定年後の資本論
48、「経済学批判」としての「資本論」、大阪市大、佐藤金三郎著
「資本論」は1859年に刊行された「経済学批判」のつづきであり、他の全ての経済学から根本的に区別される性格の著作でもある。

マルクスは、17世紀の経済学者は、資本主義の表面に現れる諸現象をたんに記述することだけに満足していた経済学であると決め付け、彼らの進み方は現実的で具体的なもの、すなわち人口、国民、国家、多数の国家などから出発して、分析によって次第により簡単なものに進み、最後にもっとも抽象的一般的な諸規定、例えば分業、貨幣、価値などに到達する方法、つまり具体的なものから抽象的なものへ、複雑なものから簡単なものへ進む「下向法」によって彼らの経済学を為し遂げたと表現している。

一方、古典派経済学は、資本主義の背後に隠されている内的関連を探求し、経済学を科学として確立する道を切開いたが、彼らは、労働、分業、交換価値のような簡単なものから出発して、しだいにより複雑なものに進み、最後に国家、諸国民間の交換、世界市場のような現実的で具体的なものに到達する方法、つまり抽象的なものから具体的なものへ、簡単なものから複雑なものへ進む方法上向法を用いた経済学であると称しています。

一般に、経済学の対象である資本主義社会を具体的なものとして理論的に再生産するためには、あらかじめ下向法が十分に行われていなければなりません。

実際また歴史的にも、古典派経済学の上向法叙述の体系は、それに先立つ経済学者たちの下向的研究の過程を前提として始めて可能だったのです。

マルクスは経済学の方法に関して、経済学批判序説で詳しく論じている。

研究の出発点は、あくまでも現実の資本主義社会です。われわれはまずこれをあたえられたものとして受け取り、それの表象や直観を手掛かりに分析を始めます。この分析によって具体的な事物はつぎつぎに簡単な諸要素に還元され、それらは多かれ少なかれ固定されて概念やカテゴリーに到達すると、こんどは逆にこのもっとも簡単な基礎的なカテゴリーから出発して、資本主義の内部のしくみを抽象的なものから具体的なものへとつぎつぎに辿りながら、最後にもっとも現実的で具体的なカテゴリーに到達する解析手法について論じ、下向法と上向法は、ともに経済学の方法の不可欠な構成であるといっている。

資本主義の複雑な経済的なしくみは、このような下向研究過程と上向研究過程との絶えざる往復運動によって、はじめて体系的に、すなわち一定の法則に従って編成され、たがいに内的、必然的な関連をもったものとして完全に説明されます

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