最近観た名画

父と暮せば、黒木和雄監督、宮沢りえ、原田芳雄 出演。原作 井上 ひさし。名演小劇場にて。

昭和20年8月6日、ヒロシマに落とされた原爆が瞬時に10万人の人々を焼き殺して3年後、父娘2人家族でたった一人だけ助かった美津子。広島女専卒、図書館勤務の23歳の美しい娘に恋の訪れがやってきた。そしてある日1人住まいの我が家に亡くなったはずの父が現れた。美津子の恋の成就を願ってあの世から娘の元に父親がやってきたのだ。

 

素晴らしい恋は成就できるか。しかし、美津子は未だあの恐ろしい原爆から解き放たれてはいなかった。

 

「私は絶対に幸福になってはいけない人間なのです。何故なら原爆に出会ったあの多くの人々のことを思うとどうして私だけが幸福になって良いのですか。私にはそれは出来ない」と。

父親は必死に娘の恋を叶えさせたいと娘を励ます。しかし、思い出すのはあのピカドンの恐ろしい悪魔の瞬間。地獄の叫び声の中で、私は父を助けられなかったと自分を責める。美津子は自分のあの日の苦しみからどうしても立ち直れない。

 

しかし、父は娘をきつくしかりつける。「お前が幸せになることが、亡くなった人々への勤めなのだ」と。娘は父に感謝し、我が恋の成就を決意する。

 

しかし観ている我々には、この映画を通じて、原爆という恐ろしい地獄をこの地球に導いた戦争という人間の作った恐怖をしんしんと身に染みて実感する。戦争は悪魔だ。戦争は絶対に許してはならない。戦争をこの地球から追い出さない限り人間は幸せにはなれないのだ。

 

ブッシュがイラクで、アメリカの力を見せつけ、市民にあらゆる最新兵器の恐怖の力を実証して見せる。アメリカ市民は再びブッシュを選んだ。アメリカには近代民主主義が根付いているのか。アメリカには人類愛が流れているのか。激しい怒りを覚える。しかし、原爆を落とされた唯一つの近代国家日本の我々がもっと原爆の地獄を認識して世界に訴え続けなければ一体誰がこの恐ろしい原爆に抗するのか。

 

そんな反省を自分に言いつける力を持った映画だった。

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