タイムマシンも完成して、“発明家”は倶楽部のメンバーと時間の旅行へ出かけようと約束していました。
しかし、彼はここ数日姿を見せません。一行は“発明家”の家へと向かいます。
あまり心配していない給仕の男によると“発明家”は一週間前に出かけたきりとのことです。
また、彼の部屋からは「アレクサンダー・ハーデゲン」と書かれたメモが見つかります。
アルバートがメイドとどこかへしけこんでいる間に、
コネを使ってその名前をマクノートン警部に調べてもらうメイリンですが、
結果は犯罪者リストに存在しないということだけでした。
バイロンとリチャードは、別のアプローチとして、
“発明家”が使ったと思われる馬車の御者にチップを渡して、ある建物にたどり着きます。
ボンド街にあるその建物は、前回の騒ぎで傷ついたと思われる外壁があるほか、歯車の音がやかましく聞こえます。
守衛に「アレクサンダーの友人だ」とハッタリをかました一行は、すんなり内部に案内されます。
技術主任のトバイアスと名乗る男は一行に事情を説明します。
この建物全体が、かのバベッジ卿が構想しつつも果たせなかった解析機関を完成させたものであり、
巨大なストアードプログラム方式の計算機になっているのでした。
その名もグレートブリテン。一部ではこの機関の存在は知られており、科学技術や天文学の膨大な計算を請け負っていたのですが、
一週間前から制御不能になり、マニピュレータでデバッグを始めたアレクサンダー氏も、
そのデバッグ部屋が閉ざされてしまい、それきりということでした。
マニピュレータは座席に座って、そこから有線の小型の人形を操作する発明品でした。
問題は、微妙な感覚を大事にするため、人形の受けた感覚は100%操縦者にフィードバックするということです。
そのためうかつに破壊はできません。カーツは最後まで嫌そうでしたが、
一行はマニピュレータでデバッグを行うことにしました。なぜか人形は一行にそっくりでした。
機関内部はまるで時計台の中のように、からみあう大小の歯車がつまった世界でした。
道案内となるトバイアスのモールス信号の指示をバイロンが解釈し、一行(の人形)は進んで行きます。
ついにたどり着いた中枢部では、悪魔とピエロのような人形が三匹、機関に巣くっていました。
その周囲にはからめとられた三体の人形が。それはアレクサンダーこと“発明家”とケルヴィン卿、お供のガズバンドでした。
衰弱しつつも、ケルヴィン卿は事情を語ります。
卿は、植物状態となった娘の命を助けるため、神秘学の知識から得た儀式をするつもりで、
必要な星の位置の計算をこの解析機関に依頼していました。
ところが、先日の恐竜騒動で解析機関が一時停止してしまい、すでに終了しているはずの計算結果は、
パンチカードとなってこの歯車の世界の中に貯まったジョブとなっていたのです。
それを強引に入手するため、卿は部下バクスター博士に命じて、自立型自動人形のワームを作らせ、解析機関に放ったのです。
このワームがなぜか解析機関を暴走させてしまったので、卿は同じく博士に作らせた
マニピュレータでここまで来たものの、結局捕らわれてしまったのでした。
リチャードが殴り、カーツが射ち、メイリンが遠距離から放ち、アルバートがステッキを振り回します、
一行はワームを破壊して、捕らわれの人形を救出しました。グレートブリテンも元に戻ったようです。
カーツはパンチカードを拾いました。
「バクスター博士に会わせて」というメイリンの言葉を受け、
ならば自分の居住するグラスゴーの屋敷に来るように、卿は一行を誘います。
汽車でグラスゴーへと向かう途中、突如、激しい衝撃が襲います。
バクスター博士操る巨大なメイド型人形アダリーによる強襲です。
メイリンが破壊した自動人形エイダの復讐に狂った博士は、卿の制止も聞きません。
どうやらワーム暴走も意図的なものだったようです。
転覆しそうになる列車の上での戦いが始まりました。
その間、バイロンが火星人を使って博士の背後に回ります。得意の機械工作で巨大人形の腕を一本はずしました。
アルバートはもう一方の巨大なこぶしを破壊します。
そして、戦いを止めたのはメイリンの説得でした。
「これ以上戦うとあなたのアダリーも傷つくわよ」
こうして、始めて女性から優しい言葉をかけられたバクスター博士は投降するのでした。
グラスゴーの居城にて、月夜の下、儀式が始まります。ほどなく卿の娘エミリアは意識を取り戻しました。
こうしてケルヴィン卿と和解してひとつのことをなしとげた一行ですが、
遥か遠くのロンドンに目をやると、街中が炎に包まれています。
さあ、ロンドンを救う最後の冒険が始まります。
GMのおもわく |
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十九世紀の歯車式コンピュータで無理矢理サイバーパンクをやってみたかったのがきっかけです。
有線式人形のマニピュレータのアイデアを思いついたときはこれだ!と思いました。
で、電脳(?)世界で何かあったらもとの世界に戻れないのがジャックインものの宿命なので、
人形に何かあったら本体にもフィードバックするようにしたという次第。 一本道のストーリーでは面白くないので、 ケルヴィン卿と和解するかしないかはPCの判断にまかせることにして、 バクスター博士の末路もPCの判断にまかせるようにしました。 両方の結末を用意しておきます。 時間が足りなくて全体をシェイプアップできなかったのが心残り。 ケルヴィン卿との過去のかかわりをまとめて一枚の表にしておいた。 みんな絶対忘れているからね。 結果: 反省点 ・解析機関内部の描写をきちんとしなかったこと ・やや戦闘指向だったこと ・戦闘中にいろいろ考えるバイロンに報いてあげられなかったこと ・メイリンがトバイアスにからむところとかもうちょっと反応するべきだった こんなところかな。 ワームを退治したら終わりかと思いきや、もうひとつ展開があったのが好評だった。 作る側はあんまり意識はしていなかったけど(涙)。列車の上での戦いって絵的に美しいからね。 ケルヴィン卿の言うことも結構虫のいい話なので、PCは受け入れないかと思っていたけど、 どうやら受けた仕打ちをほとんど忘れていたようだ。間が長いからなあ。 でもおおむね成功したシナリオだと思う。 |
プレイヤーの感想 |
ワン・メイリン「メイリンはキャラクターらしかった。頭を使ったと思う」 リチャード・ハイマン「どんでん返しがよかった」 ミッシェル・アルバート「キャラクターがよくわからなかった」 ジョセフ・バイロン「戦闘中暇なので戦闘技能をとっておいたほうがよいかなあ」 カーツ・ハロルド「歯車の中がよくわからなかった」 |