定年後に読む資本論
54、自己増殖する貨幣―資本の一般的定式―九州大、深町郁也著
資本とは何か。よく出てくる既定は、リカードでお馴染みの「生産の為の手段として役立つ蓄積された労働である」という規定。この既定では資本は生産用具として捉えられる。

セーは、資本とは交換価値でありその総額だと規定している。この規定では、資本の運動は単純な商品流通での交換関係に逆戻りしてしまう。

商品流通はW→G→W、すなわち商品の貨幣への転化と貨幣の商品への再転化を意味する。ここでは両方の極は同じ価値量の、使用価値が異なる商品です。すなわち、欲望充足のための使用価値の入手がその最終目的です。

ところがG→W→Gではそうではありません。両方の極は質的に同じ貨幣です。しかし質的に同じで同一の価値量の貨幣と貨幣を交換することは、無意味な操作です。この操作が意味をもつのは、両極の貨幣の価値量が違った大きさであることによってだけです。

だからこの運動の完全な形態はG→W→G‘であります。

最初の価値量に超過分が剰余価値とよばれるものです。つまり価値増殖されるわけです。この運動が価値を資本に転化するわけです。

資本としての貨幣の流通内容をなしているのは、価値増殖です、貨幣は自己増殖する価値として新しい形態規定で現れます。

運動の内部では、価値そのものが、一時的に商品の姿をとったり、貨幣の姿をとったりするにすぎません。資本の運動は、循環の出発点と終点で同じ形態で自分自身とを同一性で確認できる自立した形態は、貨幣をおいてほかにありません。

価値法則を前提にすると、流通から剰余価値は生じません。ところが資本一般的定式は、剰余価値は流通で生じなければならないと教えています。資本は流通で生じなければならないと同時に流通で生じてはならないのです。

この矛盾、資本形成の謎を解く鍵は、資本家が買う労働力商品の特殊性に求められることになります。

ここをクリックすると、ホームページに戻ります。