映画 オネーギンの恋文    マーサ・ファインズ監督

 

 

BSで素晴らしい映画を見た。「オネーギンの恋文」。言うまでもない、プーシキンの「エヴェゲーニイ・オネーギン」の映画化だ。19世紀初頭のロシア社交界。可憐な少女の愛を拒んだ青年オネーギンは、後年魅力溢れる人妻に変貌していた彼女を見、衝撃を受け、求愛する。しかし、時 すでに遅く・・・・・。近代ロシア最高の韻文小説の映画化。

 

1週間前にサンクトペテルブルクから帰ってきたこの時期に、BS2でこの映画にめぐりあえたのは幸せである。ロシア最大に国民詩人プーシキンのこの作品がどれほど今もロシア国民に愛されているか、それは同行した美人通訳アリーサさんが、「私 オネーギンは今も全文暗記しているのよ。ロシアの知識人は 大抵の人は オネーギンは暗記しているものよ。皆 青春時代 オネーギンを熱中して読むの」と。アリーサさんも本当に綺麗だった。

 

日本の詩人も、万葉集や古今集は暗記するとはいうものの、プーシキンの韻文小説は文庫本1冊にも及ぶ膨大な詩文、これをロシア人は全文暗記しているなんて信じれない。

 

しかし、このストーリは何度読んでも心惹きつけられる。この小説を始めて読んだ時は、自分もすごい衝撃を受けた。誰にも話したこともない、永遠のあの人に、ターチャを密かに重ねあわせ、胸の切ない思いに何度泣いたことか。

 

プーシキンは謳う。

 

もはや疑う余地はない。いたましや! エヴェゲーニイは、タチャーナに子供のような恋をした。恋の思いに悩みつつ、過ごす明け暮れ。・・・・・・・・

どんなに彼が死ぬ思いでじたばたしても、彼女の方は目もくれぬ。

目は文字を追っていたが、思いは遠くをさまよっていた。様々な空想や願いや悲しみがひしひしと心の底へ押し入ってくる。こうした境地に我を忘れてひたりきる癖が昂じて、彼は今にも発狂するか、または詩人になりそうな気配であった。

 

詩を読んでいくと映画の場面がふつふつと思い出されてくる。ロシアの広大な大自然、雪のサンクトペテルブルク、吹雪を走るそり。美しいターニャを演じるリブ・タイラーの美しい横顔。頭が小さくて、首が長くて、色が白くて、足が長くて、鼻が高くて、目がうるんで、どうしてロシア娘はこんなにきれいなのだ。どうしてこんなにロシア娘は綺麗なのだ。

 

サンクトペテルブルク・エカテリーナ夏の宮殿への並木道にそって随分とプーシキンの像が立っていた。すらりとして 理知的なプーシキンの横顔。ロシアは芸術の国だ。深い憂いと、美しい潤い。ロシアは芸術の国だ。素晴らしい。

 

BSで素晴らしい映画をみた。「オネーギンの恋文」。原作はプーシキンの「エヴェゲーニイ・オネーギン」。主演男優オネーギンはレイフ・ファインズ。主演女優ターチャはリブ・タイラー。監督 ユーサ・ファインズ。1999年 英国映画。

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