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洋画吹替え譚



はじめに

ぼくはよくTVの洋画劇場で映画(それもメジャーなやつ)を観るのですが、これらはもちろん声優さんによって吹替えられています。
ところがこの吹替えというやつ、各局のさまざまな事情によるものかどうかは知りませんが、同じ作品でも結構バージョンがあるのです。
このコーナーは、それらの中で、自分でぼけーっと観ていた限りで気がついたものを語ってみます。
ぼけーっと観ていたのであまり厳密ではないです。適宜直していきます。 また、声優さんの名前が敬称略ですがお許しを。


本題


 

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」

なつかしSFへのオマージュも見られるとっても楽しい作品ですが、この作品は2種類の吹替えがあります。 ひとつは日本テレビあたりで放映している普通の声優さん(三ツ矢雄二&穂積)が吹替えたバージョン(一般バージョンとしましょう)。 もうひとつはフジテレビが宣伝効果をねらった「マーティ=織田ゆうじ、ドク=三宅裕二」の「Wユージ」バージョン。
実はこの「Wユージ」バージョン。パート2まででフジテレビはやめてしまったようです。

では、フジテレビはパート3を放映しなかったのでしょうか?
答えは簡単。フジでパート3を放映したときは一般バージョンが使われたのでした。パート3でいきなりキャストが代わったら混乱しちゃいますね。

2002/09/28
あともうひとつビデオとDVDの吹替えも忘れちゃいけませんでした。 マーティが山寺宏一、ドク青野武の「ビデオバージョン」です。 このバージョンはマーティの父役の故富山敬がはまり役です。 パナソニックのCMに出てくるドクの吹替えはこのビデオバージョンですね。 しかし、2002年発売のDVDはそんまんまビデオバージョンとは思いませんでした。 だって当時なら「ジゴワット」でもいいでしょうけど、今は「ギガワット」でないと・・・。

「十戒」

時折ロードショーで放映されるロングセラーです。
CGのない時代ですが膨大な人数を使った行軍シーンや、海面が割れるシーンは今見てもド迫力です。 この間(2002年6月)、デジタルマスター版なるものが放映されましたが、 台詞と吹替えが一新されていました。 従来版だと、モーゼは納谷五郎(銭形警部)でラメセスは磯部勉というベテランコンビでした。 デジタルマスター版はなんとモーゼが磯部勉でラメセスが小川真司でした。 つまり、磯部勉さんは主人公と敵役の両方を演じた(声をあてた)わけです。 どんな気持ちだったんでしょうね?

ちなみに翻訳も微妙に違っていて、物語中頻繁に出てくるキメ台詞が、 従来版は「かくのごとく記録し、かくのごとく行え」でしたが、 デジタルマスター版は「そのように記録し、そのように行え」でした。 吹替えは甲乙つけがたいですが、翻訳はどちらが雰囲気出ているかは言うまでもないですね。

「グーニーズ」

港街グーンドックスに住むもうひとつな子供たち“グーニーズ”。 彼らの街はゴルフ場建設のため買収されてしまったので、週末にはみんなお別れだ。 そんな中、屋根裏で見つけた海賊ウィリーの宝の地図。もし財宝を見つければ‥‥。 悪党フラテリ一家を出し抜いて、大人ではできない冒険に出発だ!

DVDをTV版を比べてみました。キャストはまるっきり違います。 でもママ・フラテリは同じ「ジャイアンのママ」な人でした。まあ、この人しかいないでしょ。 TV版はいわゆるベテランぞろいで、DVD版は実際の子供らしい声でしたが、 やっぱりなんといってもマウスだけはTV版の野沢雅子しかいないでしょう。 口から産まれたようなマウスのマシンガントークを味わいたいなあ。

だって、普通、開かないドアを開けるとき、
「おい!チャンク。お前のかあちゃんのヌード写真売ってやるよ。俺と一緒に写っているやつ」
とか、言わないよね(笑)。何故これでドアが開くのか‥‥は本編を見てください。

「Xファイル」

とうとうデビッド・ドゥカプニーが降板してしまったXファイルです。
吹替え版ですが、ビデオではモルダーは小杉十郎太で、TV版では風間守夫です。 例によって付加価値を出すために俳優さんを登用したようですが、意外と長いシリーズなので、 風間さんも長期にわたってがんばっています。スカリーはビデオ・TV版とも戸田恵子さんです。 同じ物語を二回ずつ演じる(あてる)のバカらしいだろうな〜。
ぼくはモルダーはどちらでもよいのですが、脇役の声がTV版で慣れているので、 たまにビデオをみると違和感があって仕方ありません。とほほ‥‥

「俺がハマーだ」

マギーと名づけた銃を持っていないと、とたんに元気がなくなる暴走刑事ハマー。
アメリカではさっぱりだったらしいのですが、日本では羽佐間道夫の吹替えで、かなりの視聴率を とったとか。毎回腹をかかえて笑わせてくれました。
「動くなよ。弾丸がはずれるからな」

「ロボコップ」映画版

日本の「宇宙刑事」の逆輸入ものというこの映画。ブレードランナー以上にサイバーパンクな近未来です。 この三作目なんですが、二つバージョンがあります。最後のキメの台詞でわかります。
バージョン1は「マーフィと呼ぶのは友達だけだ。貴様はロボコップと呼べ」
バージョン2は「友達にはマーフィ。君たちにはロボコップだ」
声はどちらもロボコップ声優の磯辺勉ですが、明らかにバージョン1の翻訳の方が格好いいです。 声は同じでバージョンが異なる作品は「スパルタンX」も、そうだと朝日さんがおっしゃっていました。

「ロボコップ」TV版

基本的には映画と設定は同じですが、映画お得意の残虐シーンはありません。
どちらかと言うとドラマ性に重点が置かれています。
こちらもとってもおもしろい。 ちなみに、もと、ちんちくりんの秘書のマザーコンピュータのお姉さんがいい味だしています。

「バットマン」

マンガの設定をリアルにアレンジした映画版。見所はなんといっても悪役たち。
なかでもジム・キャリー演じるナゾナゾ怪人リドラーはピッコロ大魔王の声の人の 好演で、むちゃくちゃしびれます。「頭の中にコウモリを飼っているヒトは誰でしょぉ〜」
ちなみに、もち、ちんちくりんの秘書のキャットウーマンがお気に入りです(またか)。

「裸の銃を持つ男」

さらりと下品すぎないタイトルになっているこのパロディ刑事ものは、 よくも悪くもやりすぎのどたばたで楽しませてくれます。 これにもフランク・ドレビン警部補が羽佐間道夫と、そうでないバージョンがあります。 羽佐間道夫は「俺がハマーだ」「Aチーム」で無くてはならない人ですが、 この作品はちょっとギャグ作品を意識しすぎてか、わざとらしい感じがします。 もうひとりの人(名前知らない)の方が、真剣にボケているので笑えます。 こういう作品の場合、登場人物たちが「自分はいたって普通だと思い込んで」バカなことをやらかす のがおかしさを生むと思います。

「ビバリーヒルズコップ」

「ビバリ〜」は第一作目だけ富山敬がアクセル・フォーリー刑事のバージョンがあります(二作もあったかな?)。 よく観るのはエディの専門吹替え声優となりつつある下条アトムのバージョン。

富山アクセルを始めて観たときは、腹をかかえてわらったっけ。 「排気管にバナナの手は通用しねえぜ」と張り込み刑事の物まねをするシーンはさすが。
でも、いま改めて全体を観ると、下条アクセルの独特の口調もキャラクターを確立していると思う。 「すぐに帰ります、もうケツはそっちに向かってます」はなかなか。
でもアクセルの相棒のローズウッドは間違いなく下条バージョンの牛山茂がぴったりとはまります。
ところで、本物のエディ・マーフィの話術はそれはそれは面白いらしい。 英語がわからない人は実はエディ作品の面白さがほとんどわからないのかも。
くやしい〜。

「探偵レミントン・スティール」

開業した女探偵が、所長は男だとみせかけるために作った架空の探偵レミントン・スティール。 ところがある日、レミントンを名乗るきざな男が事務所に居座った‥‥
というストーリーだったはず。 このレミントン・スティール、お馴染みの神谷明が声をあてていたのですが、 ある日深夜の再放送を観たら、なぜか関俊彦になっていました。 ところで、レミントン・スティールの最終回はみんな名探偵のコスプレを していたそうですが、金田一耕介にコスプレした人がいたっていうのは本当なんでしょうか。 日本の探偵も海外でちょっとは知られているのかな。


「インディージョーンズ」

インディの声が村野さんバージョンと銀河万丈バージョンがあります。 銀河万丈版はほとんど観ることがありません。



吹替え声優一覧

上で述べている吹替え声優さんの名前と代表となる作品を並べてみました。
こういう知識にはあんまり詳しくないのでちょと偏っているかもしれません。
その人の代表作でも二人以上が吹替えている作品は基本的にはずしました。
例えば石田太郎さんはコロンボで有名ですが、小池朝雄さん(故人です)も吹き替えているので列挙していません。


羽佐間 道夫 日テレ「追跡」のナレーター、「特攻野郎Aチーム」のハンニバル、「俺がハマーだ!」のハマー
富山 敬 「特攻野郎Aチーム」のモンキー、「名探偵ポアロ」のヘイスティングス、「ゲゲゲの鬼太郎(97年のは違う)」のネズミ男。「タイムボカン」系の「説明しよう!」の人。故人です。
永井 一郎 「サザエさん」の波平、「ジュラシックパーク」のハモンド
磯辺 勉 「エアーウルフ」のホーク、「ロボコップ」のマーフィ
佐々木 功 「スーパーマン」のクラーク・ケント、「ナイトライダー」のマイケル
銀河 万丈 「開運!なんでも鑑定団」のナレーター
山寺 宏一 「ポケットモンスター」オーキド博士、「フルハウス」のジョーイ、「らんま1/2」の響良牙、ウナコーワのCM
下条 アトム  
大友 龍三郎 「モンタナジョーンズ」のゼロ卿、「タイムレンジャー」のドルネロ
大塚 明夫 「モンタナ・ジョーンズ」のモンタナ、「映画ブラックジャック」のブラックジャック、「メタルギア」のソリッド・スネーク
速見 奨 「トライガン」のウルフウッド、「OVAロードス島戦記」のオルソン、「伝説の勇者ダ・ガーン」のダ・ガーン
石田 太郎 「OVAロードス島戦記」のベルド皇帝
神谷 明 「シティハンター」の冴羽遼、「名探偵コナン」の毛利小五郎
関 俊彦 「らんま1/2」のムース、「忍たま乱太郎」の土井先生
三ツ矢 雄二 「タッチ」の上杉達也、「らんま1/2」の東風先生
野沢 那智 「刑事ナッシュ」のナッシュ、「スターウォーズ」のC3PO、「アニメいじわるばあさん」のいじわるばあさん
広川 太一郎 「名探偵ホームズ」のホームズ
小杉十郎太 「アリーmyラブ」NHK版のフィッシュ