定年後に読む資本論
60、大工業制度の本性―機械制工業―、慶応大井村喜代子著、
マルクスによると、発達した機械は、発動機、伝力機構、作業機からなりたち、その中心的なものは作業機です。

機械制大工業の出現は、手工業的熟練の破壊=労働の単純化を押し進める。機械の出現する前のマニュファクチュアでは、手工業的分業にもとずく協業が行われ、生産工程の分化、専門化によって生産力のかなりの発展がみられたのですが、そこでの作業はいぜんとして手工業的であり、生産力発展の基礎も専門的な部分労働者の手工業的熟練もありました。

機械の出現は、マニュファクチャにおいて労働者が資本家にたいして要求を主張できた基礎である手工業的熟練を破壊していったのです。

機械制大工業それ自体は労働を軽減していく可能性を豊富にもっているにもかかわらず、資本主義的に充用されたもとでは労働者を支配、抑圧する諸手段になるということです。

人間労働を軽減する可能性をもっているはずの機械制大工業が、資本主義的に充用されるもとでは、反対に労働者に対する管理・支配を強め、一人当たりの労働支出をかえって倍加させ、剰余労働を増大させるための強力な組織的手段として役立つという矛盾―この矛盾こそはマルクスが資本主義的機械制大工業の本性として強調してやまなかったものです。

こうして生産手段を用いて集団的・社会的労働が行われ、生産力の飛躍的発展がおしすすめられますが、その生産手段は資本家によって私的に所有され、こうして労働によって生み出された生産物は資本家の所有物とされ、生産力発展の成果は剰余価値の増大として資本家に一人占めされていくのです。これは資本主義的生産のもっとも基本的な矛盾です。この矛盾がいかなる内容をもって展開していくかということこそ「資本論」全体をつらぬく主題です。

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