定年後に読む資本論
63、助産婦としての暴力―本源的蓄積―、専修大望月清司著
最初の資本はどのように蓄積されたか。

ブルジョア経済学は、節約をむねとする勤勉家と、其の日暮しも出来ぬ怠け者をそれぞれ資本家と労働者の祖先に見立てています。しかし個別的にはこうした観方も真実でしょうが、経済学としては説明がつきません。マルクスはこの秘密を、もともと生産手段の所有者だった労働者が自分の生産手段から暴力的に分離されていく過程を、本源的蓄積と名づけました。

15世紀イギリス、旧封建領主から新貴族への支配権移動の過渡期、農民は独立生産者でした。羊毛価格騰貴に目をつけた新貴族は、耕地から農民を追い出し、共同地を横取りし、エンクロージャーを強引に押し進め、この収奪で農民は無産労働者に転落していきました。ブルジョア革命で支配者の地位を得た地主階級とブルジョアジーは、いまや公然と国有地の盗奪と切り売りに乗り出しました。議会は積極的にこれを支援しました。

こうして自営農民(ヨーマン)は姿を消します。こうして封建的ならびに氏族的所有が大規模に近代的な私的所有に転化される過程で、無保護のプロレタリアートが創出されたのです。

農民からの土地収奪から生まれた大地主は、土地を借地農業者に貸付けました。借地農業者は賃労働者を雇用し、地主に地代を支払います。大借地農業者が羊毛を生産し、それをマニュファクチャに売るのです。

産業資本家は、ギルドの親方や独立手工業者などから、排出してきました。ここに高利貸し資本と商人資本が登場します。

本源的蓄積を地球的規模でもたらしたのは、アメリカの金発見、インドの征服略奪、アフリカの奴隷供給地化、ヨーロッパ内部の商業戦争の諸契機が、植民制度、国債制度、近代的租税制度、保護制度によって組織的に資本蓄積に動員されたのです。

本源的蓄積は、ブルジョア革命後に成立した政権の国家暴力を後ろ盾として労働者と生産手段を切り離し、資本主義社会への突入への幕をひきました。

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