとこ勝負で。

結果:
ロビュールの過去の行いの写真として、ロンドン塔上空に浮かぶアルバトロス号の絵を見せたら、 なんとその時へ時間移動して、ロビュールを説得しようとメイリンが言い出した。 考えてみればまあ、正論だ。硬直したストーリーはAFFには似合わないので、その方向で進めた。 幸い、「征服者ロビュール」も頭にはあるので描写は問題ない。どうしてもバイロンの小説を出したいので、 「世界の支配者」のロビュールもその時代にやってくることにした。 我ながら上手い!と思ったけど、「ドラえもん」の映画でもありそうな感じだな・・・・。

過去の空襲を止めるために、まず未来で情報収集というのが思いつくかどうかが心配だった。 誘導や手がかりもあまりなかったし。幸いバイロンが見事に気がついたので助かった。

結果として、作為と偶発の産物である波乱万丈な映画が撮れたと思う。 どうもありがとう、有閑倶楽部の諸君!


反省点
・シナリオをもうちょっと前から作っておかなかったこと。
・情報収拾シーンにや描写不足があったこと
・最後の出目、致命的失敗なのに結果的に成功っぽい大失敗にしてしまったところ。
→作為的なコントロールとPCに思わせてしまったかも。
プレイヤーの感想
ワン・メイリン「今回は面白かった。段々やり方も慣れてきた。最後にオチがついたが格好よい話が作れたと思う」
リチャード・ハイマン「面白かったけど、途中で、何を調べればよいのかよくわからなくなった」
ミッシェル・アルバート「ハッピーエンドでよかった。サイコロの目で笑わせてもらった。活躍できる面もあったし」
ジョセフ・バイロン「冒険活劇がスラップスティックになっちゃった。オイシイところ取りだった」