クトゥルフの呼び声

GM(RJ)
ジム・クラウド (私立探偵)
ポール・デルヴォー (ミスカトニック大学に通う若きオカルト作家)
ウォルター・S・タウンゼント (古美術商)
ステラ・フィルフィード (「アーカム・アドヴァタイザー」の美人女性記者)
リュウ (金持ちディレッタント華僑)

第2話 「南極の風」

ステラとリュウが食事に出かけた帰り、夜の街をつんざく悲鳴が聞こえます。駆けつけたステラが目にしたのは、苦悶の表情を浮かべる中年男の死体でした。
その男スコット・ハーリングの家にあった細長い箱が破壊され、あたりには異様な臭いがたちこめていました。
次の日ステラは驚くべきことを聞かされます。ミスカトニック大学は数年後に南極大陸の大規模な調査を行う計画で、アーカム・アドヴァタイザー社もそれに提携という形でかかわっています。その先発隊としてつい最近まで南極へ調査に出かけていたのが、ハーリング教授と研究室の学生たちであったというのです。編集長はステラに事件の調査を命じます

一方、ポールは大学の同級生から、ハーリング研究室のモニカが自殺したという訃報を聞きます。モニカは教授の死にひどくショックを受けたようで、それが自殺の原因だったようです。
ハーリングの南極探検に何か秘密があるとにらんだ一行は調査を開始します。

・教授がそろそろ成果を必要とされていたこと。
・探検の最終日、ハーリング隊は教授・モニカ・ウッディとエリック・カロルの二手にわかれて調査を行った。教授のチームは、採掘した鉱石と言って、細長い箱をそのまま持ち帰り、以後、彼らは様子がおかしかった。
これらのことを一行は突き止めます。そろそろ謎は見えてきましたが、調査を続ける一行の前に、男があらわれて、調査から手を引くように警告します。
一行が男を取り押さえようとすると、突如甲殻類と菌類を思わせる、有翼の化物が飛来して、男の首を掻き切って消えるのでした。黒マントの東洋人から、そいつはミ=ゴと呼ばれる神話怪物であること、「この事件のせいか、こういった連中が現れやすくなっている。事件を解決することだ。」という忠告を受けます。

唯一の生き残り、ウッディを尋問すると、彼は真相を語るのでした。
「吹雪が止んだとき、一瞬だが、いままで見えないものが見えた。それはヒマラヤも及ばないほどの巨大な山脈だった。あの狂気の山のふもとに崩れた洞窟があり、そこに氷漬けになった身の毛もよだつような古代生物がいたんだ。俺とモニカはやめろと言ったんだが、教授はそいつを持ち帰ると、俺たちにくどいくらい口止めをした。」

教授が発見したものは「古きものども」。太古の昔に地球に飛来した先行種族であり、教授が入手したものは、まだ一時的に仮死状態になっていたのでした。「古きものども」は邪魔な教授を殺害し、ただ盲目的に逃げ回るだけでしたが、自分も怪物に殺されると思い込んだモニカは自ら命を絶ったのでした。その「古きものども」の活動に刺激されて、敵対種族である邪悪なるミ=ゴが街に現れたのでした。

真相が解明した今、一行は二匹の神話怪物の共倒れを狙います。魔導書にある「古きものどもの召喚」を利用して、人気のない墓地に誘い出すことにします。
再度一行を始末しようと飛来するミ=ゴを、必死のカーチェイスの末おびきよせ、二匹を相打ちさせることに成功したのでした。

‥‥こうして事件は解決しましたが、数年後、ミスカトニック大学の南極探検隊は、真の恐怖に遭遇することになるのです‥‥。

第1話 「魔術師を追う者」

禁酒法が施行され、もぐり酒場に人々が集まる1920年アメリカ。マサチューセッツ州のなかでも魔女狩りの歴史を色濃く残す街アーカムで恐怖は始まります。
「アーカム・アドヴァタイザー」の美人女性記者ステラは、ある日デスクに呼び出されます。「ミスカトニック河の河沿いで最近噂されている、半魚人騒ぎを取材してこい」というのがその内容でした。ステラは友人の私立探偵、学生作家、古美術商に協力を求めます。
もぐり酒場の酔っ払いから、コート姿の半魚人が教会周辺をうろついているのを見た。という証言を得た一行は、閉鎖されたままの教会と行方不明のチャールズ牧師に疑惑の目を向けます。もともと教会はセイレムから来たカーウィンという怪しげな魔術師の援助によって建てられたものでした。ここまでくれば問答無用と、一行は教会に潜入しようと企みます。
ところがチャールズの日記を読むと恐ろしい事実が判明しました。チャールズは妻デボラを誘拐され、教会の立ち退きを迫られていたのです。しかも教会の地下には古びた墓地が広がっていました。そこでステラは、何百年も前から死からよみがえらされ、今なお生かされ続けている人間(のようなもの)を見てしまい、この事件が常識の枠外にあることを知るのでした。地下墓地にはさらに、デボラの死体、河につながる池、ぬれたコートなどが見つかります。
コートからジェンカー紳士服を突き止めたステラたちは、ウォルターの法外ともいえる袖の下により、買主がギルバート・ウェイクスという不気味な青年であることを知るのでした。ギルバートが見かけどおりの人間でないことを感じたステラは、ウェイクス家への取材という口実で、ギルバートと対面します。これは不首尾に終わりましたが、帰りにつけられていることに気づいたポールは探偵のジムに知らせてコート男を取り押さえさせます。ずれた帽子から覗くその眼は、人間のものではなく魚介類を思わせるものでした。求めていたものでありながら、想像を超えた恐怖に直面したステラは、一時的に正気の一線を超えてしまいます。
残された一行は、恐怖を克服するため、逃げ出した<深きものども>を追跡します。ウェイクス邸に逃げ込んだ怪物を捕まえようと乗り込んだ目の前に、ギルバートが現れました。
ギルバートは偉大な魔術師の遺産を引き継ごうと、人間以外のものと手を結んだのです。しかし、自らの手にあまるものに手を出してしまった彼を待っていたのは、食屍鬼化という罰でした。それに気づいたギルバートは自殺します。不老の魔術の代償として、死体さえ残せぬその末期を見て、ついにウォルターは精神が破壊されてしまいます。
ともあれ事件は解決しました。ウォルターも謎の東洋人の処方によって、もろいながらも自我を取り戻します。取材は台無しになってしまいましたが、ステラはこの宇宙が恐怖を盾にして隠しているものがあることを知るのでした。

written by RJ last update:2000/05/01