AFFの遊びかた

by RJ last update 1998/08/28

 AFF(アドヴァンスト・ファイティング・ファンタジー)はシンプルな作りのわりには奥深いTRPGです。ハプニングに満ちた冒険物語を、GM(語り手)もプレイヤー(参加者)も味わえることでしょう。
 TRPGというものは、これからゲームに参加してもらうプレイヤー達に、前もってルールを読んでおいてもらうと、スムーズなゲーム展開ができるものです。でも、規則の羅列を読んで憶えるのもなかなかつらいので、その代わりになるものを書いてみました。


●キャラクター・メイキング


GM:じゃあ、セッション(1回のゲーム)を始める前に、キャラクターを作ろうか。はい、この記録用紙に書き込んでいってね。
プレイヤー:まず何を決めるんだ?
GM:能力値を決めるんだけど、その前にキャラクターをどんな種族にする?今回のキャンペーンでは人間、エルフ、ドワーフ、セントールを選べるけど?
プレイヤー:セントールは半人半馬の種族のことだったな、それ以外はまあ典型的だな。とりあえずどの種族が有利不利なのか教えてくれなきゃ。
GM:んーと、セントールが体力+2されるのを除けば、能力値の違いはないよ。人間以外の種族には、「この技能を取ること」というような指示があるだけだ。
プレイヤー:まあ、人間でいいだろう。

GM:次は能力値だ。最初に「技術点」を決めるからサイコロを1個振って。これはあらゆる行動の善し悪しにかかわる能力値だから気合いを入れてね。
プレイヤー:5だ。
GM:えーっと、対応表を見ると、8だね。どの能力値も減ることがあるから、これは「原点」ってことだからね。
プレイヤー:技術点8/8と。
GM:体力点はサイコロ2個+12、運点はサイコロ1個+6。
プレイヤー:体力点18/18、運点12/12と。しかし、基本の能力値が3つしかないのか?
GM:シンプルなシステムなんだよ。次はスキル(技能)を決めるから、サイコロ1個+6を振って。
プレイヤー:8。イマイチだな。
GM:この特殊技能表を見て、欲しい技能にその点数を割り振って。
プレイヤー:んーと。例えば、[剣]に2点、[乗馬]に1点、[魔法]に3点というように決めるのか?
GM:そうだよ、でも一つの技能には4点までにしてね。
プレイヤー:いわれなくとも、一つにそんなに割り振る余裕はないぞ。8点なんだから。‥‥[両手剣]2点、[開錠]2点、[魔法(魔術)]2点、[乗馬]1点、[動物の知識]1点(記録用紙に書き込む)
GM:両手剣を使う魔法使い‥‥まあ、いいか。そうそう、表にない武器を使いたい?手裏剣とか。
プレイヤー:手裏剣を使う魔法使いの方がよっぽど変だぞ。両手剣でいい。
GM:えー、突然ですが[魔法]技能をとった人は原技術点を1点減らして。君なら技術点7/7になるよ。
プレイヤー:そういうことは初めに言っておくように。魔法使いはひ弱だからってんだな。
GM:そう。そしてこの「魔法呪文表」から呪文を選んでね。
プレイヤー:好きなだけ?
GM:君の[魔法]技能×3=6だから、呪文表に書いてある消費量が計6点になるように選んで。
プレイヤー:その点数を余らせておいたら、なんかいいことある?
GM:なんにもないよ。全部使った方がいいね。
プレイヤー:わかった。ところで、呪文の名称だけで説明がないぞ。ルールブックを貸してくれい。
GM:<火炎>とか<閃光!>でも大体わかるでしょ。魔法はゲーム中実際に使ってみるまで効果は秘密にしたいんだ。
プレイヤー:なんで?
GM:キャラクター作りで一番手間取るのがここだし、なによりこの呪文はどんな効果かなーっていう「どきどき」さが原作の趣旨にも合うんだ。「この呪文はこんなふうに使える?」って聞いてくれれば、できるだけ尊重するから。
プレイヤー:ま、技能も適当に選んだし、いいか。‥‥<閃光!>、<呪文変化>、<舌もつれ>、<体力増強>、<操り>で計6点(記録用紙に書き込む)。
GM:攻撃っぽい魔法を選ばないのが君らしいね。
プレイヤー:ここは強力な呪文一つよりも、渋い呪文を多くとるほうがベストと見た。
GM:次は装備だよ。
プレイヤー:買い物だ!どんな武器防具を買おうかな。
GM:いや、買わなくても最初から持ってるよ、武器は君の持ってる技能のやつだし、このゲームでは防御点という考え方がないので鎧はなんでもいいよ。
プレイヤー:てことは、片鱗鎧(スケイル・メイル)でも皮鎧(レザー・アーマー)でも同じなのか?
GM:そうだね、このゲームは数値的意味より、雰囲気が大切なんだ。有利さを追求して冒険に出る前のキャラクターがみんな同じ様な格好になるのも個性がないでしょ。
プレイヤー:なるほど。えーっと、武器:両手剣、鎧:普通の衣服にしよう。魔法学校を卒業したてのおのぼりの青年という設定だ。
GM:いいんじゃないかな。食料は4食分、お金は金貨サイコロ2個+12枚ね。
プレイヤー:気を使わなくとも「2D6+12」といえばわかる。次は?
GM:そうそう、名前と年齢を決めて、背景も書いてね。全部自由でいいから。
プレイヤー:年齢がダイスで勝手に決められないのはいいな。名前はカンザス・ワーナード、さっきも言ったとおり魔法学校出の24歳の青年だ。学校も卒業したので一旗揚げようと街にやってきた。
GM:じゃあ、以後カンザスって呼ぶからね。さっきの背景をもとにしてこの表から社会的地位点を決めるんだ。
カンザス:ちょうどいいのがないけど、まぁ「3、労働者」ってとこだな。
GM:じゃ、最後に「決まり文句」だ。
カンザス:決まり文句っていうと‥‥
GM:単に雰囲気の問題だよ。別にゲーム中言わなくてもいいけど、アクション映画の主人公みたいに繰り返し使えば、単純なせりふもおもしろくなるんじゃないかな。
カンザス:じゃあ、それはおいおい決めるということで。

次はゲーム中のやりとりです。

●判定ロール


GM:‥‥どうやら礼拝堂の入り口らしきところにたどり着いたけど、扉には見るからに頑丈そうな錠前がかかっている。
カンザス:たたき壊すと剣が刃こぼれしそうだな。よし、この針金で錠前を開けよう。
GM:じゃあ、うまくできるかどうか[開錠]ロールで判定だね。
カンザス:どうやるんだ?
GM:2D6を振って、技術点+[錠前]以下の目が出れば成功だ。
カンザス:技術点は7、[錠前]技能は2点だから9以下の目か。えっと、5。楽々成功だ!
GM:錠前はカチャリと小気味よい音を立ててはずれた。錆ついた扉がきしんだ音を立てて開くと‥‥

●戦闘


GM:‥‥錆ついた扉がきしんだ音を立てて開くと、扉が開くのを待ちかまえていたかのように、漆黒の鎧に身を包んだ戦士が飛び出してきた!
カンザス:こいつが村人をさらった犯人だな!「まず、観察しよう!」
GM:さっきから繰り返し言っているところを見ると、それが決まり文句なんだね。黒鎧の戦士はしゃべることもなく、ただ荒い息づかいだけが聞こえてくる。戦いは避けられないだろうね。黒騎士の斧の攻撃力は‥‥12だ。
カンザス:こっちはどうすればいいんだ。
GM:えーっと、両手剣を使うんだね。技術点+[両手剣]+2D6の目の値を教えて。
カンザス:技術点7+[両手剣]2+7だから、攻撃力は16だ!
GM:そっちの攻撃力が上だから、このターンはカンザスの勝ちだ。サイコロ1個を振って、ダメージ表を見てね。それが両手剣の与えるダメージだ。
カンザス:出目は3、両手剣の項はダメージ2点だ。
GM:(黒騎士の体力点から2点減らしてと‥‥)黒騎士はひるむことなく向かってくる。次のターンだね‥‥。

●6ゾロ、1ゾロ

 ダイスの目が1と1や6と6のとき、何かが起こります。

カンザス:今度は‥‥攻撃力は21だ!
GM:あっ!その目は6ゾロだね。それは「強打」(クリティカルヒット)だよ。カンザスの決定的な一撃が黒騎士の胸板を貫いた。黒騎士は床に倒れるよ。
カンザス:えっ、いきなり死んじゃったの?
GM:そう、体力点が−1点になる。敵が6ゾロを出したら、カンザスもそうなるからね。
カンザス:うう、ゴブリンに一撃でやられることもあるのか、気が抜けないね。
GM:こんなにシンプルなルールなのに、緊迫感があるでしょ。
カンザス:それはいいけど、ややこしいなあ。ロールの時は1ゾロが自動的成功で6ゾロが自動的失敗なのに、攻撃の時は逆になるのかー。
GM:まあ、少ない目を出せばいいときはダイスの最小値が自動的成功で、大きい目を出したいときはダイスの最大値が自動的成功になるんだから、おぼえられるでしょ。
カンザス:ま、1ゾロと6ゾロだけだからな。

●運だめし

 ファンタジーの世界で実際に頼れるものが運です。

GM:‥‥何の恨みを買ったのか知らないけど、トロール達は崖の上から大きな岩を転がした、岩はものすごい勢いで君に向かってくる。[回避]ロールに成功すればかわせるよ。
カンザス:[回避]なんてもってないぞ!
GM:じゃあ、技術点そのままで判定、技術点以下の目が出れば成功だよ。
カンザス:さっき腕をくじいて、いまは技術点が6だから、6以下の目だな。あ、11だ‥‥
GM:これがかわせないと、死んじゃうだろうね。運だめしに成功すれば何とかかわせるかもしれないよ。
カンザス:運点でチェックするんだな。どうするんだ?
GM:やっぱり、サイコロ2個を振って運点以下の目が出れば成功、でなければ失敗だよ。
カンザス:運点は12点あるから失敗しないぞ。10、成功だ。
GM:きわどいところで岩は方向を変えてどこかに飛んでいったね。ところで運点は成功失敗に関わらず、チェックする度に1点ずつ減らしていってね。
カンザス:げー、使う度に失敗する確率が高くなるのか!
GM:運だめしはまさかのときの切り札だからね。

●回復手段

 失った点数をどうやって取り戻すのかは、生き残るため重要なテーマです。

カンザス:体力点が3点しかないぞ、死んでしまう!
GM:<体力増強>の呪文を唱えるか、休んで食事をすることだね。
カンザス:呪文は失敗が恐いし、食料ももちあわせがないぞ!
GM:まあ、ここは普通の街だから医者ぐらいいるさ、探してみれば?
カンザス:ううっ。


カンザス:運点がたったの4点だ!今度呪文をくらったらおしまいだ!
GM:<開運>の呪文を唱えるか、ツキの薬を飲めば回復するよ。
カンザス:どっちもないの知っているくせに。
GM:ぼくはゲームが終われば回復してもいいことにしているよ。
カンザス:それはありがたいけど、今は?
GM:運だめしという「まさかのときの切り札」を使いすぎたんだよ。


カンザス:手をくじいて技術点が2点減った!どうすればいい?
GM:<技術回復>の呪文は?
カンザス:例によって憶えていない。
GM:ではまず、技術点が減った原因を考えてごらん。
カンザス:そうか、手をくじいたんだからしかるべきところに行けばいいんだ。街で医者に観てもらおう。

●魔法

 ファンタジーで最も魅力的な技が魔法であることは確かです。でも使うときは要注意!

GM:‥‥衛兵達は君の姿を認めると、次々に剣を抜いて近づいてくる。
カンザス:「俺はやってなーい!」って無駄か。引きつけてから<閃光!>だ。
GM:(うまいなー。)じゃあ、魔法ロールだ。特に修正はないから、2D6を振って、技術点+[魔法]以下の目が出れば成功。1ゾロは自動的成功で6ゾロはかなりまずいことになるよ。
カンザス:技術点は7点、[魔法]は2点だから9以下で成功だ。5だ!成功。
GM:衛兵達は強烈な閃光に目がくらんで、完全に浮き足立っている。逃げるなら今だね。
カンザス:もちろん。ところで呪文を使うと何が減るんだ。マジック・ポイントなんて決めてないぞ。
GM:ああ、体力点を減らすんだ。<閃光!>は1点だね。
カンザス:おい、それなら<体力増強>の呪文があれば魔法なんてかけ放題じゃないか?
GM:それでも、ロールに失敗すれば体力が減るだけだし、6ゾロ失敗するとかなり致命的だからね。


GM:‥‥青白い魔術師は君の進入に慌てふためいて、大急ぎでひっつかんだ巻物を詠唱し始める。
カンザス:呪文を唱える気だな。<舌もつれ>!
GM:(うー、)この魔術師も結構なレベルだから、君の魔法技能に−2の修正ね。
カンザス:それでも5以下で成功だ!‥‥あ、6ゾロ。
GM:おお、それは大失敗。とりあえず<舌もつれ>の消費量1点を体力から引いてから、3D6を振って。
カンザス:12。
GM:(<おおっと表>を見て)「‥‥術者の履き物に火がついた!」1点のダメージでも受けておいて。
カンザス:熱い!けど、ちょうどいいや、この巻物だらけの部屋に靴を投げ込む。
GM:(確かに有効だ‥‥)、魔術師はあわてて火を消そうとする。
カンザス:おい!この<おおっと表>に「術者が消え去る」とかあるぞ!
GM:魔法はハイリスク・ハイリターンなんだよ。まあ、滅多に起こらないけどね。でも実際にキャラクターが消えちゃったら、こっちもフォローを考えなきゃならないからどきどきだよ。

●セッションが終わったら


カンザス:‥‥いやー。黒騎士騒動は村人達の狂言だったのか。危うくだまされるところだったよ。
GM:でも、君がかなりうまく立ち回ったから、あっさり解決できたね。今回のセッションはここまでだよ。村に戻るのは次回まで待ってね。
カンザス:(伏線だな‥‥)
GM:さて、経験値はゲーム中の君の行動を採点して‥‥3点だね。
カンザス:‥‥。
GM:あ、いやこのゲームでは1セッションに与える経験点は1〜3点なんだよ!最高点なんだってば。
カンザス:つまらない冗談かと思ったぞ。それで経験点はどう使うんだ?
GM:経験点1点で今持っている[錠前]とかの技能を1点上げられるよ。持っていない技能を覚えたかったら2点つぎ込んでね。それか呪文消費量分だけつぎ込んで呪文を覚えられるよ。
カンザス:それだけ?
GM:経験点は次のゲームにも持ち越せるから、10点ためれば技術点を1増やせる。つまりほとんどの判定に+1されることになるね。
カンザス:そんなに待ってられないから、いま使い切る。[魔法]2点→3点、新しく[世界の知識]1点を覚えて計3点。呪文は次回にしよーっと。
GM:じゃあ、今日はここまで。次回からはあと二人くらいは参加させたいねぇ。
カンザス:うむ。GMと一対一のTRPGって普通ないぞ。

おしまい


●注意


 ここで紹介しているルールは、もとの「アドヴァンスト・ファイティング・ファンタジー」とは、違う部分もあります。あくまで私がGMをするときのルールということです。基本となる部分は変えていないつもりですが、ここに原作のルールとの対応表を挙げておきます。

異なる部分

「技術点は対応表を見て決める」 → 「技術点は1D6+6点」

「1D6+6の点を技能に割り振る」 → 「技術点の点数ぶんだけ技能に割り振る」

「魔法技能をとった人は原技術点−1する」 → 「魔法技能につぎ込んだ点数ぶんだけ原技術点から減らす」

「[両手剣]2点、[開錠]2点‥‥」 → 技術点を足した点数を技能の点とします。ここでは技術点8点を足して「[両手剣]10点、[開錠]10点‥‥」となります。でも技能ロールのときは結局同じです。

「食料は4食分、お金は金貨サイコロ2個+12枚」 → 「少量の食べ物、お金は金貨サイコロ1個ぶん」

経験点の使い方 → 呪文の修得や、特殊技能の成長・修得はすぐにできるわけではありません。訓練期間や師匠に払う謝礼も必要です。

 補足です。どんな鎧でも効果は変りませんが、防具のないキャラクターへ攻撃が命中すると、ダメージ表で振るサイコロの目に+2点できます。あと盾を持っていると自分の攻撃力−2点、うけるダメージ表のサイコロの目−2点できますが、ちょっと面倒くさいので盾は使わない方がいいでしょう。あるいはこのルールを使わないとか。